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湖北に春を告げる植物
滋賀県高島市、湖西から湖北エリアに位置するこのあたりは雪の大変多い地域。
山や平野に積もった雪はやがて解けて琵琶湖に注ぎますが、その水の量は琵琶湖全体の1/3にもなるといいます。
まさに琵琶湖の源流といっても過言でないくらいです。
そんな高島市に春の訪れを感じさせる場所があるのです。今津:弘川の「ザゼンソウ群生地」です。
ザゼンソウとはサトイモ科の植物で、仏像の光背に似た形の花弁や、その花弁に包まれる黄色の「肉穂花序(にくすいかじょ)」と呼ばれる中心部の花のようすが座禅を組む僧侶の姿に見える植物です。
冷帯から温帯の山岳湿地帯に生育しており、ここ今津の群生地は日本の南限となっています。
このザゼンソウ、発芽すると肉穂花序がなんと20度以上にも発熱するため、周りの雪を溶かして雪の間から顔を出すのです。
それが丁度この2月中旬から3月初旬にかけて・・・、まさに湖北に春を告げる植物ですよね。
今津のザゼンソウ群生地
ザゼンソウ群生地には車で行くのが便利です。(ただしスタッドレスは必須。交通機関ならJR近江今津駅より小浜行きバスで約7分 「ざぜん草前」下車、徒歩3分)高架になっている国道161号を敦賀方面に走り、国道303号と交わる弘川ランプで降りるとすぐにあります。
車は必ず所定の駐車場へ。この付近は一般の住宅街になっていますのでくれぐれも付近の住民の方の迷惑にならないように・・・
駐車場から徒歩3分の藪の中がその場所。
まだまだ雪も深そう・・・果たしてザゼンソウは見れるのでしょうか? 駐車場の警備員さんに聞けば見頃はもう少し先と言っておられましたが・・・。
ここは饗庭野(あいばの)の伏流水が作る湿地帯。入り口のところから奥に行くと木製の細い遊歩道が渡されており、その上から眺めることができます。
それ以外のところで湿地帯に入っていくことはできませんよ。雪の下にもまだまだザゼンソウの芽が眠っていますから。
目を凝らすとあちこちにザゼンソウが・・・・雪にもポコポコと穴が開いており、その中にはザゼンソウがいます。
今年は沢山発芽しているようですが、まだまだ小さいようです。そんな中、遊歩道の足元にありました・・・。
これがザゼンソウです。まさに仏像のようですね。
でも実は英語で「Skunk Cabbage(スカンクキャベツ)」という不名誉な名前で呼ばれるように全草に臭い匂いがあるそう。
この匂いは虫を呼び寄せるのに役立っているのですけどね。
ザゼンソウはその発熱によって、他の植物がまだ雪の下に埋まっているうちに雪の上に顔を出し、受粉してくれる虫を独り占めしているのです。
この初春の風物詩もそういった自然界の厳しい競争の一端なのです。
そんな厳しい自然の仕組みも、私達から見るといち早く春の訪れを告げてくれているようです。
春の訪れに敏感なのはザゼンソウだけではないようです。この瞬間を逃すまいとたくさんの方々が、立派なレンズが付いたカメラをザゼンソウに向けていました。
2月17日から3月初旬までは、この地域の自治会館を利用した休憩所が設けられています。
地元の方々で運営されており、撮ったばかりザゼンソウの写真を見ながらコーヒーで一息つけます。
中ではガイドの方からザゼンソウについての詳しい説明もありますよ。
地元のお土産も売ってます。
中でもここに来たら買いたいのが…
「ザゼンソウ最中」
中には大きな栗が入っており、甘さ控えめの餡とのマッチで、ホクホクとした食感が美味しかったですよ!
ちなみにこれがザゼンソウの"タネ"。
ザゼンソウは一度発芽すると、25年くらい同じところから生えるようです。
毎年同じ場所のザゼンソウを定点観測するのも面白いかも…
【開店期間】2018年2月17日(土)~ 土日のみ開店(3月中旬頃までの予定)
【開店時間】10:00~15:00
「ザゼンソウ群生地」
住所:滋賀県高島市今津町弘川
問い合わせ:(公社)びわ湖高島観光協会 TEL:0740-33-7101 FAX:0740-33-7105
アクセス:車で国道161号線、弘川ランプを降りて左折。3分で到着
電車で湖西線JR近江今津駅より小浜行きバスで約7分 「ざぜん草前」下車、徒歩3分