キーワードで検索
フィヨルドランド国立公園と、マウント・アスパイアリング国立公園の境界に位置し、ミルフォード・トラックとともに人気の高いトレッキングルート。年間約1万6000人もの登山客が訪れる。全長約33kmあり、南でグリーンストーン・トラック、ケイプレス・トラックとつながっている。ルートバーン・トラックは双方向から歩くことができるほか、最高地点まで行って同じ道を戻ることも可能。縦走は2泊3日が一般的だ。トラック中には4つの山小屋とふたつのキャンプサイトがある。比較的平坦な森林を歩くミルフォード・トラックと比べ、標高458mと532mのスタート地点から短い距離で1255mの最高地点まで登り詰めるため、起伏があり、展望も変化に富んでいる。最高地点から眺望する山岳景観は圧巻だ。
ルートバーン・トラックの縦走は、山小屋やキャンプサイトを利用して、2泊3日の行程で歩くのがポピュラーだ。町の宿に荷物を置いて軽装で歩きたい人は、山中で1泊のみして、来た道を帰ることもできる。
トラックは全体的によく整備されてはいるが、高度差の大きい本格的な山歩きとなる。水や食料などを含む十分な装備が必要で、登山の初心者だけで歩くことは避けたい。ミルフォード・トラック同様に、ガイド付きウオークもある。
ルートバーン・トラックを、11月1日〜4月30日までの夏季に個人ウオークで歩く場合、コース上にある3つの山小屋とふたつのキャンプ指定地は、事前の予約が必要となる。山小屋はひとり1泊大人$102、子供$51。ひとつの山小屋に連泊できるのは原則として2泊まで。キャンプはひとり大人$32、子供$16。5月1日〜10月31日は予約は不要だが、1泊につき$15〜25のハットパスを出発前にDOCビジターセンターで購入する。ただし山小屋は無人となりガスなどもない。気象条件は厳しく、上級者向け。
予約に当たっては、DOCのウェブサイトからオンラインで行うのが便利。無料のアカウントを作成し、山小屋名・宿泊希望日・日数・人数を入力して予約に進もう。ログインなしでも希望日に山小屋に空きがあるかどうかのチェックは可能。支払いにはクレジットカードが利用できる。予約が済んだらトレッキング出発前に、クイーンズタウンもしくはテ・アナウのDOCビジターセンターでハットパスを受け取る。
個人ウオークとは別に上級グレードのロッジに泊まるパッケージもある。ルート上2ヵ所のロッジは、個人ウオークのルートバーン・フォールズ小屋、マッケンジー湖小屋にそれぞれ近接して立っている。ガイド付きウオークはこの2ヵ所を使い、クイーンズタウン発着の2泊3日の行程で歩く。ガイド付きウオークが催行されるシーズンは11月中旬~4月上旬で、1日40名まで。料金は大人$1720~、子供(10~16歳)$1295~。客室は4~6人のシェアタイプのほか、シャワーとトイレが付いた個室も選べる。行程中に必要となる交通機関、すべての食事費用を含む。
(約7.5km、所要1時間30分〜2時間30分)
駐車場脇からスタートし、すぐにつり橋を渡る。この川がトラックの名の由来であるルートバーンRoute Burnだ。“burn”とは、スコットランドの言葉で小川を意味するという。豊かな水量をもつ流れに沿い、道は緩やかに上っていく。周囲をブナの森に囲まれた、とても気持ちのよい道だ。2番目のつり橋を渡って間もなく急に視界が開け、それまでの狭い川筋と打って変わった広大な平地ルートバーン・フラッツRouteburn Flatsが開ける。
(約2.3km、所要1時間〜1時間30分)
フラッツ小屋への分岐を過ぎるとやや急な上りが始まる。道は樹林に囲まれているが、途中、地滑り跡を横切る区間があり、眼下の風景を広く見渡すことができる。エミリー・クリーク橋が見えると、ルートバーン・フォールズ小屋までは、残りあと半分だ。そして、さらに上っていくと、小屋が目の前に現れる。付近にはその名のとおり滝がある。
(約11.3km、所要4時間30分〜6時間)
ルートバーン・フォールズ小屋のあたりで森林限界を越え、風景は岩交じりのタソック(低い草地)へと変わる。すっかり細くなったルートバーンの流れに沿って緩やかに上ると、この沢の水源であるハリス湖が見えてくる。標高約1200mの高さにある、意外なほど大きな湖だ。水辺に沿って進むと、やがて最高地点のハリス・サドルに到着。シェルター(避難小屋)が立っている。悪天候でなければ、背後の岩山、コニカル・ヒルConical Hillに登ろう。シェルターに荷物を置いて1時間半ほどで往復できる。標高1515mのピークからは360度の展望が広がり、タスマン海まで見えることも。
再びメイントラックに戻り、次はホリフォードの谷に面した大きな斜面をトラバースするルートとなる。眼下の谷を隔て、氷河を抱いた山並みを見ながら高低差のほとんどない区間を1時間ほど歩く。やがて眼下にマッケンジー湖と、そのほとりに立つ山小屋が小さく見えてくる。このあたりから再び樹林帯に入り、急なジグザグ道を下りていく。下りきってブナの森と苔むした美しい“岩石庭園”を抜けると、マッケンジー湖小屋に到着。この山小屋のロケーションは実にすばらしい。目の前に湖が広がり、その向こうにはエミリーピーク(1815m)がそそり立つ。
(約8.6km、所要3〜4時間)
この区間はおおむねなだらかな道で、静かな山歩きが楽しめる。途中のアーランド・フォールは全長174mの滝。豪雨のあとは水勢が増し、下側に迂回しなくてはならないこともある。やがてかつて山小屋があった小さな湖、ハウデン湖に着く。ここからケイプレス・トラック、グリーンストーン・トラックが南に分岐しており、ここを歩いてグレノーキーに戻ることも可能。
(約3.4km、所要1時間〜1時間30分)
ハウデン湖からは緩やかではあるが、再び上りが始まる。15分ほど登り返して、キー・サミットへの分岐点に出る。テ・アナウから日帰りのハイキングにもポピュラーな展望地で、往復1時間〜1時間30分ほど。標高は919mと低いが、眺めはすばらしい。大きな荷物は分岐付近にデポして登ろう。
キー・サミット往復後、再びメインのトラックに戻り、ブナの森の中をどんどん高度を下げながら進む。久しぶりに車の音が聞こえてきたと思ったら、終点ディバイドに到着する。
キャンプサイトに隣接する店舗では、食料品やキャンプ用具の販売、アクティビティの手配などを行う。隣に同系列の高級宿泊施設ヘッドウオーターズ・エコロッジHeadwaters Eco Lodgeがある。