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開館以来、スミソニアンの大博物館に負けないほど、人々の高い注目を集めている博物館。“ホロコースト”(ナチス・ドイツによるユダヤ人の大量虐殺)という、シリアスなテーマではあるが、この博物館を訪れる人の数、その表情を見ていると、実に多くの人が関心をもっていることを痛感する。
さまざまな資料と映像、そして実際に収容所の人々が着ていた服、使っていた物の展示は、どんな細かな説明文より心を打つ。人類史上に類を見ない凄惨なできごとを振り返り、博物館では戦争がつくり出す人間の狂気を伝えていく。収容所内部の悲惨な生活のフィルム、直視に耐えない残酷な映像も目をそらさずに脳裏に刻むことが、この博物館を訪れた者の義務だ。壁に飾られた無数の犠牲者の写真の間を歩きながら、戦争の愚かさと平和の意味を考えるよい機会を与えてくれる。過去を明らかにすることは、未来にとって決して無駄なことではない。そんなことを考えさせられるホロコースト記念博物館は、日本人にとってもたいへん意味のある場所ではないだろうか。