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「湖賊」って言葉、ご存知でしょうか?
海賊なら言葉は誰もが知っていると思いますが、どんな人々であったかまでは理解している人は少ないと思います。
和田竜さんの小説「村上海賊の娘」を読めば、日本にいた海賊と呼ばれた人々がどんなだったのか何となくわかります。
海賊とはある海域を支配している人々で、そこを通行する他の船を「上乗り」っていって、頼んでもいないのに
乗り込んで他の海賊から守ってくれます。もちろん上乗り料を支払わないといけません。
で、上乗りを断ると逆に海賊から襲われます。そうやって通行料を取ることで生業としていた人々なんですね。
ある意味この海賊の人々のおかげで海に一定のルールと治安が保たれていたらしい・・・。
琵琶湖も海のように大きな湖。ここにはなんと『湖賊』という琵琶湖の海賊がいたんです。
それは琵琶湖の最も狭くなる領域で、現在「琵琶湖大橋」が架かっている場所。
その西側に「堅田」という地域があります。
今回はそんな「堅田」をご紹介いたします!
琵琶湖の最も狭い場所、そこは船の関所になっていました。その名残を残す場所に「出島の灯台」があります。
明治初期に設置された珍しい木製の灯台。このあたりには暗礁があるようで、湖上交通の安全のために建てられました。
灯台付近は琵琶湖の造船の中心地としても発展した地域でもあります。
そして、琵琶湖観光の写真には必ずでてくるのが「浮御堂」。
浮御堂があるのが、ここ堅田の地。
湖上に突き出る形でお堂が建てられており、琵琶湖を代表する風景を作り出しています。
この景色は室町時代に選定されたといわれる「近江八景」の一つ
「堅田の落雁」として、も紹介されており、昔から景勝地となっていたのです。
「落雁」と聞くと干菓子のらくがんを思い出す人も多いのではないでしょうか?
秘密その一、実はこの「落雁」、堅田が発祥の地と言われています。
大正時代から続く老舗「金時堂」さん、こちらのお店でも「落雁」を作られています。
金時堂さんの落雁はまさに近江八景「堅田の落雁」である浮御堂がモチーフ。
長年使われてきた木型を見せていただきました。
この木型に香川県産の高級な砂糖「和三盆」糖を材料とする粉を詰めて、時間を置くと固まるそうです。
現在ではお茶菓子として以外ではあまり見かけなくなった落雁ですが、素朴で上品な甘さが口に広がる日本の伝統的なお菓子。
続いていってほしいものですね。
金時堂さんでは他にも絶品スイーツがあります。
いちご大福ならぬ「パイン大福」。僕はこれが一押し!
ふわふわのお餅のなかにジューシーでさわやかな甘さと酸味が絶妙なパイナップルがゴロンと入っており、
めちゃ旨なんです。堅田に来たら是非これは食べてほしい一品。
もう一つお菓子を紹介。
一休さんのかわいいイラストがプリントされたせんべいです。せんべい自体はごく普通なんですが、
なぜ一休?・・・と思いませんか?実はこれまた堅田の隠された秘密が。
有名な一休和尚は若いころは宗純という名でしたが、ここ堅田の祥瑞時にて修行し「一休」という道号を授かったのです。
なのである意味、堅田は一休さん誕生の地でもあるんですね。
他にもいろいろ見どころは沢山!
浮御堂から西へ少し進んだところには「湖族の郷資料館」があります。
こちらでは堅田で使われてきた漁具や生活の道具が展示されている他、堅田湖族の歴史について詳しい展示があります。
光徳寺にこの地域に伝わる悲しい秘密の物語が・・・。
その昔延暦寺の天台宗と浄土真宗が対立していた頃、浄土真宗の宗主である蓮如が一時身を寄せていたのがここ堅田。
そんなこともあって堅田には熱心な浄土真宗の信者がいました。
ある時蓮如は三井寺に預けていた親鸞聖人の像を返すように申し出たところ、三井寺は「生首を2つ持ってこい」と無理難題。
それを聞いた堅田の源右衛門親子、息子の源兵衛の首を落とし自分の首と合わせて2つ用意するとして像を帰すように歎願。
三井寺はこれに感嘆し像を帰したという話なのです。
その息子源兵衛の墓がこちらにはあります。なぜ息子が?って感じもしますが・・・。
ちなみに堅田湖族は正式には「堅田衆」と言いますが、その堅田衆の中心となる神社が「伊豆神社」です。
堅田衆の湖上の権利は下鴨神社との繋がりによるところが大きく、その理由が「御厨」(みくりや)という制度。
要するにここ堅田から琵琶湖の恵みを献上する役割を担うことで、湖上権を保証してもらっていたのです。
今でも伊豆神社から下鴨神社までお供えを届ける祭りがありますよ。
そんな伊豆神社にあるパワースポットが「幸せを呼ぶハート形の石」。
この石を撫でた人には幸せが訪れるそうです。堅田衆の湖族の力にあやかりたいものですね。
他にも堅田の街中には時間が止まっているかのようなノスタルジックな風景があちこちに隠れています。
是非そんな堅田の風景を写真に収めてみるのも楽しいですよ。