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シティドックから東へ3分ほど歩くと1845年創立の名門校、海軍兵学校USNAにぶつかる。USNAはここから海沿いに延びる広大な敷地(約1.37㎢)を占めており、全米からえり抜かれた士官候補生が寄宿舎生活(5:30起床、23:00就寝)を送っている。学費などはもちろん無料。さらに卒業後5年以上海軍に入ることを条件に、毎月小遣い程度の金額が支給される。現在、アメリカを含めて世界から約4400名がここで学び、そのうち約29%を女性、約36%をマイノリティが占める。
敷地内には200を超える建物や施設がある。海軍の歴史を伝える博物館U.S. Naval Academy Museum、5000人収容可能で、部屋数約1700、総延長5マイル(約8km)にもわたる廊下をもつドミトリーのバンクロフトホールBancroft Hall、かつての武器庫でカフェテリアもあるダグレンホールDahlgren Hall、3万人収容のフットボールスタジアム、室内プール、ヨットハーバー、体育館などなど。さすがにアメリカのために尽くしてくれる若者の心と体を育てる施設だけあっておおいに充実している。また、ティファニー製の窓ガラスが美しいフレンチ・ルネッサンス・スタイルのチャペルChapelがあり、毎週土曜は平均6回の結婚式が行われるという。チャペルは一度に1600人が礼拝できる広さだ。日曜の礼拝は一般の人も参加できる。地下には独立戦争時の海軍ヒーロー、ジョン・P・ジョーンズの棺が横たわる。敷地内に点在する建物に展示されている海に関するものは、世界最大のコレクションでもある。
士官候補生たちはここで4年間訓練を受け、毎年1000名以上が憧れの海軍士官となって巣立っていく。卒業生たちが帽子を放り投げるシーンで有名な校庭が、ザ・ヤードと呼ばれる大グラウンドだ。海軍の墓地には、日本の勲一等旭日大綬章の勲章だけを身につけて葬られたバークBurke海軍大将の墓石もある。大将はもとは嫌日家であったが、第2次世界大戦後の日本で海上自衛隊の創設に尽力し、日本びいきになった人物。
敷地内の通りや建物にはUSNA出身のヒーローたちの名前がつけられている。1時間30分のガイドツアーで見学できるので、時には命の尊さよりも任務を優先させる軍人の養成所とはどんな所か、ちょっとのぞいていこう。またツアーのスタート地点ビジターセンターArmel Leftwich Visitor Centerには充実したギフトショップがあり、USNAの各スポーツチームのユニホームやおみやげグッズが豊富に揃っている。