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今日は、ローマ観光とは直接関係ありませんが、イタリアで感じたことについて少し書いてみたいと思います。
こういうこともあるんだなぁ~という程度に、お読みいただければ幸いです。
今日の21時30分頃、家に帰る為、ローマのチルコ・マッシモ付近の停留所でトラムを待っていたのですが、なかなか自分の乗るトラムが来ませんでした。(逆側は普通に10分置き位に来ていました)
先日から風邪気味だったこともあり、また今晩は風が強かったので、吹きさらしのホームで待っているうちに風が上着を通って、ぞくぞくっと寒さを感じ始めました。
そこでトラムは諦めて、代替方法として、少し行ったところにあるバス停でバスを待つことにしました。
そのバス停で待つと、2本は家の近くまで行くバスがあるのです。
少し可能性は増えるともいえますが、来る間隔はトラムより悪く、今行ってしまったばかりだとかで本当に運が悪いと、また20分位待つことになりそうです。とはいえ、バス停は吹きさらしではないのでトラムのホームよりはましです。
バス停へ移動しようと決めて、トラムのホームから動き出していたところ、自分の乗りたいバスが遠くからやってくるのが見えました。この時間帯といえばイタリアでは夕飯真っ最中で、道路を走っている車も少なく、バスはぐんぐんスピードをあげてやって来ます。
トラムのホームからバス停までは信号を一つ渡らなければならず、数百メートルはあるので、どう考えても間に合わないと思いましたが、走って行くことにしました。
真剣に走りましたが、赤信号で足止めをくらい、バスは目の前を通り過ぎてしまいました。
ところが、バスの運転手さんは私が走っているのを見ていたようで、バス停で待っていてくれました。
バスに乗ると運転手さんに感謝すると同時に、そういえば、昔、バスの運転手さんで面白いことがあったなぁと思い出しました。
昔、イタリア中部のペルージャという町に数年住んでいた時に、郊外の生協(コープ)に掛け布団を買いに行くことにしました。
ペルージャの冬はとても寒く、マイナス7度位にもなります。(ですので、冬場にペルージャ周辺を旅行される方、これから留学予定の方は、防寒対策をしっかりとされることをお奨めします)
その冬(2001年)は11月23日の夜が初雪で、ピザを食べに行った帰りに、中世の面影を残す町並みの中にほわんと灯る街灯の下で、キラキラと輝きながら落ちてくる真っ白い雪を見たことを覚えています。
やはり何かもう一枚ないと、この町では凍えそうというのもあり、日本人の友達と布団などを買いに行こうと計画したのですが、生協に行くにはバス(普通の路線バス)を乗り換えなければなりません。
初めての郊外、そして初めての生協訪問で、二人とはいえきちんと乗り継げるか不安だった為、バスの中で、バスの運転手さんに、"生協に行くには、どこでこのバスを降りて、次はどのバスに乗らなければならないのですか?" と尋ねました。基本的に田舎のバスなので、それ程本数もなかった様に思います。
すると運転手さんは、降りる場所が来たら、僕が教えるから心配しないで!というジェスチャーをします。
運転手さんの席の後ろで友達とおとなしく待っていると、とあるバス停に着きました。
既に土地勘がない地域で、降りたらいいのかおろおろしていると、運転手さんが、"君達、今ここですぐ降りるんだ!そして、あのバスに乗れ!" というので、あのバスってどのバス?と思っていると、そのバスは少し前方でお客さんを降ろして、発車しようとしているバスでした。
"えっ、あのバスですか?でももう行っちゃうみたいですけど・・・。" と、友達とさらにおろおろしていると、運転手さんは "自分に任せとけ!" といったジェスチャーをし、バスを急発車すると、そのバスを暫く追跡、クラクションをビービー鳴らしてバスを止めてくれました。
そして、私達は運転手さんにお礼をいってバスを降りるのですが、びっくりしたのは前方のバスに乗っていた地元のお客さんだと思います。バス停でもないところでバスを止めて、いったい誰が乗ってくるんだと・・・。
すると日本人の女の子二人です。しかも生協へ行くために。
その後、友達とは、"すごいね~。イタリアの運転手さんって女の子が乗って来るとバスまで止めちゃうんだ。" と笑い話になりましたが、女の子に限らず、その後も何回か、日本の常識では考えられない(?)ような事に遭遇しました。
その数ヶ月後ですが、あるクラスメートが、日本に帰る日の朝に、近所のバス停でペルージャ駅行きのバスを待っていました。鉄道を利用してローマへ行き、ローマのレオナルド・ダ・ヴィンチ空港(通称 フィウミチーノ空港)から日本へ出発する為です。
大きなスーツケースを持っていたのですが、来たバスが満員だったそうで、スーツケースと一緒にはとても乗れそうにありません。
飛行機を逃したらどうしようかと思って冷や冷やしていた友人は、イタリア語がまだ充分に出来なかったので、ほぼ片言で、 "わたし、日本人。日本帰る。飛行機乗れない、困る。" といった所、出入り口付近に立っていた3~4人がそこのバス停で降りてくれて、スーツケースと共に無事、バスに乗ることができたのでした。
今晩は、バスを止めて待っていてくれた運転手さんをきっかけに、バスの運転手さん繋がりで、色々なことを思い出し、考えてしまいました。
困っている人にとっては、ちょっとした助けでも大きな助けになることもあります。
日本人は頑張り屋さんで、我慢強く、辛いことがあっても弱音を吐かないというのが世界の定説のようになっていますが、イタリアでは、困ったことがあれば、とりあえず口に出していってみると、どこからか助けの手が伸びて来て、思わぬ解決策に繋がることが良くあります。楽しいご旅行、ご滞在になりますように!