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見るからに不思議な地形だが、この砂さ嘴しは西海岸の岩盤が浸食されてできる砂が海流によって運ばれ、堆積してできあがった。長さ約35km、幅は平均で約800m。17世紀のオランダ人航海者エイベル・タスマンもこの場所を認めているが、命名者はジェームス・クックだ。彼の一行は1770年の航海で、ここを最後にニュージーランドを離れるにあたり、この岬に“Farewell(お別れ、さようなら!)”の名を付けた。
低く長い砂嘴は、船から見えづらく海難事故が多発したため、1870年、砂嘴の先端部に灯台が建てられた。かつては灯台守が住んでいたが、1984年に自動化されて無人となった。周辺の木は、少しでも陸地が見えやすくなるよう、灯台守が地道な努力で育てたものだ。砂嘴の内側は、遠浅で潮の干満の差が大きいため、クジラの群れが浅瀬で動けなくなる事故もたびたび起きている。砂嘴の先端部は海鳥の生息地でもあり、90種類以上が観察されているが、なかでも最も多いのはシギの仲間。9〜3月の間をここで過ごし、南半球に冬が近づくとシベリアのツンドラ地帯やアラスカなどの北方へと旅立っていく。