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ローマの観光スポットの一つに、フォロ・ロマーノ(Foro Romano)という場所があります。
ところでイタリア語では文を構成する時に、形容詞を名詞の後ろにくっつけます。(英語の逆)
例えば、白い犬は英語ではwhite dog (ホワイト ドッグ)といいますが、イタリア語ではcane bianco (カーネ ビアンコ)となります。カーネは"雄のワンちゃん"の意味で、ビアンコは"白い"という意味の単数の名詞(ここではワンちゃんが一匹だから)を修飾する時の形容詞です。
イタリア語と同じ言語のグループのロマンス諸語には、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、ルーマニア語などがありますので、どれか一つ知っておくと、他の言語の習得もあっという間です。
それでは"フォロ・ロマーノ"という語を分解してみます。
"フォロ foro"とはイタリア語で"公共広場"の意味で、今日でも"集い"などの意味で使われる"フォーラム"という語の語源です。"ロマーノ romano"は"ローマの"という意味の形容詞なので、フォロ・ロマーノとは"ローマの公共広場"という意味です。英語では反対に形容詞が前に来るので、Roman Forum といいます。
ローマは紀元前753年の建国の後、小さな集落がやがてもう少しだけ大きな村になり、そして町へという感じで、少しずつ少しずつ人が増えていきました。こんな感じに↓。
↑ カンピドーリオの丘(現カピトリーノ美術館がある所)には最初はこんな風にぽちぽちと人が住んでいたという想像図。青銅器時代。
すると、買い物をする市場やお金の取引をする為には銀行が必要になったり、また人と人との揉め事を仲裁するためには裁判所が必要になったり、町としての機能がだんだんと整ってきます。
ところがこのフォロ・ロマーノの場所は大昔は沼地だったので(コロッセオの下も)、水を排水する為の巨大下水溝、クロアカ・マクシマの登場です!沼地だけならいいのですが、マラリヤがすごかったのです。やっぱり人が安心して住めるように開拓しないと!
この下水溝が紀元前6世紀に地下に掘られ、すぐ近くのテヴェレ川へ水をがんがん排水することによって徐々に土を干上がらせることにしました。
太い下水溝のクロアカ・マクシマはがぶがぶ何でも飲み込んでしまうというという意味で、今でも大食いの人のことを「あんたクロアカ・マクシマみたいだね。」と例えます。
排水が完全に成功すると、この地は政治や経済、宗教の中心地であるフォロ・ロマーノとなりました。大昔は、ローマの中心=ほとんど世界の中心 だったので、この場所は歴史的中心地として重要であり、1980年に世界遺産登録となったのでイタリア国内では第2号です。
今はすっかり猫屋敷化していますが、ここで市民や政治家達が集まって政治討論を繰り広げたり、銀行に行ってお金を貯金したり、暇な時には道端で囲碁将棋にあけくれたり(今でもローマの人はやってます)、皇帝は演壇で演説をしたりしていました。これらは遺跡として見れます。
フォロ・ロマーノはコロッセオとヴェネツィア広場の中間に位置していて、ローマ観光の主要スポットの一つです。これらはくっついているので、コロッセオとパラティーノの丘との共通券で入場見学することができます。
今日は中に入場せず、外からフォロ・ロマーノのきれいな写真を撮れる場所のご紹介です。
まずはカピトリーニ美術館に入場しましょう。
入場口のあるコンセルヴァトーリ宮から入ると、コンセルヴァトーリ宮とその正面にある新宮(どちらも同じ美術館)を結ぶ地下道があります。お墓の碑文などが展示されている地下道をぐんぐん進み、右に曲がると、市庁舎の真下にあるタブラリウム(Tabularium 古代ローマの文書館)にでます。タブラリウムはテラスになっていて、ここからは目の前にフォロが一望できます。
フォロ・ロマーノの遺跡に入場してパラティーノ丘からも写真を撮れるのですが、上から見下ろす感じになるのと、手前に植わっている木々が少し邪魔なので、神殿の円柱などをこんなに近くには撮れません。
フォロ・ロマーノの遺跡はできれば日本語のガイドブック持参で入場して見学してみて下さいね。
↑ 今日も暑いローマでした。