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北島中央部に位置する山岳国立公園トンガリロは1887年に制定されたニュージーランド最古の国立公園で、年間約100万人もの観光客が訪れる。北島の最高峰であるマウント・ルアペフMt. Ruapehu(標高2797m)を筆頭に、マウント・ナウルホエMt.Ngauruhoe(標高2287m)、マウント・トンガリロMt.Tongariro(標高1967m)などの山々がそびえる。これらの山々は、古くからマオリの聖地であり、当時の首長のホロヌク・テ・ヘウヘウ・トゥキノ4世 Horonuku TeHeuheu Tukino Ⅳは、ヨーロッパ人入植者たちによる乱開発を防ぐべく、国家による管理を求めて土地を寄進した。現在は、さらに周辺地域も加えた7万ヘクタール以上もの土地が国立公園になっている。トンガリロ国立公園がユネスコの世界遺産に登録されているのは、こうした歴史的、文化的意義と、火山活動による自然景観の貴重さという両面の価値が認められているからなのだ。
一帯は火山活動が盛んなため、周囲の森林は未発達で、クレーターや火口湖が点在するユニークな風景を造り出している。この山岳風景を楽しめるトレッキングコース、トンガリロ・アルパイン・クロッシングは、ニュージーランドを代表する観光ルートだ。また、荒涼とした火山独特の景観は、映画『ロード・オブ・ザ・リング』や『ホビット』のロケ地として使われた。
主峰マウント・ルアペフにファカパパ Whakapapa、トゥロアTuroaの2大スキー場があるスキーエリアでもある。
観光のベースとなるのは、ファカパパ・ビレッジ。DOCトンガリロ・ナショナル・パーク・ビジターセンターやいくつかの宿泊施設が集まっている。国立公園の西側を通る国道47号線から分岐する48号線に入って、広大な裾野の上り坂をしばらく進むと、DOCのトンガリロ・ナショナル・パーク・ビジターセンターがある。山岳国立公園だけに、メインのアクティビティは、やはり歩くこと。ビジターセンターでは、周辺でのウオーキングや登山に関する情報を揃えている。手軽なウオーキングトラックから、数日間かかるトンガリロ一周の本格的トレッキングまで、簡単な地図入りのパンフレットが用意されているので入手しておこう。また、国立公園全域のジオラマや地図もあるので、地形のイメージをつかんでおくといい。宿泊施設情報や、山小屋を使用するためのハットパス、防寒具の販売も行っている。
ビレッジ自体が標高1157mの高い位置にあるため、夏でもフリースや風を遮るジャケットなど、防寒着は必需品だ。
ファカパパ・ビレッジ内で食事ができるのは、スコーテル・アルパイン・リゾート Skotel Alpine Resort内のレストランくらいで、ホテル内のレストランは値段もやや高めとなっている。ファカパパ・ホリデーパーク・ストアでは雑貨、食料品、サンドイッチなどの軽食が買える。ファカパパ・スキー場は、ビレッジから山に向かってさらに6kmほど登った所にあり、スキーシーズンにはシャトルバスが運行する。トンガリロ国立公園は冬季(だいたい7〜10月頃)はスキー客で混み合うので、特に週末の宿泊予約は早めに行うのがおすすめだ。
観光の拠点となるのは、トンガリロ国立公園の中心であるファカパパ・ビレッジWhakapapa Village。目の前にマウント・ルアペフがそびえ、周辺にいくつかのトレッキングルートが設けられている。ナショナル・パーク駅National Park Station周辺や、トゥランギTurangi、タウポも拠点となる。長距離バスではオークランド~パーマストン・ノースを結ぶインターシティの便がナショナル・パークとオハクニOhakuniに停車する。ナショナル・パークへは所要約6時間10分、オハクニへは約6時間40分。ウェリントンからはパーマストン・ノースで乗り換え、所要約6時間。それぞれ週5便程度の運行(時季によって異なる)。バスはナショナル・パーク駅前に発着する。
鉄道では最寄りのナショナル・パーク駅National Park Stationに、キーウィ・レイルのノーザン・エクスプローラー号が、オークランドから月・木・土曜、ウェリントンからは水・金・日曜のそれぞれ1日1便運行。駅からトンガリロ・アルパイン・クロッシングへのバスも運行されている。