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イタリアでは3番目に長い川でローマ市内を流れることで知られるテベレ川沿いには、ローマの人たちにとって不評の建造物として知られる最高裁判所(伊語:Palazzo di Giustizia)があります。通常、イタリアでは司法訴訟に関わる最高裁判所を破棄院と解釈され、イタリア語では"Corte di Cassazione"となるが、今回は建造物としての"Palazzo di Giustizia"をご紹介させて頂きます。
この建造物は一見、厳粛な雰囲気があり、とても圧倒されるのですが、彼らの感覚の中では、この建物のごちゃごちゃしている装飾が悪評を生んでいるようなのです。その証拠に「醜悪の建物(伊語:Palazzaccio)」という別名でローマの人たちに広く知られています。
ローマにある美しい建造物の中でこの不名誉な評価を受けているこの最高裁判所は、1888年~1910年の間に建築され、1911年より開所されました。古代ローマという果てしない歴史と比較しても100年ほどしかありませんが、私たちにとっては十分に感銘を受けることができる見事な建造物です。そして、この場所は司法関係に関わる図書館の機能を持ち、弁護士を登録し管理する場所でもあり、日本の最高裁判所と同じようにイタリアでは司法権を担当する国の最高機関という位置づけになっています。
まるで美術館のような威厳があり重々しく気高い荘厳なこの建物は、正面にある両手にそれぞれ剣と法典を持ち、正義を司るローマ神話の女神(ユースティティア/伊語:Justitia)の銅像が印象強く感じさせられます。司法・裁判の公正さを表すとされる女神像も現在は、左手に天秤と右手に剣を持ち目隠しをする女神像が一般的とされるが、ここでは法典(法律の本)を持ち、目隠しがない銅像になっているのが特徴でもあります。その銅像の下にはラテン語で"IUSTITIA"と記されているが、その意味はイタリア語では"Giustizia"となり、日本語では正義又は司法と解釈されるため、法の下の平等という理念が強調されているようだ。
この最高裁判所は残念ながら観光客がその中を見学することはできません。
裁判所の前部には裁判所広場(伊語:Piazza dei Tribunali)という小さな広場があり、裁判所への道を照らすかのようなウンベルト一世橋(伊語:Ponte Umberto I)からテベレ川を渡ることができるが、その橋の上からバチカン市国のサンピエトロ大聖堂とテベレ川がちょうど合わさった美しい景観を眺めることができます。
そして、裁判所の裏側にはカヴール広場(伊語:Piazza Cavour)があり、この場に相応しくない異国情緒たっぷりの公園の中心にはトリノを州都とするピエモンテ州のピエモンテ人である初代イタリア王国の首相のカルミネ・ベンソ・カヴール伯爵の銅像が建てられています。その広場には毎日のように犬の散歩やベンチでくつろいでいる人たちで溢れ、裁判所があるのかを忘れてしまうような平和な雰囲気があります。
また、比較的新しいこの広場も様々な路線の公共バスやローマの国際空港であるフィウミチーノ空港まで行くシャトルバスの停留所があり、交通の要の一つとなっているようだ。
現在、イタリア旅行を計画されている方には、ローマで最長3泊のストップオーバーの計画をするのも一つの案です。2018年12月31日までにご旅行される方には、ローマと組み合わせて欧州等の他都市を訪問する計画も立てられるアリタリア航空さんの提案も参考になりますので、興味のある方は是非ご覧ください。(注意:アリタリア航空の回し者ではありませんが、お得にローマを訪問する一つ方法として提案しています)
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この永遠の都ローマには、古代ローマ時代からの様々な歴史が埋もれていますが、今回ご紹介した最高裁判所のように観光客はともかく、ローマの人たちにとって悪評を受けている場所があります。それらを通じて、彼らの価値観に触れるのもまた一つの旅の楽しみでもあります。