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琵琶湖の源流と「カバタ」
こんにちは、Funazushi-maruです。
皆さん「カバタ(川端)」ってご存知ですか?
生活の大事な場所となっている針江のカバタ 撮影:Funazushi-maru
カバタとは川の水や井戸の水を家の中へ引き込んで、洗い物や飲み水などとして利用する水場のことです。
今は田舎であっても家の中にある蛇口から水を使うことがほとんどだと思いますが、滋賀県高島市新旭にある「針江」という集落ではこの「カバタ」を今も生活の重要な場所として利用し続けています。
焼き板、紅柄の家々が並ぶ針江の街並み 撮影:Funazushi-maru
集落には110世帯の家があるのですが、そのうち今もカバタを利用しているのは、なんと108世帯だそうです。
冬場、滋賀の中でも特に雪深くなる高島市のあたりは、琵琶湖の1/3もの水を供給するまさに源流となる場所。
県境に連なる山々には日本を日本海と太平洋側にわける「中央分水嶺」があり、そのあたりの山にしみ込んだ雨水は100年をかけて川や伏流水となり麓へとたどり着きます。
生水(しょうず)の郷「針江」
山にしみ込んだ雨水は地下を流れてやがて琵琶湖へたどり着きます。しかし琵琶湖自体が大変な量の水の塊。その強大な水圧に跳ね返された水は地面に向かって湧き出すのです。
集落のあちこちに湧き出る水 撮影:Funazushi-maru
そのような水が湧き出る集落がここ「針江」なのです。
少し前までは「針江」は一見どこにでもある集落の一つとみられていました。
住人の方々もカバタのある生活を取り立てて意識せず、ごく当たり前にあるものとして生活されておられました。
ある時、写真家の今森光彦さんという方がこのカバタのある集落に注目し、2004年にNHKハイビジョンスペシャルで放映されてから世界に知られる集落となりました。
それ以来、国内外はじめ多くの人が訪れるようになったのです。
針江集落の中心にある水車 撮影:Funazushi-maru
ただし、針江は観光地ではありません。カバタも家の中で生活の場となっているもの。
しかしテレビの力はすごいもので、何もない小さな集落に沢山の人が押し寄せ、敷地の中に入り込む人も・・・
そこで針江の人々は考えました。来る人を拒んでも見たい人はどんどんやってくる。
だったらあらかじめ見せることのできるカバタを決めておき自分たちで町を案内することで、来る人を受け入れつつも勝手に自分たちの生活を荒らされないようにできるのではと・・・
そして針江に「生水の郷委員会」という組織を立ち上げ、町に来た人を有料でガイドする仕組みを作られました。
有料にしたことで観光客増加への一定の歯止めがかかる効果にもなりました。
針江の公民館 ガイドツアーの出発点 撮影:Funazushi-maru
今回、僕はこのツアーに参加し針江のカバタについて学んできました。
次回はその針江のカバタや魅力について伝えていきます。
針江生水の郷(http://harie-syozu.jp/)
滋賀県高島市新旭町針江
針江生水の郷委員会事務局
TEL:090-3168-8400
TEL:0740-25-6566
AM10時~PM4時
電車:JR湖西線新旭駅から循環バス利用10分(針江公民館下車)
車:国道161号 今津方面から高島市役所の標識を右折
※集落には大きな駐車場はありません。できるだけ公共交通機関を利用してください。