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大河ドラマ第1作目の舞台「埋木舎」

フナズシマル

フナズシマル

滋賀特派員

更新日
2017年12月5日
公開日
2017年12月5日
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毎週楽しみに観ているNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」も最終話まであと少し、いよいよ大詰めですね。

ご存知の通り今年の大河は井伊家のお話。ドラマでは井伊家を再興し徳川四天王まで上り詰めた「井伊直政」を描いています。

その直政が初代藩主となったのが彦根藩です。

そしてもう一人、井伊家で最も有名な方がいらっしゃいます。こちらは教科書にも出てくるので、ある意味直政よりも先に知る井伊家の人物なのではないでしょうか?

はい、「井伊直弼」です。

安政の大獄や、日米修好通商条約の締結、桜田門外の変などダークなイメージが付きまとってしまう方ですが、非常に聡明で文武に優れ、幕末の国難に際には命をかけて国を救おうとした人物なのです。

そんな井伊直弼が32歳まで過ごした場所があります。それが彦根城の開国記念館(佐和口多門櫓)から中堀を挟んで対面にある「埋木舎」です。

直弼は11代藩主「直中」の14男として生まれました。母は側室の富。

すでに正室の子「直亮(なおあき)」が12代藩主となっていたため、直弼には養子になるか部屋住として一生を送るしかありませんでした。その後養子になるチャンスもあったものの上手く進まず、直弼は部屋住として一生過ごすことを決意します。

そういった不遇の時代をこの埋木舎で過ごしたのです。その時に詠んだ歌があります。

「世の中を よそに見つつも うもれ木の 埋もれておらむ 心なき身は」

覚悟した直弼はありとあらゆる芸事にその人生を費やしていきます。

禅、居合、和歌、国学、茶道などどれもが達人の域にもなったそう。

付いたあだ名は「ちゃかぽん」。

(茶道のちゃ、花道のか、能の太鼓のぽん)

ここ埋木舎はその後幕府の大老として幕府や日本の舵取りに活躍した井伊直弼の基礎を作った場所なのです。

屋敷の入口には直弼に関する資料が置かれています。(屋敷の中に上がることはできません)

それらの中には、

直弼の実際に着ていた着物や、

使っていた籠も…

屋敷の外を回るとちょっとした庭園になってます。

直弼もこの小さな庭を眺めながら、いつか広い世界を、と思ったのでしょうか…

ここは屋敷の中の様子を外から見る形になっていて、様々なものが展示されてます。

井伊直弼や歴代藩主の肖像画の展示や、

直弼の等身大パネルなどで当時の様子を伝える展示がされています。

さて、タイトルにある「大河ドラマ第1作目」のことですが、実はNHK大河ドラマの1作目が「花の生涯」という井伊直弼を主人公とするものだったのです!

原作は舟橋聖一の同名小説で、主演は尾上松緑(おのえしょおうろく)さんが歌舞伎界より出演し直弼を演じました。

最高視聴率32.3%の大変人気の高いドラマであったようです。

この花の生涯で直弼の青春時代の舞台として「埋木舎」が使われています。

ということもあり、こちらには大河ドラマで井伊直弼を演じた歴代の俳優さんがパネル展示されています。

ちなみに宮崎葵さんが主演した「篤姫」では中村梅雀さんが直弼を演じていましたが、今回の直虎ではナレーションを担当されており、偶然かもしれませんが大河の井伊との縁を感じるエピソードとなっています。

それともう一つ、この「埋木舎」は現在、市ではなく個人の方が所有・管理されています。その方は大久保さんという方で、なんと大久保家は古くから井伊家を支えてきた家臣であり、今もこうやって井伊家の歴史を伝える役割を担われています。

史跡の保存はコストや労力も含めどこの史跡やお寺でも厳しい現実がありますが、大久保さんも「正直お金もかかるし大変ですが、先祖代々繋いできた責任への思い一つでやってます」と仰ってました。

そう考えると史跡や観光地を訪れる人が増えることで、これらの保護に繋がるのかもしれません。観光する側も受け入れる側も歴史的な資産を後世に繋いでいく大事な役割を担っていると考えるのは大袈裟でしょうか?

その意味でも、こうしたブログが歴史資産の維持・継承に多少の役に立てればいいなぁ…と思います。

国指定特別史跡:埋木舎(うもれぎのや)

・住所:滋賀県彦根市尾末町1-11

・TEL:0749-23-5268

・開館時間:9:00~17:00 ・休館日:月曜日 8月13日~17日、12月下旬~3月中旬

・入館料:大人300円

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