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「大津絵」ってご存知でしょうか?
滋賀に住んでいる僕も最近まで知らないくらいだったので(初めて見たのはお酒のラベル!?)、
他府県の方なら尚更知らない人が圧倒的だと思います。
江戸時代初期に東海道の大津宿から逢坂の関(これは聞いたことあるかな? 百人一首の蝉丸法師の句で有名な
あれです。大津から京都へ入るための関所があったところ)あたりには旅籠やお茶屋さんや土産物屋が沢山並ん
でいました。
芭蕉の句にも「大津絵の筆のはじめは何仏」と詠われているように、
「大津絵」は元はそこで売られていた仏画が発祥となった大衆画なんです。
▲「鬼の寒念仏」
このような鬼の絵に代表されるように、一風変わったユーモラスな画風が魅力的なんですよね。
大津絵はある種の風刺画になっていて、この絵は(お坊さんの格好をした偽善者)を表していると言います。
他にも「外法と大黒の梯子剃」(頭の長い寿老人の頭にはしごをかけて大黒が剃っている図:幸福を求め
すぎると滑り落ちるよっという風刺)や「座頭」(盲目のお坊さんが犬に褌を引っ張られている図:座頭は
当時は権力側。威張っているといつか庶民からの突き上げを食らうよという風刺)などなど・・・
それぞれに隠された意味があるんです。
滋賀県は今も交通の要衝となっているほど幹線道路が多く走っているだけに、近代化による人々の往来の変化
を大きく受けました。
それまで京都の玄関口として大きな役割があった大津の街も今では「これが県庁所在地なの?」
って驚かれるほど、物静かな街です。
そんな中この「大津絵」の需要も激減し、今ではたった一軒で伝統を守り継いでおられます。
今回はその一軒が営んでおられる「大津絵の店」を訪ねました。
長等神社の参道沿いに趣のある建物が出迎えてくれます。
店内に入ると大津絵グッズがいっぱい! 奥が工房になっているようです。
大津絵の特徴はその独特の意匠と色彩。
主に墨、丹(朱)、胡粉(白)、黄土の4色で表現がされています。
(青色がないのは青の顔料が当時は手に入りにくかったのが理由とのこと。高価な絵画とは違う庶民の絵なので)
画題は初期には沢山あったようですが徐々に絞られ100数種類になり、後期には特に人気の高い10種類ばかりが描かれるように。
またお杖は版画などではなく1枚1枚を客の求めに応じて素早く手で描く必要があったため、絵柄や書き方もそれ
に応じたものになってきました。
同じ「鬼の寒念仏」でも書き手や書いた日によって多少違ってきます。そんな味のある絵が大津絵の特徴なんですね。
ちなみに早く何枚も書く必要があるので、紙を数枚並べて同じ色ばかりを先に描いていきます。
そして最後に墨で輪郭をかくという技法だと聞きました。まさに手動大量生産といった感じ。
店内にあるグッズはさすがの伝統工芸品なので、高額なものもありますが、
絵皿の額や、
一筆箋、絵葉書、携帯ストラップなど気軽に買えるものも多く販売されています。
大変珍しい絵柄である大津絵のハガキや一筆箋で便りが来たら、頂いた方も興味深く感じられるのではないでしょうか?
僕はこの日はお猪口をいただきました。
大津絵のお猪口で、滋賀の地酒をいただくとさらに美味しいに違いない!
もちろんアテは「ふなずし」で・・・。
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「大津絵の店」
滋賀県大津市三井寺町3-38
電話:077-524-5656
営業時間:午前10時~午後5時
定休日:第1・第3日曜日(祝日は営業)
交通
●JR大津駅から徒歩20分または、車で5分
●京阪三井寺駅から徒歩10分
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