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冷たい飲み物が欲しいとしばらく探し求め、少し大きな町に到着。冷たいコーラを飲みながら、椅子に座っていると、さっきの泥道で浸かったジーンズが、ヘドロの臭いを発しているのに気がついた。すぐ横ではジュース屋のおばちゃんが子供と一緒にヌムバンチョ(カンボジア麺)を食べている。ピーロムが声をかけるとおばちゃんが無料でいいから食べていけと声をかけてくれた。ピーロムとねもとはヌムバンチョをいただくこととなったが、その麺にかかる緑色のスープが、何となく僕の意識では受けいれられず、未だ食わず嫌いとなっているのだ。
二人が食べ終わり、そのまま道を北上していくと近くには、ちょっときれいな湖トンレソーがあった。暇そうにたむろしているバイクタクシーの兄ちゃんに声をかけ、近くに遺跡があるかどうか聞いてみる。すぐ近くの学校の中庭を抜けるとあるという。言われたとおりに行くとプラサットダイクーという遺跡がぽつんとあったが、レンガ造りの寺院はほぼ崩壊しており柱が一本残っているだけであった。
先に進むと、道路脇には寺院と彫像、そして両手に手錠をかけられ監獄に入った男性が描かれた大きな看板が立っている。“盗むな遺跡”看板だ。文字が読めない人にも分かりやすく、国の財産を国外に持ち出さないように示唆しているのだ。たいていこの看板があると近くに遺跡がある。近くに自転車に乗っているおじさんがいたので声をかけると、森の中に寺院があるという。「プラサットコブコーン」だそうだ。食用カエルを捕まえている人の脇を抜け、寺院へと向かうが、ほとんど崩れた寺院内部には何も残っていなかった。
さらに走ること30分、再び“盗むな遺跡看板”を発見。村人に訪ね歩くと「朝出発すれば夕方には帰れる距離」という非常に抽象的な答えが返ってきた。ずっと距離や時間にこだわらず生きてきた人々にとっての「時間」という意味はそれだけのことなのである。ううむ、とりあえず何か分からんが大変そうなので諦めることにした。