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テ・アナウからミルフォード・サウンドにいたる119kmの区間は、深い山あいをぬって進む変化に富んだ山岳路。路線バスも、途中にある多くの見どころに停まりながら行くので、約2時間の行程を存分に楽しむことができる。 テ・アナウを出て最初の20分ほどは湖沿いの道。ミルフォード・トラック出発地へのボート乗り場であるテ・アナウ・ダウンズTe Anau Downsを過ぎてからは湖と別れ、エグリントン川Eglinton Riverの広い河川敷に沿って進む。ここから道路は国立公園の内部へ。
しだいに山が近づき道路脇に深いブナの森林が迫ってくると、このあたりが“山が消えていく道 Avenue of Disappearing Mountains”と呼ばれる一帯。進むに従って道の正面、森の上に顔を出した山頂が、森の中に沈んでいくように見えることからこの名が付いている。
この森を抜けた所にあるのが、ミラー湖Mirror Lakesだ。何の変哲もない小さな湖に過ぎないが、わざわざ観光バスが停まっていくのは、鏡のように周囲の山が水面に映り込んで見えるからだ。もっとも本当に鏡のように映し出すには晴天、無風などの条件が必須となる。やがて道はガン湖Lake Gunn、ファーガス湖Lake Fergusの間を抜けて、ルートバーン・トラックの起点であるディバイドThe Divideへ。キー・サミットKey Summitへのハイキングもここからスタートする。
ディバイドを過ぎて周囲の山々はしだいに険しさを増す。フィヨルドならではのU字谷と切り立った岩肌が眼前に迫ってくると、そこがホーマー・トンネル Homer Tunnelの入口だ。ダーラン山脈を貫く長さ1219mのトンネルは、18年にも及ぶ工事を経て1953年に開通した。トンネル内はミルフォードに向かってかなり急な下り坂になっている。大型バスの通行も多いので、レンタカーを運転する場合は気をつけよう。
ホーマー・トンネルを抜けてしばらく下った所にあるのがザ・キャズムThe Chasm。ここでは1周20分ほどの遊歩道を歩いて滝を見に行く。途中、急流による浸食で曲線的に削られた奇岩の連なる不思議な景観を楽しむことができる。