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歓喜に満ちた葬式は人生最大のイベント
バリ人は母親の体の中に生を受けてから死ぬまでの間に、いくつもの儀礼を通過しなくてはならない。神の化身から人として魂を受け、一個人として村の一員として認められ、成人として人間性を完成させるために獣性を払拭し、結婚し、死して祖霊に昇格するまでの一連の儀式である。これらの儀式はバリ・ヒンドゥー教の教えにのっとって節目節目に行われるが、個人のために村人や親戚が総出で行う。特にガルンガン後の1ヵ月は、儀式の多いシーズンだ。
ガベンNgaben(トリワンサ階層の火葬式はプレボンPlebonと呼ばれ区別される)と呼ばれる火葬式は、一生のフィナーレにふさわしい人生最大のイベントとなる。バリ火葬の大きな特徴は、遺体を入れる棺の形だ。一般にヒンドゥー教の聖なる動物である牛の形をしたものが使われる(スードラ層の場合、魚の形の棺が使われることもある)。なお裕福な家庭では、メル(塔)を模して飾りつけられた壮麗なやぐらを組み、それに棺を入れて家から火葬場まで行列をなして運ぶこともある。日本人のお葬式という観念とはかけ離れ、壮大で陽気で雄々しく、まるでお祭りのような華やかさだ。
火葬は午後から夕方にかけて墓地の小高い場所で行われる。火葬後、灰や骨はヤシの実の殻に入れられ、高僧に祈りをささげてもらったあと、海に流す(山間部では川に流す)。これにより魂は清浄になり、天界に昇ると考えられている。
ガベンを体験するには?
バリは世界でも数少ない公開火葬の地として知られており、一般観光客でも日時さえわかれば見学できる。クタ&レギャン、ウブドなどの旅行会社では、ガベンがあるとクレメーション・ツアーも催行する(APA?情報センターなど参照)。これに参加してもいいし、場所が特定できていれば、チャーター車でアクセスすることも可能だ。