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ミルフォード・サウンドとテ・アナウ湖を結ぶ全長約53.5kmのトラック。今から100年以上も前に開拓された山道だが、数あるトレッキングルートのなかでも変化に富んだ景観や展望、さらにいくつもの滝や湖などを結び、“世界一美しいトラック”といわれるほど。人気が高く、年間7000人以上もの人々が訪れる。シーズンは10月下旬から4月末まで。ただし、入山制限があるので、この時季に歩きたいなら早めの予約が好ましい。スタートは南側のテ・アナウ・ダウンズからと決められており、全行程は山小屋をつないで3泊4日で歩くこととなっている。
ミルフォード・トラックを歩くにはふたつの方法がある。個人ウオークIndependent Walkは3泊4日の決められた行程で、文字どおり個人で歩くもの。行程中の食料や装備などはすべて自分で携帯しなければならない。雨が多く、変化の大きいフィヨルドランドの気象条件下での行動を考えると、山歩きの初心者だけで歩くのは避けたほうがいい。ウオーキングのシーズンは10月下旬〜4月末。シーズン以外の予約は不要だが、ハットパス(山小屋利用券)を購入する必要がある(1泊$15)。
これに対してガイド付きウオークGuided Walkは、クイーンズタウンまたはテ・アナウ発着で、実質的な歩行3日間にトレッキング後のホテル1泊も加えた4泊5日のパッケージ。行程中の食事や寝具も提供されるのでわずかな荷物で歩くことができ、基礎的な体力さえあれば参加できる。
ガイド付きウオークが催行される期間は11月中旬~4月上旬まで。混雑を避け、自然への影響を最小限に抑えるために、11〜4月にかけてはガイド付きウオークは1日各50人まで、個人ウオークは1日各40人までと入山制限がある。予約をしたうえで現地に行き、テ・アナウ・ダウンズ〜ミルフォード・サウンド間を、1日20km以内で歩くことになる。
個人ウオークは4月から、ガイド付きウオークは1月下旬から予約受け付けを開始する。クリスマス前から1月初旬の休暇時季は最も混み合う時季なので、早めに予約しよう。
予約を扱っているのはDOC(Department of Conservation=自然保護省)の専用デスクだ。ミルフォード・トラックの場合、個人ウオークでも必ず決まったスケジュールで歩くため、予約のリクエストはシンプルで、単に出発日ごとに空席があるかどうかの確認となる。まずDOCのウェブサイトで希望の出発日に空席があるか確認しよう。空席があればウェブサイトに無料アカウントを作成し、予約・支払いに進む。支払いにはクレジットカードが利用でき、3泊分で$330が自動的に引き落とされるので、あとは出発前にテ・アナウのDOCビジターセンターでハットパスを受け取るだけだ。この際に天候や注意点などの情報収集もしておこう。 山小屋の予約が取れたら、トレッキング前後の交通機関も予約する。予約なしでは利用できないので忘れないように。DOCのウェブサイトを使った場合、eメールで送られてくる確認証に交通機関のリンクが貼られているのでクリックして予約・支払いに進めばOKだ。
ガイド付きウオークは、個人ウオークとは運営主体が異なり、クイーンズタウンとテ・アナウにあるオフィスUltimate HikesCentreで予約を受けている。手続きの流れは基本的に個人ウオークと同じで、まずはオフィスにコンタクトすることから始まる。
山小屋は質素だが、調理用ガスコンロ、水道、トイレなど基本的な設備は備えている。夏季は管理人が常駐。食材、食器は自分で用意する。ベッドにはマットレスが用意されているので寝袋だけを持参すればよい。明かりは一部、共同スペースに電灯があるだけなので、懐中電灯(ヘッドランプ)もあるとよい。
ロッジには電気、温水が通っている。シャンプーやコンディショナー、ヘアドライヤー、そしてもちろん寝具も完備。行動中のランチも含めてすべての食事が提供されるので、食料はおやつ程度を好みに応じて持参する。衣類、洗面道具、水筒などごく軽い荷物で歩くことができる。
(約5km、所要1 時間〜1時間30分)
テ・アナウ・ダウンズから船でグレイド・ワーフに上陸、グレイド・ハウスがトレッキングのスタート地点となる。出発して間もなくクリントン川に架かる長いつり橋を渡ると、その後はずっと川沿いの静かな森林浴ウオークが続く。平坦な区間の短い歩きのみで、軽いウオームアップといったところ。
(約17.5km、所要約6時間)
出発後しばらくは深い森の中を歩く。ポンポローナ・ロッジPonporona Lodge(ガイド付きウオーク専用)を過ぎたあたりからしだいに山が迫ってきて、道は急な上り坂になる。40分ほど坂道を上ったところでミンタロ小屋Mintaro Hutに到着する。
(約13km、所要6〜7時間)
この日はトラックの最高地点であるマッキノン峠MackinnonPassを越える。山小屋を出発してすぐにジグザグの登りが始まり、約2時間でピークに立つ。晴れていればテ・アナウ、ミルフォード両方向の展望がすばらしい。峠からは2時間余りの急な下りでクインティン・ロッジQuintin Lodge(ガイド付きウオーク専用)に到着。国内最大のサザーランド・フォールSutherlandFallsを見に行く。落差580mというだけあって、滝つぼの近くから見上げるとすごい迫力だ。サザーランド・フォールまでの往復1時間30分ほどのサイドトリップを終え、再びメイントラックを歩き、約1時間でダンプリン小屋Dumpling Hutに到着。
(約18km、所要5時間30分〜6時間) 歩行距離は長いが道は緩やかな下り。ただし終点のサンドフライ・ポイントSandfly Pointからの船に間に合うよう、8:00〜9:00の間にはダンプリン小屋を出発する必要がある。前半はアーサー川沿いの谷間を、後半には幅の広い川といった感じのエイダ湖に沿った道を進む。
出発前日の14:45、クイーンズタウンの「ザ・ステーション」に集合してミーティングが開かれ、コース説明と参加者の顔合わせを行う。必要な人はここでバックパックや雨具も借りる。
(約1.6km、所要約20分)
「ザ・ステーション」に9:15集合、チェックイン手続き後、バスが出発。テ・アナウのカフェで昼食を取ったあとバスでテ・アナウ・ダウンズへ。そこから船でトラックの出発地グレイド・ワーフへ渡る。この日は宿のグレイド・ハウスまでの約1.6kmを歩くだけ。
(約16km、所要5〜7時間)
この日が実質的なトレッキングのスタート。クリントン川に沿った森林の中を歩く。ごく緩やかな上りだが、後半ではしだいに峡谷の展望が開けてきて山らしい雰囲気が広がる。
(約15km、所要6〜8時間)
マッキノン峠を越えてクインティン・ロッジへ。行程中のハイライトであり、最も体力を要する区間だ。ロッジに到着後、サザーランド・フォールを見に行く(往復約1時間30分)。
(約21km、所要6〜8時間)
距離は長いが、ほぼ平坦な道をエイダ湖に沿って終点サンドフライ・ポイントまで進み、トレッキング終了。小船で対岸のミルフォード・サウンドへ。マイターピーク・ロッジMitre Peak Lodgeにチェックインし夕食。その後、完歩証授与式が行われる。
午前中は約2時間のミルフォード・サウンドのクルーズ。バスの中で昼食を取りテ・アナウ経由でクイーンズタウンへ帰る。クイーンズタウン着は16:00頃。