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カトリック教会では、先日3月27日(日)がイースター(復活祭/イタリア語:パスクア)でした。
皆さんご存知の様に、こちらにはローマ法王のいるバチカン市国がありますので、ローマはばりばりのカトリック教会のお膝元と言っても良いでしょう!
十字架に架けられて死んだキリストが三日目に復活したことを記憶するこの復活祭は、カトリック教会(キリスト教)の暦の中で一年で一番重要な日で、復活を喜ぶ信者達の気持ちの盛り上がりも最高潮に達します!
イースターに続く一週間は、聖なる一週間と言い、月曜日から毎日、ミサやイベントなどが催されます。
特にイースター(日曜日)の前の三日間は"聖なる三日間(聖木曜日、聖金曜日、聖土曜日)"、イタリア語ではトリドゥオ・パスクアーレ(Triduo Pasquale)と言い、一年の中で最も重要な三日間です。
この聖なる土曜日(イースターの前日)は、"復活徹夜祭(英語:イースタービジル Easter Vigil、イタリア語:ヴェーリア・パスクアーレ Veglia Pasquale)"と言って、夜通しミサが行われます。
いつもこの時期は、イースターのチョコレートの卵なり、ご馳走なりを食べてばかりの一週間なのですが、今年はいつもと違う知的な過ごし方をしました。
近所の奥さん方に聖土曜日に教会で行われる夜通しのミサに誘っていただいたのです。
イタリア人はキャラクター的にとてもオープンでフレンドリーなので、いつも色々と親切にしていただいて助かっています。"隣人を己のごとく愛しなさい"というキリスト教の教えを思い出します・・・。
一人の奥さんの旦那様が、そこの教会にお勤めの聖職者(助祭)ということで、疑問などを直接質問する機会にも恵まれました。
↑ 筆者が訪れた教会では、聖土曜日の"復活徹夜祭"の催しは22時丁度に始まりました。
教会によって始まる時間は違います。別の友人が住む地区の教会は、0時からミサが始まりました。
"復活徹夜祭"は大体大きく分けて3~5つのプログラムより成り立っています。
まずは、"火の儀式"です。
教会内には既に人がたくさんいますが、電気を消して真っ暗にした後、教会の入口で火を焚きます。
この儀式は、
"Sono venuto a portare il fuoco sulla terra"
"私が来たのは、地上に火を投ずるためである。"(ルカによる福音書 12,49)に縁ります。
⇒ キリストは火であり、私達を暖め、暗い夜を照らし、そして危険から遠ざけるのだ。
↑ 続いて、"光の儀式"です。
教会の入口で復活祭用の大きな蝋燭(後に写真内に出て来ます)に灯された火は、教会内にいる一人一人に渡ります。とても幻想的な瞬間です。
"Io sono la luce del mondo…"
"イエスは再び言われた。「私は世の光である。私に従う者は暗闇の中を歩かず、命の光を持つ。」"(ヨハネによる福音書 8,12)
⇒ キリストは光であり、私達を導き、喜びを与え、生きることを手助けするのだ。
↑ "光の儀式"が終わると、歌を歌います。
↑ 演奏者が揃った本格的なものでした。
右端に見える大きな蝋燭が、一番最初に入口の所で火を灯されたものです。
しかし話は変わりますが、イタリアの方はとても顔の彫りが深くてまるで彫刻のようですね。
↑ 参加者の方々です。200-300人はいたと思います。
この頃は既に深夜1時を回っていたと思いますが、まだ誰も教会を後にする人はいませんでした。
写真中央に、洗礼用の大きな水盤が見えます。中にチョロチョロと水(お湯)が注入され始めました。音が聞こえます。この後に続く"水の儀式"にこの水盤は使用されるのです。
この教会は1930年代半ばに建てられた、ローマにしてはかなり新しい教会です。
↑ プログラムは次々と進行しています。
眠くならないようにこの日は皆、断食をしてミサに来るのですが、数日前にいただいた助言をすっかり忘れて夕食後に来てしまいました。しかし普段の生活がどちらかというと夜型なので、大丈夫です。全く眠くありません!
↑ 深夜2時過ぎです。
いよいよ"水の儀式"、即ち"洗礼式"が始まります。
今日の洗礼者は、赤ちゃん(新生児)が4名、大人が3名です。
"Chi ha sete venga a me e beva"
"祭りが最も盛大に祝われる終りの日に、イエスは立ち上がって大声で言われた。「渇いている人は誰でも、私の所に来て飲みなさい。私を信じる者は、聖書に書いてある通り、その人の内から生きた水が川となって流れ出るようになる。」"(ヨハネによる福音書 7,37)
⇒ キリストは水であり、私達の喉を潤し、育み、そして清めるのだ。
↑ 洗礼を受ける赤ちゃんが、持ち上げられ、水の入った水盤にバシャバシャと3回(父、子、聖霊)浸けられます。赤ちゃんは全員、大泣きです。
この後、聖体拝領(キリストの体と血であるパンとワインを受け取る)などがあり、深夜3時30分に終了しました。
筆者の友人が参加した教会は0時からミサが始まったので、終了したのは午前8時頃だったそうです。
今年のイースターはとても興味深い経験をしました。
イースター前後に喜びのムード一色に染まったイタリアを訪れるのも素敵ですよ!
特に信仰がまだ根強く残っている田舎の小さな町や、南イタリア、島嶼部はその雰囲気が強く感じられるかもしれません(^ ^)