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皆さんお馴染みのコロッセオは丸い形(楕円形)ですが、ローマにはもう一つ、四角いコロッセオがあります。
特に夜に見ると不気味さが一層増しますので、今日は日没後の四角いコロッセオも併せてご紹介したいと思います。
ローマといえばコロッセオ、こちら↑は普通の丸いコロッセオです。
丸いコロッセオは紀元80年に、ローマ皇帝ティトゥス帝の時代に完成しました。
↓ こちらが四角いコロッセオ(コロッセオ・クアドラート Colosseo Quadrato)です。
建物の正式な名称は労働文明宮(Palazzo della Civiltà Italiana もしくは Palazzo della Civiltà del Lavoro)といいますが、見た通りの外観から"四角いコロッセオ"とも呼ばれています。
まるで "これは絵です" といってもわからない様なシュールなコロッセオですが、写真です!
↑ この面白いコロッセオは、ローマ中心部から地下鉄で20分程の距離のE.U.R.(エウルと発音)という地区にあります。エウルにも見所は色々ありますが、日本人にとって一番馴染み深いのは、日本からプレゼントされた数千本の美しい桜並木がある"日本の散歩道通り"です。四角いコロッセオから"日本の散歩道通り" までは徒歩10~15分です。(過去記事 2014年3月29日 日本の散歩道の桜並木について こちら)
↑ エウル地区のエウル(E.U.R )とは、1942年に開催予定だったローマ万博(Esposizione Universale di Roma エスポズィツィオーネ・ウニヴェルサーレ・ディ・ローマ)の頭文字 E、U、Rをとったものです。
イタリアはこの時代といえば、ムッソリーニが率いるファシスト政権であり、このエウル地区も、昔は羊がぼってりと寝転んでいるのどかな場所でしたが、ファシスト政権が万博の為に全力をあげて開発に着手した地区の一つです。(万博は第二次世界大戦の勃発により中止)
古い建物が残る旧市街部とは当然ながら全く違う、整然として近代的な建物が並んでいる事が特徴です。
↑ 市内では他にもいくつかファシスト政権時代に、大掛かりな区画整備などが行われています。
イタリアの古代の威光(=遺跡など)を掘り起こして綺麗に新たに整備し直すことは、イタリアの栄華をもう一度見せ付け、彼らの偉大なルーツを世界に誇示することでもありました。
例えばファシスト政権は、ローマにチネチッタ(映画都市 Cinecittà)といわれる大きな映画撮影所を作りました。ムッソリーニは、"映画は政権宣伝の為の比例ない武器"だと考えていましたし、とにかく良い映画を作ってハリウッドを打ち負かすことも目的でした。(映画館でも映画が始まる前に毎回、政党コマーシャルが流れていました)
↑ 続いて、夜の四角いコロッセオです。夜は不気味さを増しますので、ここぞとばかり撮影して来ました。
このコロッセオは大きくて真っ白なので、遠くからでも本当に良く目立ち、レオナルド・ダ・ヴィンチ空港とローマの中央駅テルミニ駅を結ぶ列車の中からも見えます。初めてイタリアに到着した旅行者が一番最初に目にする、ちょっと不思議な(?)建物です。
四角いコロッセオの内部は、昨年の7月からイタリアの大手ファッションブランドのフェンディ(Fendi)が2028年までの15年間の予定で借りています。(賃料は月24万ユーロ、約3360万円)
現在も内部は改装中で、1階部分は"メイド・イン・イタリー(の作品)とイタリアの創造力(仮題)"と題したファッション博物館となるそうなので、近い将来、訪れることが出来そうです。
↑ 四角いコロッセオの一面を良くご覧下さい。
数えると、縦に6列、横に9列(6 X 9=54)のアーチ(穴)があります。
このアーチの数ですが、独裁者ベニート・ムッソリーニに関係しているのです。
彼の名前でもある、ベニートは Benito と書きますので、アルファベットを数えると、6文字あります。一方、名字のムッソリーニ Mussolini は数えると何文字になるでしょうか?9文字となります。ですので、6 X 9 となって彼の名前を示唆しているのです。
↑ あらゆる意味でシュールなコロッセオです・・・・。