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古代エジプトから印象派まで約5500年にわたる約3万6000点の美術品を収蔵する市営の美術館。コレクションの幅の広さと質の高さにはただ驚くのみ。しかもこれが入場無料というのだ。美術館設立のきっかけは、鉄道事業で財をなしたヘンリー・ウォルターズが、両親の収集した美術品約2万2000点を一般の人にも見せたいと、ギャラリーごと市に寄付したこと。アメリカならではのスケールの大きな話だ。その後増加していった収蔵品は、古代エジプトをはじめとして、古代ローマ、古代ギリシア、バロック&ルネッサンス美術、ロマネスク様式、ゴシック様式、ビザンチン美術、印象派などのヨーロッパ絵画と彫刻彫像、イスラム美術、アジア美術など。世界中を旅しているようで、そのなかにラファエロ、リッピ、エル・グレコ、ドラクロア、コロー、ピサロ、シスレー、ミレー、ターナー、モネ、ホイッスラーなど、著名なアーティストの作品が混在する。エチオピア美術は国外最大だ。日本の室町時代の美術、19世紀の浮世絵、根付のコレクションなどもあり、偏っていないのがすばらしい。なかでもイタリア・ルネッサンス美術は秀逸。展示スペースも広く、少なくとも2時間は必要。カフェもあり、美術鑑賞好きなら間違いなく満足する美術館だ。