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レストランではあまり見られないタンザニア料理メニューをご紹介しました。
今回は、タンザニアの主食について語りましょう。
地域によってもバラエティがあるようですが、基本的にタンザニアの主食は「米」、
「トウモロコシ(スイートコーンではなく、甘みのない白いもの)」、「バナナ(青く硬く
甘みがないうちに調理して食べるバナナ)」、そして「キャッサバ」が知られています。
(いたる所にある野菜果物の販売所。
地面に立てかけてあるグリーンのバナナが調理用で、ぶら下がっている黄色いバナナは生食用。
ちなみに、こういうところでも「食べる土=ウドンゴ」が売られている。ウドンゴについての詳細は
以下、順番に解説していきます。
【米 Wali/ワリ】
日本の米に比べ見た目は細長いですが、タイやインドなどで食されるパラパラしたバスマティ
とは違います。味と食感は日本の米と殆ど変わらないので、お寿司にしても大丈夫。
「新米」に価値は置かれていませんが、年に二回ほどでしょうか、透明感あるしっとり艶やかな
ご飯をうっとり楽しめる時期があります。
ちなみに、タンザニアでは、日本のJICA(国際協力機構)による感慨・稲作に関する技術協力が、
なんと1970年代から続けられています。美味しいお米を安定した供給で楽しめるのは、長年に
渡る日本の貢献のお陰かもしれません。
こちらでは米は少々の油と塩を加えて炊きます。
コクが出ますし、冷めても固くなりにくくなります。日本では何も入れず、水だけで炊くと
いうと驚かれます。
お祝いの席では、幾つものスパイスをたっぷり使ったピラウやビリヤニといった米料理が
付きものですし、豆や野菜を入れて炊き込みご飯も作られます。米粉を使った揚げパン(下記
チャパティの項に写真あり)も人気がありますよ。
【ウガリ Ugali】
お米には塩や油を入れても、ウガリは日本の白飯のように水だけで作ります。
ウガリとは、トウモロコシ(スイートコーンではなく、甘みのない白いもの)やキャッサバ
などの粉を熱湯で練り上げたもので、出来立て熱々はお餅のようにふっくらしてとっても
美味しいものです。
しかし調理法がシンプルなだけに、作る人の腕の良し悪しが味を大きく左右します。
水分と加熱が適切だと滑らかでキメ細かく、ふっくらして大変美味しいですし、不足して
いるものは見た目も食感もボソボソしています。ウガリ嫌いにならないよう、ぜひ美味しい
ものに当たるといいですね!
ウガリにも種類があります。ダルエスサラームでよく見られるものは、
●センベ
精白したトウモロコシから作ったもの。白米のようにクセのない風味で、最も一般的。
●ドナ
全粒トウモロコシから作ったもの。うっすら茶色がかっています。玄米同様、栄養分が
除かれていないため健康に良いとして、ドナを好んで食べる人も多い。
●ミホーゴ
キャッサバの粉で作ったもの。更にモッチリしています。
(ドナの定食。主菜にはダガー(ゴマメ)のトマト煮をチョイス。副菜はマテンベレ(青菜)
の炒め煮、野菜のスープ、マハラゲ(豆のココナツミルク煮)、と典型的な組み合わせ。ここ
のウガリの出来は80点かな。)
【バナナ Ndizi/ンディズィ】
日本でお馴染みの甘いバナナもありますが、料理に使うバナナは青く未熟でカチカチに硬い
状態で使います。この段階ではもちろん甘味は一切ないばかりか顔をしかめるほどの強烈な
渋みがありますが、加熱すると一転、ホクホクした食感と味はまるでジャガイモのようにな
ります。
(調理に使う場合は、まだ硬く、色もグリーンのときに食べる。)
肉と一緒にトマトかココナツミルクで煮込んだシチュー仕立てになるほか、油で揚げたものは
ムシカキ(炭火焼きBBQの肉)を食べるときの定番の付け合わせです。塩味のバナナチップスも
サクサク美味しいですよ!
(ローカル食堂のバナナ定食。おかずは左上からムレンダ、青菜の炒め物、カチュンバリ
(生野菜の和え物、ダガー(ゴマメ)のトマト煮。)
バナナは種類も多く、"Ndizi ya mkono wa tembo(ンディズィ・ヤ・ムコノ・ワ・テンボ/
象の手のようなバナナという意味。短縮して「テンボ」とも)"という面白い名前のバナナは
「象」という名の通り大きく、先端が象牙のように細くすぼんでいます。値段も他のバナナ
に比べ数倍します。
普通のバナナと違ってテンボは黄色くなったところを食べますが、黄色く色づいても身は柔
らかくはなりません。生で食べてみると、ちょうど日本のスーパーで売っている未熟なバナナ
のようなサッパリした甘味がありますが、渋みが強いのでやはりそのまま食べるには向かず、
加熱調理が必要です。加熱後は一転してまるでデザートのような甘みが出て来るので、ココナツ
ミルクで煮込むときに少々のシナモンとカルダモンを加えるとゴージャスな仕上がりになります。
(テンボ。写真のバナナはどれも長さ40㎝を超えている。太さは大人の手首くらい。倍ほどの
サイズのものもあるという。)
【キャッサバ Mihogo/ミホーゴ】
見た目は極太のゴボウとでも言いましょうか。太さは手首サイズから腕くらいのサイズまで
あり、「こん棒」のようです。皮を剥くのは大変そうに見えるかもしれませんが、繊維に
沿ってナイフで切り目を1本入れるだけでペロリときれいに剥がすことができます。
にもなりますが、塩茹でして朝食にしたり、ココナツミルクで煮込んだりして食べます。
いずれもホックリして美味しいものです。
スライスして揚げたキャッサバチップスは、ポテトチップスと並んで人気のスナックです。
ポテトより少し固めですが、吸油が少ないので油っこいのが苦手な人に向いているでしょう。
(キャッサバチップス)
歩いていると時折、カゴに入れたキャッサバを頭に載せた売り子さんを見かけます。
皮を剥けば生で食べることも出来るのです。シャキシャキしてほんのり甘みがありますよ。
気分転換にちょっとかじってみるのもよいかも知れませんね。
【マギンビ Magimbi】
皮を剥くとサトイモのようにねっとりしていますが、加熱するとホクホクして、大変キメ細かく
滑らかな舌触りが美味しい芋です。
見た目は無骨ですが、中身は白地に可愛らしいピンク色の斑点があります。キャッサバ同様、
塩茹でにしたり、ココナツミルクで煮込んだりします。私の好物です!
(マギンビ外観)
(皮をむいたマギンビ)
【チャパティ Chapati】
お茶とともに朝食の定番であり、おかずとともに食事としても食べられます。
タンザニアのチャパティは、以前の記事「ダルエスサラームの朝ごはん」でもお伝えしたように、
インドのチャパチィとは異なり、油で揚げ焼きされています。独特の成形プロセスを取っている
ため、パイのように層になっているのも特徴です。
主な種類は2つ。
・Chapatti ya sukuma/チャパティ・ヤ・スクマ
普通、「チャパティ」と言うと出て来るのはこちらのタイプ。パイのような層になっており、
焼き立ては表面がサクサクして美味しい。
・Chapati ya maji/チャパティ・ヤ・マジ
水で溶いた小麦粉をクレープのように薄く焼いたもので、しっとりしている。
(写真はチャパティ・ヤ・スクマ。円盤型の"Kitumbwa/キトゥンブワ(米粉の揚げパン)"と
チャイ(お茶)。この店のお茶は、紅茶にさわやかなレモングラスがブレンドされていました。)
これらはどこの食堂でも食べられます。タンザニアに来たらぜひ味を見てくださいね!
タンザニアの珍しい野菜を紹介した記事「新鮮さ輝くタンザニアの「レア野菜」レポート」もご覧ください!