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土を食べる?! タンザニアの「土製サプリ」ウドンゴを食す

西東 たまき

西東 たまき

タンザニア特派員

更新日
2018年1月13日
公開日
2018年1月13日
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「土を食べる。」

ショッキングな表現ですが、調べてみると世界には「土を食べる」という風習が

各地にあるようです。そこにはタンザニアも含まれます。

今回は、ダルエスサラームで入手した7種類の「食べる土」についてレポートします!

●●●その名は「ウドンゴ」

私がダルエスサラームの閑静な住宅エリアにある野菜の露店の売り台に太いチョーク

のように成形された土片を見つけたのは数年前。

聞けば、ミネラル源として主に妊婦が食べるものだとのこと。

つまり、タンザニア地元風サプリメント。スワヒリ語で〝udongo(ウドンゴ)"。

「土」を意味する言葉です。

珍しい風習を私もいつか体験してみようと思いながら先延ばししていたところ、この度

ふと思い付いて「土サプリ」を口にしてみる行動を起こしてみました。

そして手に入れたのが上記写真のウドンゴ7種。

ウドンゴは「過去の風習」だったり、「特定の人・地域の話」ではなく、今もタンザニア

で広く日常的に摂取されているようで、マーケットにあるウドンゴ専門の露店にはお客が

次々と現れては購入していきます。店主女性自身も、長年毎日摂取しているとのこと。

マーケットの専門店まで行かなくても、道路のそこここにある野菜・果物の露店でも、

ウドンゴは売られています。ただし、安価な定番品があるだけなので、種類を求めるなら

やはり専門店に行かなければなりません。

妊婦が食べるということで知られていますが、実際には妊婦に限らず年配女性まで広く

食べられています。女性だけでなく男性が食べてもよいとのこと。

「土」といっても単に地表の土を集めたものなどではなく、「金を掘るように地中深く

から採取している」そうで、きちんとふるいにかけられ成形されている「加工品」です。

「土を食べる=地面の土を手で取って口に入れている」ようなイメージは正しくありません。

●●●それぞれの特徴

今回購入した7種のウドンゴについてみていきましょう。

手で折れるようなもろいものから、包丁で力をこめてやっと割れるような硬いものまで

タイプは様々。しかし、どれも口に入れるとラムネ菓子のようにホロッと溶けます。

以下、それぞれの特徴をざっと記します(100タンザニアンシリング=約5円)。

※ウドンゴに白い斑点が見られるものは、白ウドンゴの粉が付着してしまったためです。

↑キゴマ産。手で欠ける。見た目はゴツゴツしているが、なめらかな

口当たり。ほのかな酸味。500シリング。

↑キゴマ産。堅い。50シリング。最後に口にキメの粗い粒が残るのは

値段なりの品質だからか。酸味はない。

↑モロゴロ産。かなり堅いが溶けやすさは他と同じ。50シリング。

これも安価なせいか、最後にキメの粗い粒が残る。酸味なし。

各所にある、野菜を売る露店でも手に入るのはこのタイプ。

↑キゴマ産、真っ白いウドンゴ。大人の親指の先ほどの小片4つで

200シリングと値段は高め。手で簡単に折れるもろさ。至極なめらかで、

クリームのようなコクがある。

↑キゴマ産。直径1cm弱。手で簡単に折れる。口当たりなめらか。

後味にほんのり酸味を感じる。3本で200シリングと値段は高め。

↑ムワンザ産。直径1.3cm。1本200シリング。ミルクティーのような

薄茶色。手で折れるもろさ。後味にほんのり僅かな酸味を感じる。

↑モシ産。堅い。500シリング。酸味はない。

値段が高めのものはもろく、後味にマイルドな酸味が感じられる点が共通しています。

また、安価なものは最後にざらついた粒が残るのも同じです。

●●●試食体験

<第1日目>

土という「先入観」から、口に含むにはかなりの抵抗があったが恐る恐る試食。

固形ファンデーションを食べているような気分。

ほぼ無臭。これといった味もないが、口に含むと若干の「ひなびた風味」がある。

これらの特徴はどの種類にも共通。気分的に受け付け難いものがあるが無理して飲み込む。

<第2日目>

初日に比べ、やや余裕を持って口にできるようになった。いろいろなタイプを積極的に

選んで味見することが出来た。

<第3日目>

小片をそのまま口に入れる抵抗はだいぶ減った。

●●●現地女性に質問

ダルエスサラーム在住のタンザニア人女性数人に、ウドンゴについて聞いてみました。

①お手伝いさん(30代、既婚、タンザニア南西部マラウィ国境付近出身)

・1日に3回ほど、親指の先程度の大きさの欠片を食べる。

・ウドンゴは、妊婦はもとより思春期から高齢までの女性が食べる。

・食べる理由は別にない、効能も知らない。

・マラウィでも食べられている。呼び名は(言語が違うので)異なる。

②中流家庭の主婦(40代、既婚、タンザニア北部沿岸のタンガ出身)

・妊娠すると自然に食べたいと思うようになるのだ。自分もかつて妊婦だったときは食べた。

・原料や製造環境が分からず安全が確認出来ないため、食べるべきではないと今は思う。自分も

その後食べていない。

・ごく稀な話だが、感染症の原因になったケースを知っている。

・効能は知らない。

③欧米で教育を受けたワーキングウーマン(30代、未婚、タンザニア北部のアルーシャ出身)

・栄養やミネラル補給に妊婦や女性が食べたりすると聞いてはいる。

・自分や身内に食べる習慣はない。

以上、タンザニアで広く食べられている「ウドンゴ」という土製品についてのレポートでした。

ローカルマーケットで簡単に手に入ります。

中には「中毒」といえるほど大量に食べる人もおり、効果や理由を知らずに習慣的に食べて

いる人もいることから「嗜好品」といった性質があるのかという気もしたが、どうだろう。

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