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(野菜売りが集まるダルエスサラーム市街の一角)
ダルエスサラームは何かと物価が高く値上がりも頻繁で、モノによっては日本の数倍の価格
だったりしますが、国産農産物だけは安定・格安で入手可能です。
野菜は鮮度が命。輸入品も多いスーパーの「それなり」な野菜に比べ、街角の商店、さらには
行商人の品揃えとなると新鮮さは別格です。自分の体力を使って売り歩くわけですから当然、
選りすぐりの商品を揃えますよね。どの野菜も生き生きと輝いています。
(スーパーの野菜・果物売り場。新鮮そうに見えても、近くで見ると必ずしも…。)
下の写真のように大きなカゴに野菜を山盛り載せている売り子さんなら一目瞭然ですが、野菜
を大袋に詰めて運んでいる人だと、声をかけて聞いてみない限り野菜売りだとは分かりません。
サンタクロースの袋のように大きな古びた袋を手に持ち頭に載せて運んでいる人がいたら、
中身は新鮮野菜かもしれませんよ!
(葉野菜専門の売り子さん)
(たらいには、何種類もの新鮮な青菜がギッシリ!)
スーパーでも珍しい野菜が見つかりますが、地元住人を主な顧客とする行商人は、さらにレア
度の高い野菜を携えています。
呼び止めると、このように袋から次々と商品を出して並べてくれるでしょう。
もちろん鮮度抜群、値段交渉も可能です。
(本日の買物)
さて、今回は日本ではあまり見かけない珍しい野菜を、筆者の判断による「リピートしたい率」
の三ツ星ランク表示を添えてご紹介していきますね!
―――
まずは葉野菜から。
新鮮な青菜を見ると日本ではお浸しで食べたくなるかもしれませんね。
でもアフリカではサッパリしたお浸しより、細かく刻んで油で炒めてからじっくり煮込む方が
他のおかずとの相性も良いようです。タマネギと炒め合わせ、トマトやココナツミルクで煮込
むというのが基本スタイルです。
【ムナヴ/Mnavu】 ★★★
スワヒリ語で"ムナヴ"、英語では"African nightshade(アフリカン・ナイトシェイド)"と
呼ばれるこの葉菜は、ナス科の植物です。"Nightshade"は毒を持つ種類もあることで
知られていますが、これはビタミン・ミネラル豊富な食用です。クセのないまろやかな風味、
太めの茎と柔らかい葉が食感にコントラストを与えてくれる美味しい野菜。見かけたら是非
お試しください!
上の写真右がムナヴ、左は「チャイニーズキャベツ(Chinese cabbage)」と呼ばれる
からし菜風味の野菜。
Mnavuには、小さな白い花とつぼみがあちこちに付いています。そのまま調理します。
【クンデの葉/Majani ya kunde(下の写真上)】 ★
小豆やササゲにそっくりの味と風味を持つ「クンデ」という豆を使えば、タンザニアでも
あんこ・お汁粉・お赤飯などを違和感なく再現できます。そしてその葉(写真)は、青菜
として食べられています。下茹でが必要で手間がかかるので★は1つ。
クンデ豆の写真や食べ方についてもご紹介しています!
(クンデの葉(上)とメティ(下))
【メティ/Methi(上の写真下)】 ★★★
「フェヌグリーク」の葉です。日本ではスパイス売り場に「フェヌグリークシード」が売られ
ていますが生葉は入手困難ですね。
先端が丸い「涙形」の葉を持ち、ニガウリ(ゴーヤ ※タンザニアでもゴーヤを売っていますよ!)
のような苦みとエキゾチックな独特の風味を生かして淡白な食材を合わせるのが良いでしょう。
鶏肉と一緒にサッパリ塩炒めにするのが筆者のおすすめです。
【ムチチャ/Mchicha】 ★★★
当地で最もポピュラーな青菜は間違いなくこれです。
トマトとの炒め煮が定番調理法で、食堂の定食にはほぼ必ず付いてくるおかずです。じっくり
煮込んでトマトと一体化したムチチャはとても優しい味がするのです。
「ホウレンソウ/Spinach」と紹介されることが多いですが、「アマランサス」の葉です。
馴染みやすい優しい風味なのでいろいろな料理に使えます。アマランサスは日本では「雑穀」
としてタネが食べられているので、その名を知っている人は多いかもしれませんね。
葉も、春菊の5倍のビタミン、ホウレンソウの3倍のカルシウム等々と栄養価が高い野菜です。
(丸みのある葉(下)が「ムチチャ」、尖った葉(上)が「マテンベレ」。)
【マテンベレ/Matembele(上の写真上)】 ★★
ムチチャと同じくらいポピュラーなのがこの青菜。実はサツマイモの葉っぱ(sweet potato
leaves)です。
葉っぱを収穫してしまってはサツマイモが育ちませんので、ちゃんと野菜として栽培されたもの
です。ハート型をしている普通のサツマイモの葉とは見た目が違いますね。少し独特の風味と、
ほのかにネトッとした舌触りがあります。
【カボチャの葉/ボガ/Boga/Pumpkin leaves】 ★
葉と茎には細かい産毛が生えています。茎はストローのように空洞。煮込んだ茎はフキの
ようなシャキシャキした食感が美味しいので、茎だけ集めて食べても良いかも。
(ボガ/Boga/カボチャの葉)
【その他の葉もの】
他にも、パワーを感じるケール(Sukuma wiki)やキャッサバの若葉(Kisamvu)、柔らかな
フダンソウ(Chard)、などもよく食べられています。
ハーブ類は日本では飾り程度の量で使うことが多く値段も高いですが、こちらではたっぷり
使った料理を楽しんでみては。ミントやコリアンダーを「主役」としてたっぷり使ったサラダも
美味しいものです。
日本だとインド料理の後の口直しで出て来るシードでお馴染みのフェンネルは、香り高い生葉
を刻んでサラダに加えたり、セロリのような株元を煮込み料理に使うといつもの味がワンランク
上がります。
また、レモングラスを煮出したハーブティーはmchaichaiと呼ばれ、家庭で飲まれています。
街角の食堂でも出しているところがありますよ。
【白ナス/White eggplantまたはWhite brinjal】 ★★★
大きな米ナスから小さなものまで、様々な色形のナスがあります。この白いナスはゴルフボール
ほどの大きさかつラグビーボール形。皮と中身は共にクリーム色。身は密度が高く、煮込んでも
普通のナスのようにトロトロにはなりません。そしてマイルドな苦みがあります。
トマトで煮込んだ白ナスは町の食堂のおかずにも出て来るくらい当地ではポピュラー。小さいけど、
身が詰まっていて食べ応えがあり、時々食べたいと感じさせるので★3つ。
(輪で囲んだ野菜も、ナスのバリエーションなんですよ! 横に並んでいるオクラも人気があります。)
【ヘビウリ/Snake gourd】 ★★★
この得体の知れない野菜は初挑戦だったので一番短いものを選びましたが、それでも84㎝(写真)
あります。
指で押すとヘンにブヨブヨしていたのは、中に空洞があったからなのでした。
皮もタネもそのまま調理可能。淡白なので何にも合います。
厚めのスライスをオリーブオイルでソテーし、タンザニア産モッツァレラチーズを使った
オムレツにして美味しくいただきました!
【ドラムスティック/Drum stick】 ★
その名の通り、太さも長さもちょうど「ドラムのバチ」のよう。オクラを長く引き伸ばした
ようなミゾがあります。ガッチリ硬いこの野菜の正体はスーパーフードとして知られるモリ
ンガの実のサヤで、写真のものは長さ45㎝前後あります。
どのように調理すると良いのでしょうか…。とりあえずは自己流で試してみました。
サヤはセロリのようにスジを取れるものの、硬いサヤと中身を完全に分離するのは困難
なのでそのまま調理したため、口に残る硬い繊維を吐き出しながら食べることになりました。
繊維を選り分けながら食べなければならないので、じっくり味わう楽しみは邪魔されますが、
柔らかい中身自体はなかなか美味しいもの。繊維が煩わしく満足感が低かったため★1つ。
(左からドラムスティック、カレーリーフ、そして??)
【カレーリーフ/Curry leaves】 ★
薄手ですがしっかりした葉を持つカレーリーフは、炒ったゴマのような香ばしい香りがします。
葉は細い枝からパラパラと簡単に分離します。南インドなどの料理によく使われるようですが、
洋風煮込み料理に入れても馴染みます。穏やかな風味なので多めに入れても大丈夫。基本的に、
食するというより風味付けのための食材なので★は1つ。
【??】 ★
訊いたけど名前を忘れてしまった野菜。かなり大きいものもあり、写真はまだまだ小さい方でした。
表面がガリガリしていて、どのようにして食べたらよいかちょっと想像がつきません。
サッパリした味だったので、そのまま挽肉と一緒に味噌炒めにしてみたのですが、尖った部分は
取り除いた方が良さそうです。調理をしても「ガリガリ感」が残るので。これも現地の人に
調理方法を訊いてみたいと思います。
(スライスするとサクッとした手応え。シャープな切り口がクリスマス飾りのように綺麗!)
【ティンドラ/Tindora】 ★
味はキュウリに似ていながら、パリパリに身が締まっていてしっかりした食感の小さな野菜。
和名では「ヤサイカラスウリ」と呼ばれています。「味はキュウリ」なので悪くないのですが、
キュウリの約3倍という値段の価値は見いだせないため★は1つです。
パリパリしたその歯応えを活かし、筆者はみじん切りにしたものをピクルス代わりに卵の
サンドイッチに混ぜたり、スライスしてサラダにしました。試しに煮てもみましたが、それでも
なおしっかりしていてトロっと柔らかくなるようなことはありませんでした。
熟すとタネの部分がオレンジ色になるようです。
オレンジ色になった部分は若干酸味が発生し、ヌメッとした舌触りになっています(腐敗では
ありません)。
【キュウリ/Tango/Cucumber】 ★★★
こちらで最も一般的なキュウリは、直径5~6㎝ほどまでに育ち過ぎた日本のキュウリの
ように見えます。味も散漫だしタネも硬く熟してきているので、取り除いた方が口当たり
が良くなります。
代わりに筆者が好んで買うキュウリは、長さ10cm程度のこちらのタイプ。一切タネが気に
ならないうえ、キメが細かく繊細な食感が大変美味しいキュウリなのです。皮は苦いので
剥いて食べます。最初は写真左のように白っぽいですが、日が経つにつれ皮が黄色くなる
ので古びて見えますが、身にハリがあれば問題なく美味しくいただけますよ!
(日が経つとだんだん黄色味を帯びてきますが大丈夫。)
【ビーツ/Beetroot】 ★★
ロシア料理・ボルシチで有名なビーツ。切ると赤インクのような汁がしたたります。
甘味があり、火を通してサラダにするのもおすすめです。写真は、知人のアドバイスを
受けてサツマイモと一緒に煮たものです。サツマイモも赤く染まっています。甘い煮汁が
とても美味しかった!
当ブログ『タンザニアの主食』や『タンザニア料理・定番だけじゃない。あまり語られない食材と
メニュー』では、マギンビやキャッサバなど南国ならではの主食や、街の食堂では
なかなか出会えない食を紹介しています。是非、そちらもご覧ください!
日本では入手困難だったり、値段が高い野菜も気軽に挑戦できる環境を活かしていろいろ試してみては!