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今回はローマのパワースポットの一つともいわれるパンテオン(Pantheon)をご紹介します。
↑ 皆さんもこのまん丸の形の建物をどこかで見たことがあるのでは?
ローマ建築の理想モデルとして、世界各地にパンテオンの形にそっくりな大学施設や教会などがたくさんコピーされました。写真のこちらがパンテオンモデルの生みの親のパンテオンです。
↑ どす~んと居座るモデルとなったお母さんのパンテオンは、世界最大の石造り建築の遺構です。
2000年前の建築物がほぼ完全な形で残っているのは、世界でもローマだけかもしれません。こういったものが入場無料なのも嬉しいですね!
パンテオンとはギリシア語のPan (パン)"全ての"、theos(テオス)"神"より由来し、"全ての神々の神殿"という意味で、様々な神々を祀る万神殿でした。
そもそも初代パンテオンは、紀元前27~25年にアグリッパ(初代ローマ皇帝アウグストゥスの腹心で、後にアウグストゥスは自分の娘を無理やり嫁がせたのでお婿さんに)がこの地区の区画整備の一環として、この位置に建てましたが火災で焼失してしまいました。昔は火事が多かったのです。
今皆さんが目にしているお母さんパンテオンは3代目で、あの旅が大好きなローマ皇帝ハドリアス(過去記事:がっつり世界遺産 from Tivoli。ハドリアヌス帝の別荘 その1 こちら)が118~125年に再建したものです。
↑ 幸運だったのは、このお母さんパンテオンは608年にフォカス皇帝が時のローマ教皇に献上し、教皇は609年に聖母と殉教者を祀るキリスト教の教会に改宗してしまいます。キリスト教の聖堂となったことで、破壊や略奪を免れたのです。
旅する皇帝ハドリアヌスは、パンテオンを再建したけれども、自分の名前を正面の碑文に入れませんでした。
そのかわりに、初代パンテオンを建造したアグリッパに敬意を表し、ラテン語でM•AGRIPPA•L•F•COS•TERTIVM•FECIT (Marcus Agrippa, Lucii filius, consul tertium fecit)
"ルキウスの息子のアグリッパが3回目の執政官時に建造" と記した銅板を貼り付けました。
何とも男らしいではありませんか!彼はいつも自分の名前は入れませんね。
↑ 外から見ると内部は大きい様に見えませんが、中に入ると広さと "丸さ" にびっくりします!
何故なら、美しいハーモニーを醸し出すよう、床からクーポラ(ドーム)までの高さはクーポラの直径と等しくなるよう設計されているのです。見学者は中に入るとまん丸のボールの中にすっぽりと入ったみたいな気がします。
内部は上品な黄色で統一され、まん丸さとも相まって "美しさと調和" という言葉が浮かんできます。このセンスの良さ!ヌミビア産(現チュニジア)の黄色い大理石を円柱に使っています。
黄色好きな人にはたまらないかもしれません。(風水でいうと黄色は金運を呼ぶ?)
床の大理石で造ったカラフルな模様も大部分が当時のまま!
しかし驚くのはこれからです。上を見て下さい。
↑ 天井に穴が開いているではありませんか!
クーポラ(ドーム)に開いた直径約9mの天窓は完璧なまん丸!
あまりに完璧なので、悪魔が教会から追い出されて天空へ逃げる際に開けていったものと信じられたこともありました。
↑ 一日の中で時間によって光の帯がパンテオンの内部を動いて行きます。エネルギーを感じます!
クーポラ(ドーム)も直径43.3mとあまりに巨大なので、これも人間の手で造られた物でなく、悪魔の作品ではないか思われたこともありました。
また、大昔の人は不思議な力の為に、この円窓からは決して雨が入ることがないとも信じていました。もちろん迷信で、窓なので雨は入ってきます。床に排水の為に秘かに22個の孔が開いています。
そもそも丸い形のドームを建築物にかけること自体、非常に高い建築技術を要します。さらに、半球形のドームは石材な為ものすごい重さになり、しっかり設計しないとドームをのせるどころではありません。よって、技術者達は高さによって石の材質を使い分けており、ドーム最上部は重さを軽減しないと落ちてしまうので、凝灰岩と軽石を混ぜたりして素材として用いています。
いずれにしても、ドームは重いので、その重さを下でしっかりと支えるため、パンテオンでは壁面の厚さはなんと6.2mもあります。
パンテオンの外に出て後部から見ると、ドームの石の重さを分散させる為、しっかりとしたアーチが支えています。こうした古代の高い建築技術により、2000年経ってもドームが落ちずに(壊れず)にかかっているのです。
ローマ人はコンクリートを発明し、ローマ建築の中で最大限に取り入れられています。(橋や水道橋など)
ローマ建築に関する記事:ローマに来たなら一度は近くで見てみたい、迫力のローマ水道!(公園の行き方最新情報) こちら
ある作家の方がイタリアに居るとインスピレーションが次々湧いて来て、きっとパワースポットがたくさんあるに違いないとおっしゃっていました。
パンテオンは様々な神様を祀る万神殿であったことや、奇跡的に今日まで破壊されず完全な形で残ったこと、イタリア国王のお墓などがあることを考えると、きっと不思議な力があるかもしれませんね!
↑ 天窓の真下です。携帯電話を床に置いて、まん丸の天窓の写真を撮っていく人が多くいます。
ルネッサンス時代の画家ラファエロも自らパンテオンの中に眠ることを希望しました。こちらは彼のお墓です。
ハンサムで優美な画家のお墓の前はパンテオンの中では一番人気で、いつも観光客で一杯です。一瞬のすきを狙って撮りましょう!
ラファエロ関係の記事:
1. ルネサンスの宝石。ラファエロの美しいフレスコ画が圧巻、ヴィッラ・ファルネジーナ。 こちら
2. ラファエロのフレスコ画 "巫女" が残るサンタ・マリア・デッラ・パーチェ教会。 こちら
円柱は小さく見えますが、高く、1本14mあります。
パンテオンでは、その大きさ、美しさと調和、古代の英知の集大成ともいえるローマ建築技術の高さを体感してみて下さい!お奨めパワースポットです。
インフォメーション:
名称 パンテオン Pantheon (Chiesa di Santa Maria ad Martyres)
住所 Piazza della Rotonda
開館時間 平日 8:30~19:25、日曜日 9:00~17:35、祝日 9:00~12:55
休館日 1/1、5/1、12/25
入場料 無料
* パンテオンの正面にあるイルカの噴水の後ろに、無料の水飲み場があります。