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外国語を学ぶとき、誰でも最初に覚えるものが「こんにちは」「ありがとう」などの
「基本挨拶」です。
もう少し踏み込むと、仕事の場で交わす「お疲れ様」や体調の悪い人を気遣う「お大事に」
などの挨拶もあります。人の家を訪ねるときの「ごめんください」もありますね。
基本的な挨拶だけでなく、このような「場面別挨拶」が使えると一歩進んだコミュニケー
ションを取ることが出来ます。
なかなか知る機会のないスワヒリ語の場面別挨拶もマスターしてみませんか?
以下、暮らしのあらゆる局面で使われるスワヒリ語挨拶を網羅してご紹介します!
遠い異国の言葉・スワヒリ語ですが、実は日本でも知られている言葉が結構あるのです。
聞いたことがあるあの言葉はスワヒリ語だったのかと驚くものが見つかるかもしれませんよ!
スワヒリ語の基本挨拶やタンザニアの挨拶習慣については『タンザニアでは挨拶が大事』
の記事でご紹介済みですが、今回は、基本形を超えた「上級者編」をご紹介していきます!
●●●スワヒリ語の挨拶は「ジャンボ!」じゃない?!
"ジャンボ!(Jambo)"という挨拶は、日本で最もよく知られているスワヒリ語かも
しれません。
しかし実のところ、これは正しい言い方ではありません。
正しくは、最初に声を掛ける方は"Hu jambo(フ・ジャンボ)"と言い、応答する方は
"Si jambo(シ・ジャンボ)"と言います。
"Jambo"とだけ言ったところで、わざわざ間違ってるよと訂正してくるタンザニア人は
まずいませんので、知らなければそれまでかもしれませんね。
書くときは、スワヒリ語挨拶の"jambo"は英語の"jumbo"とはスペルが違うので、うっか
りミスにご注意。スワヒリ語はローマ字感覚で読み書きします。
また、"Jambo"と同じくらいポピュラーな"Mambo!(マンボ)"は、若者たちが使う
カジュアルな挨拶。"Vipi?(ヴィッピ/元気?)"というスラングもあります。
"Mambo / Vipi"と言われたら、"Poa(ポア)"または"Safi(サフィ)"と返してください。
「Cool/良い」という意味があります。
ちなみに、スワヒリ語版フェイスブックの「いいね!」は"Poa!"なんですよ!
●●●有名な「ハクナマタタ」はタンザニアでは言わない?!
ミュージカル『ライオン・キング』のセリフ「ハクナマタタ」は 、"No problem(問題
ないよ)"を意味する言葉として広く知られているもう一つのスワヒリ語です。
けれど、タンザニア人がこのフレーズを使っているのを耳にすることはないでしょう。
スワヒリ語はケニアはじめ東アフリカ一帯で使われていますが、最も大事にされている
のはタンザニアです(タンザニアでは「国語」扱い)。
そんなスワヒリ語の本家・タンザニアでは、ハクナマタタではなく"Hamna shida(ハムナ・
シダ)" や"Hamna matatizo(ハムナ・マタティゾ)"または"Hamna tabu(ハムナ・タブ)"
などのフレーズが使われます。
"hamna"は「ない」、"shida" や"matatizo"は"problem/s(問題)"の意味、そして
"tabu"は英語の"trouble"をもじった言葉です。
●●●タンザニア人の心意気「ようこそ」
タンザニアに来たらきっといろいろなところで耳にするであろう挨拶が"Karibu(カリブ)"
です。
"Welcome(ようこそ)"を意味する言葉なので、お店でカリブといわれるのは何の不思議も
ないのですが、タンザニアではそれ以外の場所でもあちこちでこの言葉が使われています。
日常、最も広く使われている挨拶かもしれません。
感覚的には「自分のテリトリーにあなたを受け入れます」といった感じで使います。
例えば、自宅前で近所の人や知り合いに出会ったら「元気?」などの一般挨拶に続けて
"Karibu(カリブ)"が使えます。
積極的に人を引き止めたいときは"Karibu kiti(カリブ・キティ/こちらに来てお掛け
なさい)"と言って椅子をすすめます。"kiti"とは「椅子」のことです。
もし、食事をしているときに知り合いが通りかかったら"Karibu chakula(カリブ・
チャクラ/あなたも一緒に食事をどうぞ)"と言ってみてください。お茶を飲んでいる
ときなら"Karibu chai(カリブ・チャイ/あなたも一緒にお茶をどうぞ)"です。
実際はそう言ったからといって食べているものを分けなければならないということはなく、
一つの「挨拶フレーズ」に過ぎません。建前だけとはいえ、人への気遣いを見せる姿勢と
言えましょう。
日本でも社交辞令で「ぜひ遊びに来てください」などと言ったりするのに似ていますね。
●●●タンザニアにもある「お気の毒・お大事に・お疲れ様」
"Pole(ポレ)"もまた非常に奥行きが深く、用途の広いスワヒリ語挨拶です。
"pole"を2回繰り返して言う"Pole pole(ポレポレ)"は、「ゆっくり、急がないで」を
意味するというフレーズとして日本でも割と知られています。
しかし、この"pole"は、1回だけいうと全く別の意味になります。
誰かが辛い思いをしているときに「お気の毒です」の気持ちを伝える言葉になるのです。
例えば、誰かがうっかりどこかにぶつかって「痛い!」と言っているとき、または何か
トラブルに遭遇したとき…そんなときに「辛いね、大変だね、かわいそうに」と慰める
言葉が"Pole"です。
体調が悪い人に向かって言えば「お大事に」になります。
もし風邪を引いた人や具合が悪い人に出会ったら、"Pole"と言ってあげてください。
さらに、仕事を頑張っている人に対して"Pole na kazi(ポレ・ナ・カジ)"と言えば、
「お疲れさま、ほどほどにしなさい」といったねぎらいの言葉になります。"kazi(カズィ)"
は「仕事」のことです。
●●●「アサンテ(ありがとう)」はこんなときにも
スワヒリ語で「ありがとう」は"Asante(アサンテ)"と言いますが、これもどこかで
聞いたことありませんか?
"Pole"と言われたら"Asante"と返します。
"Karibu"と言われたときも返事は"Asante"になります。
タンザニア人に"Asante"と言えば、"Asante na wewe(アサンテ・ナ・ウェウェ/
どういたしまして)"の返事が返ってくるでしょう。
●●●「ごめんください」もある!
日本では、人の家を訪ねるときは「ごめんください」や「おじゃまします」といった挨拶
がありますね。タンザニアには"Hodi(ホディ)"があります。
タンザニア人のお宅を訪ねる機会があったら使ってみてください。「スワヒリ語を知って
るな」と思われることでしょう!
●●●クシャミをした人にかける言葉って?
日本では誰かがクシャミをしたとき、心ある人なら「大丈夫?」と声を掛けたりしますが、
必ずしもそれが期待されているわけではありませんよね。
英語では、クシャミをした人がいたら"(God) Bless you!"と声をかけるのが「マナー」
になっていますが、世界の多くの言語では、誰かがクシャミをしたとき「健康」を意味
する言葉をかける方が圧倒的多数です。そしてスワヒリ語もその一つです。
周囲で誰かがクシャミをしたら、"Afya!(アフヤ)"と声をかけるのがスワヒリ語文化の
マナー。"afya"はスワヒリ語で「健康」を意味する言葉なのです。
タンザニア旅行中、クシャミをした人に出くわしたら"Afya!"と声をかけてみてはいかが?
旅人からの思いがけない思いやりの言葉はきっと喜ばれるでしょう!
●●●使い分けキッチリ。夕方以降の挨拶
日本語では夕方から夜にかけての挨拶は「こんばんは」の一言ですが、スワヒリ語では
夕方は"Habari za jioni?(ハバリ・ザ・ジオーニ)"、暗くなってきたら"Habari za usiku?
(ハバリ・ザ・ウスィク)"と使い分けがあります。
朝の挨拶"Habari za asubuhi(ハバリ・ザ・アスブヒ/おはよう)"、昼の挨拶"Habari
za mchana(ハバリ・ザ・ムチャーナ/こんにちは)"と合わせた4つは基本の挨拶セットです。
特に"mchana" "jioni" "usiku"は、使う時間がずれていると訂正が入るほど、皆さん
きっちり使い分けています。
これらの挨拶には"Nzuri(ンズーリ/良い/Good)"と返答しましょう。
ここではもう一つ、「おやすみなさい」の挨拶"Lala salaama(ララ・サラーマ)"もご紹介
します。
「lala」は「眠る」、「salaama」は「平和、平安」という意味です。タンザニアの最大
都市・ダルエスサラーム(Dar es salaam)の名前にも入っていますね。
●●●「久しぶり!」は?
しばらくぶりに顔を合わせた人には"Habari za siku nyingi?(ハバリ・ザ・スィク・ニンギ
/久しぶり)"と言ってみましょう。"siku"は「日」、"nyingi"は「たくさん」の意味です。
この場合も返答は"Nzuri"になります。
●●●スワヒリ文化ならでは。年長・年少で異なる挨拶
年長者を敬う文化を持つタンザニアでは、自分より年上の人には「おはよう」でも「こんに
ちは」でもない特別の挨拶をします。
年長者に対する挨拶が"Shikamoo(シカモー)"、それに対する応答が"Marahaba(マラハバ)"
です。
タンザニアで道を歩いていて子供たちに出会ったら、彼らはきっと"Shikamoo!"と声をかけて
くるでしょう。そうしたら"Marahaba!"と返してください。
反対に、自分より年上の人に出会ったときはまず"Shikamoo"です。"Marahaba"が返ってくる
はずです。
この挨拶は時間に関係なく一日中使えます。
●●●気軽に使える「またね」
日本語の「じゃあまたね」の感覚で使えるスワヒリ語が"Baadaye(バーダイェ)"です。
「後で/later」という意味なので、「今ではなく後にします」と先延ばしする場面でも
使えるちょっと便利な言葉です。
もし、モノ売りの客引きの声がうるさいと思ったときに「Baadaye!(今度ね!)」と言えば
丸く収まりますよ!
●●●そして、別れの言葉「いつか是非また!」
外国人としてタンザニアに来たのなら、いずれ別れる日が来ることでしょう。ついに国を
離れるときの「さよなら」には重みがありますね。スワヒリ語では"Kwa heri(クワヘリ)"
です。
別れるときは"Kuwa heri"と言い合いますが、心ある人なら見送るときは"Karibu tena
(カリブ・テナ)"と言うものです。
"Karibu"は文頭でご紹介した通り"Welcome"のこと、"tena"は「もう一度」という意味です。
"Karibu tena"は、「さようなら」ではなく「またどうぞ」というスマートな別れの挨拶。
自分のところに立ち寄ってくれた人を送り出すときにも使えます。「また来てね」と。
そして最後にもう一つ。
"Tutaonana tena(トゥタオナナ・テナ)"は、英語の"See you again(また会いましょう)"
にあたります。
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皆さんもタンザニアに来たときは基本挨拶に加えてこれらの「場面別挨拶」も取り入れ、
スワヒリ語文化により深く触れてみてくださいね。