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教皇の町と謳われているヴィテルボ(伊語:Viterbo)は、ローマを州都とするラツィオ州の北部に位置する人口約6万7000人規模の都市です。ローマの中心街からは約70kmと距離はあるが、鉄道で手軽にアクセスしやすいことからローマ発の日帰り旅行に最適な町の一つでもあります。
トゥーシャ(伊語:Tuscia)と呼ばれるこの地域は、紀元前8世紀から1世紀頃にイタリア半島中部にあった都市国家群であるエトルリア文明が栄えていた場所でもあり、中世の13世紀頃にはローマを離れて移り住んだ教皇の町でも知られ、教皇を決める選挙"コンクラーベ(伊語:Conclave)"という言葉もこの地から生まれています。
そして、第2次世界大戦で激しい空襲を受けたにもかかわらず、この地域はもっとも保存状態の良い町でも知られています。そんな中世の佇まいが強く残る城壁に囲まれたヴィテルボの旧市街は、7つの門が入口となっています。
ヴィテルボの歴史的中心街は、それほど広範囲ではないことから自らの足で思いのままに歩くのが最適で、イタリア国鉄のヴィテルボ・ポルタ・ロマーナ駅(伊語:Stazione di Viterbo Porta Romana)に近いローマ門(伊語:Porta Romana)から街歩きをスタートするのが一番効率良いだろう。
ヴィテルボ旧市街を歩けばいくつかの趣きのある噴水を見かけることができるが、その中でもルネサンス様式のプリオリ館(Palazzo dei Priori)の中庭と噴水からはヴィテルボのパノラマを眺めることができる。
現在も市庁舎として機能しているこの優雅なプリオリ館は、1460年から建てられたとされています。
噴水から流れる水音と共に長閑な雰囲気漂うジェズ広場(伊語:Piazza del Gesù)と1271年の復讐殺人の現場で知られる悲劇のサン・シルヴェストロ教会(伊語:Chiesa di San Silvestro)にはこの場にいる今では想像できない歴史が存在している。
ペペリーノ(伊語:Peperino)と言われる火成岩で造られた石造りの美しい町"ヴィテルボ"でもっとも魅力的な場所として知られるサン・ペッレグリーノ界隈(Quartiere di San pellegrino)は、一瞬にして13世紀の世界へ飛び込んだような錯覚に襲われる。
このサン・ペッレグリーノ界隈では、幻想的でその場所に立ったものだけしか分からないような優越感を感じることができ、一つ一つの建物の構造によってどこか懐かしいという感覚から来るかのような心地よい空間をもたらしている。
教皇を選出し、祈りを捧げるために枢機卿が集まったとされる12世紀のサン・ロレンツォ大聖堂(伊語:Cattedrale di San Lorenzo)、教皇をローマから呼び寄せるために建てられ、コンクラーベという言葉が生まれた教皇の宮殿(伊語:Palazzo dei Papi)とこの町もまたかつては豊かな町だったと知ることができる。
ここヴィテルボは、ジャガイモや栗の産地として知られている。その地ならではの料理を味わうべくヴィテルボ料理を味わってみたかったら特派員自ら選んだ地元レストラン"Trattoria 4 Stagioni"で味わってみてはどうだろうか。
1903年から営業している家族運営のこのレストランのお勧め料理の一つである"ヴィテルボのジャガイモとポルチーニ茸の盛り合わせ"は、ローズマリーと塩のみとシンプルな味付けが特徴だ。口の中で蕩ける肉厚のポルチーニ茸を素材そのままに楽しむことができるが、現在、そのポルチーニ茸は残念ながらここヴィテルボ産ではなく、北部イタリアで採れたものを使用しているようだ。かつては多くのポルチーニ茸が地元で採れたが、今でもヴィテルボ料理としてポルチーニ茸を使ったメニューが用意されている。
それ以外にもヴィテルボ産のじゃがいもをふんだんに使ったニョッキ(伊語:Gnocchi)や栗を使ったティラミス等とその地ならではの料理をこの旅と共に堪能することができるでしょう。
【レストラン情報】
Trattoria 4 stagioni di Carrer Pietro
住所:Via Calabresi, 8 Viterbo
【アクセス情報】
ローマ・オスティエンセ(伊語:Roma Ostiense)駅からヴィテルボ・ポルタ・ロマーナ駅までイタリア鉄道のトレニタリアにて約2時間。ローマ・トラステヴェレ(Roma Trastevere)駅、ローマ・サンパオロ(Roma San Paolo)駅、ヴァレ・アウレリア(伊語:Valle Aurelia)からでも乗車可能。