ボルチモア美術館

更新日
2023年7月4日
公開日
2023年7月4日
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アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニア、アジアの絵画、版画、素描、写真など、古代から現代まで幅広い作品約9万5000点を収蔵する美術館だ。1914年の設立。
収蔵品のなかでも、19世紀〜現代の美術が充実しているが、核は7つのイラスト帳を含む油絵、彫像、素描など600点以上のマチスの作品群。マチスのコレクションは世界最大といわれている。なかでも『ブルーヌードBlue Nude』『横たわるヌード(通称ピンクヌード)Reclining Nude』は最も有名な作品だが、珍しいことにマチスの自画像もある。このすばらしいコレクションをつくり上げたのは、ボルチモア出身のクラリベルとエッタのコーン姉妹。彼女たちは芸術に対する鑑識眼が非常に鋭く、若いマチスの才能を高く評価し、彼への援助を惜しまなかった。それに感謝したマチスは、作品を売るときは真っ先に姉妹に見せたという。さぞかし恩義を感じていたのであろう。作品のなかには姉妹を描いた貴重なものもある。さて、このコーン姉妹とはいったい何者か?姉妹の父はドイツからの移民で、グロサリーストアからスタートして財をなした人物。クラリベルは医者でもあったが、ふたりとも生涯独身を通した。ふたりのパトロンとしての財力は父から受け継がれたもので、姉妹は世界中を旅し、鑑識眼を養った。館はふたりが買い求めた日本や中国の美術品も収蔵している。1898年から1949年にわたって収集した美術品約3000点はコーンコレクションと呼ばれ、ほかにも、計110点を超えるピカソ、セザンヌ、ゴーギャン、ゴッホ、ルノワールなど、日本人好みの大家の作品も数多く有している。現在、このコーナーは9つのギャラリーに分かれ、ニースでのマチス、マチスから影響を受けたアーティスト、コーン姉妹のボルチモアのアパートの一部が復元された部屋などから構成されている。マチスの作品のなかで、ぜひ見ておきたいのが、前述のブルーとピンクのヌード2点。ほかにも後期印象派のセザンヌ、ゴーギャン、ルノワール、ボナール、メアリー・カサット、ピカソなどや、イタリア・ルネッサンス期を代表するボッティチェリと工房の聖母画、ラファエロの肖像画の大作、また現代美術ではタンギー、ジャコメッティ、ポロック、ミロ、ウォーホルに加えて草間弥生にも出合える。パロディを扱った写真など、アメリカらしいユーモアに富んだ作品もあって、リラックスして見学できるのもいい。
館内鑑賞のあとはふたつの野外の彫刻庭園もお見逃しなく。1980年と1988年にオープンしたもので、計34点が緑深い庭のなかに見え隠れする。ヘンリー・ムーア、イサム・ノグチ、カルダー、デビッド・スミスなどの個性的な作品も点在する。最後にもうひとつ。美術館の中に入るレストラン“ゲートルーズ Gertrude's”にもぜひ寄ってほしい。このエリアの素材をふんだんに使った南部風の料理で、地元の人にも人気が高い。

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