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イタリア人自身も自虐的ジョークにする、やっぱりの結果だよなぁ~と思わせる面白い社会ニュースがもう何年も前より話題になっているのでお届けしたいと思います。
お喋りが大好きなイタリアの国民一人当たりの携帯電話の所有台数はヨーロッパ1位です。2005年の調査では、世界ランキングでもイタリアは香港に続く第2位となっています。
昨年度の最新調査によると、国民の81.4%が少なくとも携帯電話を1台所有しており、そのうち35.4%が1台のみを所有、25.7%が2台、11.5%が3台、8.8%が4台所有しています。携帯電話4台は持ち歩くだけでも重く大変な感じがしますが、いったいどの様に?と疑問は高まります。
人間が一度に喋れるのは一人とだけなのに、どうして4台も必要なのか筆者は長い間分かりませんでした。ある時、携帯電話を3台所有しているイタリア人の友人が、車を運転する時に1台をカーナビの替わりに車に据え付けて出発、残りの2台を"電話"として普通に持参していたのを見て、なるほどねぇ~と思ったのを覚えています。彼女は2人から同時に電話がかかって来た時、もれなく返答する典型的なイタリア人なので、案外こういう人は多いのかも知れません。
4台所有の場合は、電話の他にも何か秘密の用途があるのでは?と思ってしまいます。
未だに謎なので気になっています。ご存知の方は是非教えて下さい。
筆者の周りでは携帯を2台持っている85歳のデジタルお婆ちゃんもいます。
イタリア人はお喋りが大好きなので、電話を取り上げられたらこの世の終わりとしか言いようがありません。電話が壊れた日は絶望の淵にいるのが手に取るようにわかり、しゅんとしています。
イタリア人一人当たりの携帯電話所有台数値が膨れ上がってしまった理由の一つとしては、イタリアでは携帯電話使用料金の支払い方法はプリペイドカード方式が主流ということです。
プリペイドカード方式とは、携帯電話を持ちたい場合、街中にある電話会社からまずSIMカードを購入して電話番号を貰います。それを自分の携帯電話機本体に入れ、あとはタバコ屋さんやスーパーマーケットでその電話会社専用のプリペイドカードを買って自分でチャージすればすぐに電話は使えます。
プリペイドカードは5ユーロから購入可能で、自分でチャージした金額の中から差し引かれていくので電話の使い過ぎを気にしビクビクする心配がありません。
おそらく、安いキャンペーンを見た消費者がSIMカードを色々な電話会社から購入し、それらを1台の携帯電話機本体に入れて使用する場合もあるので、統計上には携帯電話所有台数が多く反映された可能性もあるとも推測されています。それに反し海外では1社と契約を結び、月々の使用量を払います。
もう一つの理由は、イタリアは固定電話の通話料金が高い為、毎月の高額な電話使用料金支払いを回避する為、率の良い携帯電話を使用する傾向にあるのではないかとの推測です。
調査によると、イタリアの固定電話の通話料金はヨーロッパでも最も高額な国の一つだそうで、ヨーロッパの平均固定電話料金の150%です。その他、イタリアでは固定電話から携帯電話にかけた時、固定電話から別の電話会社の固定電話にかけた時など通話料金がさらに加算され、とても高額になります。
テレビのコマーシャルを見ると、電話会社の宣伝ばかり見かけるような気がするのですが、これは筆者の単なる思い過ごしでしょうか?
頭にすぐ浮かぶ、インパクトのあるコマーシャルもコーヒーのメーカーか自動車会社、電話会社です。そういえばどれもイタリアでは所有台数が多いものばかりです!
ところがです。イタリアでは携帯電話の通話料金も決して安いとは言えないのです。フィンランド政府の調査によると、携帯電話の1ヶ月の使用料金(固定料金プラン)はヨーロッパの他の国々とも比べてこれまた高いのです。
1ヶ月に300分の通話と100のショートメッセージを送ることのできるとする電話会社のプランを比べた所、イタリアでは200ユーロ、一方ヨーロッパ諸国の平均値は100ユーロ弱となりました。
結論です。
調査機関の数値に若干誤差があったとしても、お喋りが大好きなイタリア人であることに異論を唱える人はいません。筆者の周りでランダムに10人抽出した所、5人が携帯電話を最低2台所有していました。
家族や親戚、友人には1日何(十)回も電話をし、「元気かい?」と尋ねる為の電話は大切なコミュニケーションの手段となっています。
ローマでよく見かける、大きな声で独りごとを言いながら道を歩いている老若男女は、イヤホンを使っての電話中の人です。
電話が見えないので、一瞬「何だ何だ?私に話しかけているのかい?」と思い仰天しますが、決して驚かれませんように!
皆さん楽しいご滞在を!
(出典:Nano Press Economia 17/10/2012, Corriere della Sera del 2005 他)