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やっぱりすごいなベルニーニ。バロック美術巨匠の傑作、天使の矢が聖女の胸を射抜く瞬間。

阿部 美寿穂

阿部 美寿穂

イタリア特派員

更新日
2014年4月2日
公開日
2014年4月2日
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今日は、恍惚の表情に目を奪われるジャン・ロレンツォ・ベルニーニの最高傑作のひとつ、"聖テレザの法悦"(Estasi di Santa Teresa)をご紹介します。

この教会は、ダン・ブラウンの小説「天使と悪魔」に登場した為、ますます訪れる人が増えています。

まずは、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(Gian Lorenzo Bernini)をご存知でない方の為に!2分で背景が解る様にまとめます!

ベルニーニは1598年にイタリアに生まれたバロック美術の巨匠(最後の万能の人とも)で、ローマで50年以上の長きに渡り、建築、モニュメント、彫刻作品など様々な分野で多くの傑作を残しました。ローマでは、その名作の多くが無料で鑑賞できます。(教会内、広場、噴水など)

バロック美術とは17世紀に開花した美術様式で、ダイナミックな動き、強烈なコントラスト、装飾過多(これでもかという位ゴテゴテした感じ)などを特徴としています。例えば、建築物は曲線的でうねうねしています。

好きか嫌いかの好みははっきり分かれると思いますが、この様式は視覚的に劇的な効果が狙える表現方法といえると思います。彫刻に彫られた人の表情や動きなどがかなり大袈裟なので、見る人の感情に訴えかけます。

まとめ: この時代、ベルニーニなどの凄腕の芸術家達がローマで活躍したので、ローマがバロックの舞台(バロックの都)となりました。

この"聖テレザの法悦" は、聖母マリアに捧げたサンタ・マリア・デッラ・ヴィットリア教会(Chiesa di Santa Maria della Vittoria)の祭壇に向かって左手にある、コルナーロ礼拝堂の中にあります。

ほとんどの人がこれを見にやって来るといっても過言ではありません。

↑ 教会内部。写真をご覧下さい。この教会は、バロック建築装飾の典型的な例です。天井や壁にたくさんの天使(石膏で造った)が貼り付いているのが見えますでしょうか?

内部はカラフルな色大理石をふんだんに使い、ゴテゴテ系の美しさであります。

↑ こちらです!コルナーロ枢機卿が、家族の為の礼拝堂としてベルニーニに依頼しました。ベルニーニが48歳の時の作品です。結構、精神的に失意の時期だったんですよ。

↑ 背後に金メッキの青銅の神秘的な光が射し、神の愛に心を射抜かれたアビラの聖女テレザが恍惚の表情を浮かべる瞬間を表現しています。衣服のしわ、投げ出された手足の表情などをご覧下さい!

この像は、真四角の大理石から掘り出した(彫り出した)ということを忘れさせてくれる様な柔らかさです。

神の愛に突き通され、恍惚状態の聖女テレザ。

ベルニーニが表現したこの一瞬はどういう事が起こったのか、引用したいと思います。

「ある日、たいそう美しい天使が私の前に現れた。

手には長い黄金の槍を持ち、穂先には炎が灯っている様だった。それは私の胸に深く打ち込まれ、あまりに深いので私の身体を付き通したかの様だった。

そして天使が槍を引き抜いた様に感じられた時、私は神の大いなる愛の炎に包まれた。傷口の痛みはとても激しく、うめき声を上げる程だったが、この痛みが呼び覚ます喜びは大きく、心は安静になり、止めて欲しいとは思わなかった。

私の魂はまさしく神そのもので満たされていたからである。痛みはとても大きかったが、それは肉体的なものではなく、精神的なものであった。私の魂と神との間に繰り広げられる優美な純愛であり、私を疑う人々にも、このお恵みをもたらして下さる様祈願する。」 (アビラの聖女テレザ、自叙伝、第29章13節より)

↑ 向かって右側の窓からそんな様子を見ているコルナーロ関係者。皆を巻き込んでしまって臨場感あります!礼拝堂の建築・設計など全てベルニーニが行いました。

聖女の頭上から自然光が入るように設計されており、午後に訪れると素晴らしいです。

↑ 教会は、バロックの粋を集めた装飾です。

天井を覆うフレスコ画の"異端に勝利する聖母"や、クーポラの"聖母被昇天"も大変美しいです。天使が!

頑張りましたが、写真ですと素晴らしさが上手に伝わらないかもしれませんね。

実物でないのでやはり限界があります、皆さんすみません!

ご自身の目で見られると、美しさに感動されてしまうと思います。それではまた!

インフォメーション:

住所 Via XX Settembre, 17

電話 0039-06-42740571

オープン時間 午前7時~午後12時まで、午後15時30分~午後19時まで。

*ご注意 オープン時間は都合により、予告なしに変更になることがあります。

休日 なし

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