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イタリアで日々痛感しているもの、それは何といっても人との縁の大切さ。イタリア人は家族、親戚、ご近所さん、友達などの知り合い(人脈)を非常に大切にします。良くも悪くも究極のコネ社会といわれる所以です。
そこで思い出した言葉が、無線電信を発明したイタリアの科学者マルコーニが確か言っていたと記憶していますが(?)、六次の隔たり(six degrees of separation)というものです。人は知人の知人というつながりを6人芋づる式に繋いでいくと、世界中の人々と知り合いだという仮説です。
↑ ローマ市営バラ園。毎年5月オープンで、入場無料。
例えば、私はオバマ大統領とローマでピザを一緒に食べたいと思うとする。もちろん、私はオバマ大統領を直接知らない。
私には44人の知り合いがいるとして、私の知り合いの一人であるBさんに"オバマ大統領とピザ屋に行きたいんだけど、誰か知っている人(オバマ大統領を)いないかなぁ?"と相談する。
Bさんの友達44人が私の友達44人と重複しないとして、この様にオバマ大統領との食事の件について次々と友人に聞いていってもらう。すると、私の6次以内の間接的な知り合いは44の6乗=7,256,313,856人となるので、地球の人口70億人を上回る。
つまりは、赤の他人でも5人知り合いを間に置いてたどって行けば、世界70億人の人達とものすごく簡単に繋がるってことですね~。有名なあの人も実はすぐそばにいるかも。これっ、すごいことですよ!
ただ、友人同士の知り合いが重複していたりするので(私の友人Bさんは私と共通の友人Mさんを持っていたりとか)、多少友人を減らしてみて、私を含む全ての仲介者が重複しない知り合いの数を23人とすると、 23の6乗=148,035,889人となり、日本の総人口約1億2千万人を軽く上回ってしまいます!簡単ですね、結局、友達の友達は皆友達なんですね。
一昨年にはFacebookとミラノ大学が世界7億2100万人のFacebookユーザーのネットワークを調べたところ、世界中の4.74人目は友達の友達と言う驚くべき調査結果がでていました。
イタリア国内のみの調査では隔たりはさらに小さくなって、わずか3次の隔たり(相手が4人目)で繋がっていたそうです。
イタリア人は人とうまくやるのがとてもうまいと思いますが、妥協が上手なんじゃないかなと思います。近所の人や親戚の人、会社の同僚の中には、自分の気に入らない人、気が合わない人、いい加減な人、嘘つきな人、見るだけで嫌な人などが必ずいると思います。
彼らは拒絶せずに、"まぁ、この人しょうがないか~"と赦してしまって、うまく付き合っていくのがとてもうまい気がするのです。結局自分もお互い様だし(自分も多少なりともどこか変だし?)というのもあるのかもしれません。
イタリア人の長所の一つは、慈悲の心を持っていることだと思うのですが、これはどんなに腹が立つ人でも、最後は結局、かわいそうだから赦す!みたいなパターンになっているのがほとんどなので、これはすごいことだなぁといつも思います。
カトリックのお膝元だからと長い間思っていたのですが、特に篤い信仰がない人でもそうなので、宗教の教えとは関係がないかもしれません。(神様が見ているので生前に悪いことをすると死んでから罰があたるとか、地獄に行くとか)
自分と100%同じ価値観や物の考え方を持つ人なんて滅多にいないでしょうから、まぁ、諦めてしまっているところも多かれ少なかれあると思います。
もちろん自分に害を与える程おかしい人に対しては、彼らも全力で戦いますし向かっていきますが、たいしてダメージがなければ"あぁ~そうなの、はいはい。"みたいな感じで適当にかわすのがとても上手です。
基本的にコミュニケーションの国なので、大嫌いな人(自分とは合わない人)でも無視はせず、適当にしゃべっています。口だけはききましょうみたいな・・・。
根底にはもし自分が弱い立場になった時に、その人にいつお世話になるかわからないという恐怖もあるみたいですね。
世間は狭いと言いますが、日本で行われた実験でも、日本のあるバラエティ番組で"与那国島の地で最初に見かけた人に友人を紹介してもらい、何人目で明石家さんまに辿り着くか!"という企画を行ったところ、7人目で行き着いたそうです。日本の西の果てにある島から出発しても7人でとはすごいですねぇ~。
限りある長さの人生の中で出会った人との縁は特に大切にしていきたいですね。
イタリア人を見習って、例え激しく衝突することがあっても(彼らの喧嘩は強烈ですが)、"まっ、この人も人間だからしょうがないっか~エヘ。" とか、"あたしにゃ、もっと大事なことがあるからこんなことにかまってらんねぇ~"(←実際、よく言っているのを聞きます)みたいなおおらかさというか余裕のある態度でいれば、人生も面白いかと思います。
イタリア的コミュニケーション術(?)はビジネスにも大いに利用されていますね。特にフリーランスで働く人や企業の社長さんなどにとっては人脈はまさに宝です。
イタリア人、見ず知らずの人にでも本当に良く喋ります。そうやって次々と新しい縁が生まれていくようです。