ローランド・レストラン

更新日
2023年12月20日
公開日
2023年12月20日
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チリ・クラブは多くのレストランがそれぞれ工夫を加え、しのぎを削る一大名物料理。チリ・クラブを最初に作った一家が営む店があると聞き、訪ねてみた。イースト・コースト・パークの駐車場6/Fにある「ローランド・レストラン」。店主のローランドさんがチリ・クラブ誕生の秘話を熱く語ってくれた。
ローランドさんの両親の若かりし1950年頃の話。夫のリムさんはよくイースト・コーストの海でカニを取ってきて潮州風に蒸して食べていたが、単調な味に飽きて妻のチャー・ヤムティンさんに違う調理法を望んだ。早速チャーさんはトマトソースで炒めてみる。甘過ぎたのでチリを加えるなど試行錯誤を重ね、リムさんが「おいしい!」と認める味にいたり、近所の人にも振る舞った。このカニ料理が評判になり、1956年海岸近くで簡素な小屋の食堂を始め、のちに「パームビーチ」と名づけたレストランに昇格。
店は繁盛したが、1985年に家族でニュージーランドに移住することになり、店を売却。その後シンガポールに戻って来た一家の息子ローランドさんが、母の味を受け継ぐレストランを2000年に開業し、現在は40年前の常連客も再び足を運ぶ人気店になり地元に根づいている。
夫のために考えた愛妻料理。そのチリ・クラブの味はというと、トマトソースの甘味とピリッと刺激的なチリが溶け合った飾り気のないうまさ。その昔、ヤシの木の下で皆を笑顔に変えたカニ料理に思いをはせて、味わってみたい。

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