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皆さん、こんにちは!
ここ数日、ちょこちょことローマで日本人が盗難にあったという情報が入ってきています。
今回は日本人旅行者や在留邦人が事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項や緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載された安全の手引きを掲載したいと思います。
この安全の手引きはローマにある日本国大使館がまとめたものより、筆者が最重要部分を抜粋しました。
イタリア旅行に限らず、海外では知っておきたい大事な事項ばかりですので是非お役立て下さい!
まずは在イタリア日本国大使館による最新情報です。
当館に報告されている盗難被害の大半は、スリ、置き引き、引ったくりです。
また2011年に発生した件数は、スリ:13万4千件、引ったくり:1万7千件、前年比で約2割増えています。(イタリア内務省発表)
そして、2011年上半期のローマ等における盗難被害発生状況については、下記のとおりとなっています。
発生状況 1.地下鉄・列車・バス(35%) 2.路上・広場等(27%) 3.レストラン(8%)
盗難種別 1.スリ(50%) 2.置引き(33%) 3.ひったくり(6%)
傾向等典型例として、
○主要観光地や公共交通機関内 (ローマ地下鉄A線で多発)等の人混みにおけるスリ被害
○深夜に出歩く旅行者に対する強盗(ローマテルミニ駅周辺等)
それでは安全の手引きをお届けします。
安全の手引き
イタリア生活を安全に過ごすために
イタリアは、日本に比べ、必ずしも治安の良い国とは言えません。その原因は様々ですが、犯罪組織(マフィア)の存在、違法薬物の蔓延、不法移民の増加といった問題が挙げられます。従って、イタリアで生活する場合には、日本にいる時以上に安全に対する意識を高めることが重要です。
ローマ、ミラノ、ヴェネチア、フィレンツェ、ナポリなどの観光地を中心にスリや置き引き、ひったくりなどの犯罪に遭う日本人が後を絶ちません。こうした被害は皆様一人一人が防犯意識をしっかり持つことにより、ある程度、予防することが可能です。
1.防犯の基本的な心構え
(1)当国事情の理解
安全な海外生活を送るためには、まずその国の事情をよく理解する必要があります。生活習慣、国民性、社会環境はもとより、政治、経済情勢、対日感情、文化などについての理解が不足していたために誤解や摩擦が生じることがあり、ひいてはこれが犯罪被害につながることもあります。しかし、これら諸事情を理解するということは一朝一夕にできることではありません。長い期間当国に在住されている方々の意見に耳を傾け、出来るだけ早く当国事情を理解するよう努めていただきたいと思います。
(2)信頼関係の醸成
イタリア人は人間関係を大変重要視する国民であるといわれています。アパートの上下左右等の隣近所の人たちや管理人等と日頃から良好な関係を維持しておくことは、万一の事態に際し、大変心強いものです。
(3)危険な地域・危険な時間帯
どんな国でも、人気のない暗い通りや薬物中毒者等の集まるような場所など日常生活で危険と考えられる場所や時間帯がありますが、このように「危険」と言われている場所などには、特別の用事がない限りは「君子危うきに近寄らず」の言葉に従うべきと思われます。
(4)自分の身は自分で守る
まだまだ無防備の方々が散見されます。日本の生活感覚のままでいることなく、常に周囲に気を配り、自己防衛意識を持つことで被害を未然に防ぐことができると思われます。
(5)安全対策は外部からわかるようにする
安全対策には万全ということはないかもしれませんが、特別の事情が無い限り、対策がより厳重であればあるほど犯罪被害は減少すると言えます。また、十分な安全対策を講じているということが第三者からわかるようにしておくことも肝要でしょう。犯罪者も、罪を犯す際の危険度を最小にしようとするものです。自分が犯罪者だったら、どのような人を狙うかを考えてみることも防犯対策上有益であると思われます。
2.防犯のための具体的な注意事項
(2)外出時
○買い物中
洋服や靴の試着中に、傍らに置いたバッグを盗まれるケースも多く見受けられます。店員がいるからといって気を許してはなりません。混雑した市場やのみの市などへは、最小限必要な金額以外は持参しない方が良いでしょう。
○レストランにて
食事中にバッグを背もたれに掛けたり足元に置いたりするのは、グループであっても禁物です。上着やコートのポケットに貴重品を入れたままコートかけに掛ける、或いはセルフサービス等では、座席に貴重品を置いたまま食事を取りに行くなどは厳に避けるべきです。
また、ホテル内レストランにおいても、油断はできません。友人1人に貴重品を預け、トイレや食事を取りに行った際に、後方から声をかけられ振り向いた瞬間に他の仲間により荷物を持ち去られるケースも多くあります。
○ホテルにて
有名ホテルといえども、ロビーや廊下は屋外と同じと心得るべきです。チェックインやチェックアウトの際に足元やカウンターに置いたバッグ等を置き引きされるケースは後を絶ちません。また、部屋の中も決して安全とは言い切れません。誰かがドアをノックしても、相手が誰であるかを確認するまでは決してドアを開けないようにしましょう。従業員になりすました泥棒がベルを鳴らし、いろいろな理由(空調やバスルームのチェック等)を付け部屋に入り、堂々と泥棒を働くケースもあります。この様な場合、フロントに電話をかけ事実確認をすることをお勧めします。
また、ホテルの部屋にあるセーフティーボックスも安全とは言えません。セーフティーボックスに貴重品を入れておいたところ、セーフティーボックスごと盗まれてしまった、セーフティーボックスを開けられて貴重品を盗まれてしまったというケースも発生しています。セーフティーボックスが堅牢であるか、簡単に持ち去られるものではないか、確認されることをお勧めします。
○銀行にて
銀行又はキャッシュ・ディスペンサー(ATM)で高額のお金を引き出した場合、近くにたむろしている人物に注意しましょう。銀行内にはガードマンがいるから大丈夫と思っていると、外へ出てから後をつけられ、車の乗降やアパートの入り口で鍵を開けるときなどの一瞬の隙をついて鞄ごと引ったくられるというケースが少なくありません。またキャッシュ・ディスペンサー(ATM)を利用する際にも、背後から話しかけられ、気を取られた瞬間に現金を抜き取られるケースもあります。
なお、キャッシュ・カードによるキャッシュ・ディスペンサー(ATM)の利用は、カードが機器内に吸い込まれ、戻ってこないトラブルがしばしば起こります。銀行へのクレームができる銀行の営業時間内の利用が無難です。
また、キャッシュ・ディスペンサー(ATM)から預金を引き出した旅行者や在留者が、カード情報や暗証番号を読み取られ、預金を不正に引き出される事件が相次いでいます。この種の犯罪の手口は、何者かがキャッシュ・ディスペンサー(ATM)に小型の機械を取り付けカード情報を読み取り、クローンカードを作成すると共に、暗証番号を入力する際の手の動きを小型カメラで撮影して暗証番号を盗みとるなどといったものです。予防策としては、近くに人がいなくても暗証番号を入力する際には手元を完全に隠し番号を読み取られないようにする、現金を引き出す際はキャッシュ・ディスペンサー(ATM)周辺に不審な機械が取り付けられていないか十分確認する、なるべく銀行建物の中にあるキャッシュ・ディスペンサー(ATM)を利用する等です。特に大金を引き出す際は、セキュリティーのしっかりした銀行内のキャッシュ・ディスペンサー(ATM)を利用するようにしましょう。
○空港や駅にて
空港や駅は旅行者が多いため、彼らを狙う人物が、両替所付近や荷物の引き取り所等にたむろして、スリや置き引きの機会を狙っています。タクシーはタクシー乗り場で容易に見つかりますので白タクは絶対に避けて下さい。走り出してから法外な料金を強要したり、荷物を持ち逃げする、或いは不良ホテルに乗り付けて無理やり宿泊させる例もあります。
○地下鉄やバスにて
ローマでもっともスリに遭う危険が高い場所の一つが地下鉄やバスなどの交通機関です。日本人が被害に遭うのは、A線のテルミニ駅からスペイン広場駅の間、B線ではテルミニ駅からコロッセオ駅の間で特に多く発生しています。地下鉄に乗り込む際に、後ろから子供達が押し込む様に電車に乗り、その際にポケットから財布等をスリ取る事件も発生しています。また、カッターでバッグを切り、中の貴重品だけを盗るケースもあります。混雑している車内、特にドア付近が危険です。混み合っている車両は避け、止むを得ず車内が混み合っている車両に乗車した場合には、必ず手荷物を自分の前に抱え、常に注意する必要があります。
○路上にて
<集団スリ>
放浪者風の子供達や赤ん坊を抱いた女性が近づき、金品を抜き取る手口は減る気配を見せません。手を差し出しお金をくれと言いながら近寄り、相手の注意を赤ん坊や手に集中させ、その本人及び第三者から見えない角度からバッグ内に手を差し込み貴重品をスリ取る事件も発生しています。浮浪者風の子供や赤ん坊を抱いた女性が近づいてきたらバッグ等をしっかり抱え、明白に拒絶する態度を見せる必要があります。
<引ったくり>
オートバイに乗った2人組による引ったくりは、強引なため、路上に倒されて大怪我をする場合もあるので要注意です。歩行中に背後から、あるいはバスや車の乗降の際の隙をみてバックなどを奪い取ります。特にナポリを中心とした南イタリアで多く発生しています。バックや買い物袋等を持っているときは、歩行中は車道側ではなく歩道側に持つ、バスや車に乗降する際はバックを抱える等の注意が必要です。
<睡眠薬強盗>
外国人旅行者を装うなどして親しげに近づいてくる者を信頼するのは禁物です。意気投合して一緒にバールへ行き、出された飲み物を飲んだらたちまち意識を失い、気づいた時は病院のベッドで貴重品は全て無くなっていた、という事例が発生しています。また、目が覚めたら怪我をしていたという場合もあり、特に注意が必要です。
<暴力バー>
紳士風で親切な態度で話しかけてきてピアノバーなどに誘い、飲食した後で、店から脅迫的に莫大な料金を請求され、クレジットカードで無理やり払わされるというような手口で、特に単身男性旅行者に被害が多いようです。また、その手口の一つとして、路上で地図を広げ、観光客を装い、英語等で道を尋ねてきます。親切のつもりで道を教えたり、一緒に観光地へ行ったりするとその後で、「お礼に私のおごりで飲みに行こう。」と誘われ、ついていくと高額な請求を強要されるケースが発生しています。
もし、請求額に納得がいかない場合は、現場から警察(113番、又は112番)に電話して介入を求めることも必要です。クレジットカードで支払った場合は、二重、三重に引き落とされることもありますので、未然防止のためにカード会社に連絡するようおすすめします。
<ミサンガ売り>
スペイン広場やコロッセオ、ナヴォーナ広場、トレヴィの泉などの観光スポットで、紐状の飾り物(「ミサンガ」)を手首に巻き付けられ、その代金と称して高額な金を請求されたり、代金を払おうとして財布を出したところ、財布を強奪される事案が発生しています。
<偽警官>
警察を名乗る人間が、警察手帳らしきものを見せながら近づき、パスポートや財布の提示を求め、財布からクレジットカードや現金を抜き取るという事案が発生しています。
具体的な事例
観光客風の犯人が地図を広げて道を歩く観光客に道を聞きます。すると、犯人の仲間の偽警察官が警察手帳のようなものを一瞬見せ、観光客に対し、彼から今麻薬を購入しただろうと嫌疑をかけ、麻薬検査などと称してまず、仲間の犯人の財布等を確認します。その仲間がごく自然にこの偽警察官に財布を委ねるのを見ているため、旅行者も財布や旅券の提示に抵抗せず要求に応じ財布を渡すと、財布内を検査している間に素早くクレジットカードや現金を抜き取る、といったものです。
また、偽札を持っていないかチェックしているなどとし財布を提示することを要求するほか、巧みにカード類の暗証番号を聞きだし、現金を引き出される事例もあります。
対応策としては、検査を要求された場合には、明らかに警察官であると判明しない限り(警察手帳(バッチ)を確認する等)応対しない、「路上では提示できない。警察署に行きましょう。」と言うなど断固とした態度が必要でしょう。その際、間違ってもPOLIZIA又はCARABINIERIと車両に明記されている車以外の車には同乗しないことです。市内であれば、通常、警察署は歩いて行ける距離にあります。多少でも疑いがある場合は、歩いて警察署に行くという意思表示をしましょう。あるいは、113番POLIZIA又は112番CARABINIERIに直接電話しましょう。偽警察官であれば、警察に電話した時点で逃げ出すことでしょう。
○列車内にて
列車内では、コンパートメントで荷物棚に鞄を載せたまま眠ってしまったり、座席に荷物を置いたままトイレに立っている間に被害に遭っています。寝台列車で枕元に貴重品袋を置き、目が覚めたら無くなっていたという例もあります。車両の部屋に個別の鍵があっても信用はできません。また、座席から離れた荷物置き場に置いた荷物が出発前に消えていることもあります。最近では大きな荷物を車内に運び込むのを手伝うように見せかけて、手荷物から貴重品を抜き取るという手口もあります。出発間際に列車の外から声をかけられ、注意をそらされている間に、列車の中にいる仲間に貴重品を盗まれる事案も多く発生しています。
3.交通事情と事故対策
(1)一般的な交通事情
交通マナーについても、日本と比べて良いとは言えません。車が方向指示器を点灯させずに行う無理な割り込みや追い越し、突然の右左折・突然の停車などが日常的にみられます。車・二輪車・歩行者ともに信号を守らないこともあり、また、車や二輪車が一方通行の道を逆行してくることもまれではありません。高速道路で、出口を間違えた車がバックしてくることもあります。また路上駐車が非常に多く、回りを確認しないまま急にドアを開けることもあります。運転又は歩行の際には、常に細心の注意が必要です。
鉄道、地下鉄、バス、タクシーなどの公共交通機関は、しばしばストを行います。また、ガソリンスタンドがストを行うこともあります。これらの情報は、新聞やローマ市交通局(atac)のホームページ上等で得ることができます。
4.最近の治安状況
(2)違法薬物の蔓延
イタリアへは、中央アジアや南アメリカなどからの違法薬物が、大量に流入していることが確認されていますが、最近は、若年層に対しても急激に蔓延しており、深刻な社会問題となっています。都市部では、薬物購入資金の入手を目的とした強盗事件等も多発していますので、薬物の密売が行われているとされるエリアや盛り場などには、近づかないようにしてください。
(3)不法滞在外国人の増加
密入国や不法残留によりイタリアに不法滞在する外国人が大きな社会問題となっています。不法滞在外国人の中には、職が得られないなどの事情により、比較的安易に犯罪行為に関与するものも多く見られることから、注意が必要です。
(4)国際テロ情勢
イタリアでは、イスラム過激派グループの活動も確認されています。これまでのところ、同組織が関与したとみられる大規模テロ事件は発生していないものの、最近、イラクやアフガニスタンにおけるテロ活動を支援するための資金獲得、偽造旅券の製造、テロリストのリクルート等を行う組織が相次いで摘発されているほか、2011年には、欧州における国際テロの脅威が高まる中、国際テロを謀議していた容疑でイスラム系外国人が逮捕される事件も発生しています。
5.緊急連絡先
イタリア全土共通
国家警察(救急車要請も可) 113
軍警察(救急車要請も可) 112
消防車 115
救急車 118
ローマ市
県警察本部 06-4686-2111、06-4686-2153
テルミニ駅鉄道公安室 06-4730-7955
在イタリア日本国大使館 06-487991
在バチカン日本国大使館 06-687-5828
在ミラノ総領事館 02-624-1141
(イタリア大使館及びミラノ総領事館は時間外や休館日に緊急の案件がある場合は、24時間対応できる体制になっています。)
6.緊急事態に備えての心構え
大規模災害やテロの発生などの緊急事態発生時には、日頃からの安全対策、心構えが肝要です。以下に平素の準備と心構え、緊急時の行動について必要な諸点をとりまとめましたので参考にされ、緊急事態発生時には落ち着いて行動されるよう心掛けてください。
(1)緊急事態に備えて日頃から準備
平時の準備と心構え
<連絡体制>
日本のご家族には自宅の連絡先だけでなく、所属先や友人など、複数の連絡先を伝えておきましょう。緊急事態発生の際には、どの順番でどこに連絡する、などをあらかじめ打ち合わせておくと混乱が防げます。
大使館に在留届を提出してください。転居や帰国の際にも届出をしてください。
緊急事態発生時には、大使館から在留届を元に安否確認、情報提供等を行います。届出の情報は最新の状態にしておく必要があります。
<携行品、非常用物資の準備>
パスポート、現金、クレジットカードなどは、直ちに持ち出せるように保管しておいてください。
非常用食料、飲料水、医薬品などは、最小限10日分位が必要とされています。
<避難場所>
自宅、勤務先が被害に遭った際や電話が通じなくなった際などに家族や同僚と落ち合う場所を決めておきましょう。
(2)緊急時の行動
<基本的心構え>
緊急事態が発生した場合には、あわてず状況を把握するために現地・海外報道、衛星放送の受信などにより情報収集、情報共有を心掛けてください。
平静を保ち、騒動に巻き込まれたり、群集心理に巻き込まれることがないよう、危険な場所には近づかないよう注意してください。
<大使館への通報>
邦人の被害などに関する情報を入手した場合には、大使館までお知らせ下さい。また、自分や家族、その他の邦人の生命、身体に危険が及ぶ恐れがあるときは、その状況を具体的に大使館までお知らせ下さい。
7.緊急時の言葉
「助けて」 Aiuto!(アユート)
「泥棒」 Al ladro! (アル ラードゥロ)
「火事だ」 Al fuoco! (アル フオーコ)
「警察を呼んでください」 Chiamate la polizia! (キャマーテ ラ ポリツィーア)
「救急車を呼んでください」 Chiamate un'ambulanza! (キャマーテ ウナンブランツァ)
「病院に連れて行ってください」Mi porti all'ospedale. (ミ ポルティ アッロスペダーレ)
在イタリア日本国大使館 Ambasciata del Giappone
住所:Via Quintino Sella, 60 00187 Roma
電話:06-487-991
FAX:06-487-3316
ホームページ:http://www.it.emb-japan.go.jp
(日本語)http://www.it.emb-japan.go.jp/index_j.htm
領事窓口時間:9時30分-12時45分, 14時15分-16時30分
皆さん、楽しいご滞在を!備えあれば憂いなしです!