カステル・デル・モンテ

更新日
2023年10月5日
公開日
2023年10月5日
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ユネスコの世界遺産に登録されているモンテ城は、レ・ムルジュ高原の中に奇妙に孤立している。オリーブやぶどうの丘をいくつも越えると、緩やかな起伏の上に松林に囲まれて八角形の城が姿を現す。まるで宇宙から下りてきたような不思議な形だ。この城は1229~49年に皇帝フリードリッヒ2世が建造させた軍事施設。

細部にまでこだわった精緻な造りはドイツ的な性格が随所に表れていて、非常に興味深い。また、内部は八角形にこだわり中庭も見事な正八角形である。上から見ると、八角形の各角にまた八角形の高さ24mの隅塔が付属している。かつて壁面を埋め尽くしていたと思われる色大理石はほとんど持ち去られ、柱の一部に残存しているのみで、現在は黄褐色の石壁がさらされて寒々しい。

ドイツ、ホーエンシュタウフェン家のフリードリッヒ2世は1220年、神聖ローマ帝国皇帝に即位する。6ヵ国語を巧みに操り、建築、土木、航海術、数学、天文学など学問に秀でていた彼は一生のほとんどを南イタリアで過ごし、プーリア各地に200余りの城を残した。その背景には、当時の一大勢力だったサラセンの脅威に対する防衛のためという事情があったが、娯楽用の城として、狩猟の際に立ち寄っては酒宴を開くといった性格の物であったらしい。1260年のホーエンシュタウフェン朝滅亡後、モンテ城はおもに牢獄として使用された。

八角形なのは、フリードリッヒ自身がエルサレムに入城し、エルサレム王に戴冠された事実があり、岩のドームをもつイスラム教寺院が八角形の建物だったため、それに触発されたのではないかと考えられている。内部は2階建ての構造で、1階には部屋が8つある。2階にはらせん階段で上る。隅塔それぞれは、手洗所か物置として使われていた。内部には雨水を貯水槽や手洗所に貯められるように、二重勾配を用いた巧みな仕掛けがある。

カステル・デル・モンテへのアクセス

鉄道

バーリ中央駅から私鉄Ferro tramviariaで最寄りのアンドリアAndriaまで約1時間40分~2時間(Ruvoで要乗り換え)。約1時間に1便。
列車の時刻表

アンドリア駅前からのバス

モンテ城へは一番近いアンドリアAndriaの鉄道駅から約18㎞陸路を行かなければならない。通年のバスはない。タクシーの場合はアンドリア駅前から€50程度。
バスの時刻表

写真

  • 荒野にひっそりと建つ
  • 中庭
  • 階段の天井
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