キーワードで検索
世界各地でも同様のことが言えるのですが、とっておきの隠れスポットは、ここ永遠の都「ローマ」にもあります。毎日のように世界中の観光客で賑わうちょっと騒がしいナヴォーナ広場(伊語:Piazza Navona)付近には、由緒ある修道院の回廊を眺めながらカフェができるカフェ屋さんがあります。ここはローマ旧市街という観光地の中にあるにも関わらず、静かに心穏やかに過ごせる場所です。
その名もブラマンテ修道院(伊語:Chiostro del Bramante)です。
1482年頃に創建のサンタ・マリア・デッラ・パーチェ教会(伊語:Chiesa di Santa Maria della Pace)に付属するこのブラマンテ修道院は、盛期ルネサンスを代表する建築家のドナト・ブラマンテ(伊語:Donato Bramante)によって建てられました。彼は、ミラノにある世界的にも有名な「最後の晩餐」で知られるサンタ・マリア・グラーツィエ教会(伊語:Chiesa di Santa Maria delle Grazie)の設計にも携わっています。当時、戦況が思わしくなくなったことによりミラノからローマへ移住した後、当時の教皇に任じられ、サン・ピエトロ大聖堂の初期建築主任として任命された経歴を持っています。彼は、またローマ建築を再構築することで古典主義建築に強い影響を及ぼした人物として素晴らしい業績を残しています。
ブラマンテ修道院に隣接するそのサンタ・マリア・デッラ・パーチェ教会の内部には、盛期ルネサンスの巨匠であるラファエロが描いた「巫女と天使(伊語:Sibille e Angeli)」というフレスコ画があります。手応えたっぷりの芸術的価値があるこの教会は、この修道院と一緒に訪れてみるべき場所の一つです。
16世紀頃に建てられ、回廊が印象的で見事な造りになっているブラマンテ修道院の周辺には、コロナーリ通り(伊語:Via dei Coronari)と呼ばれる500メートル程の路地道があり、そこではかつての趣を残した不思議な雰囲気を感じさせてくれます。元々は、冠を意味するイタリア語の「Corona」が由来で、中世の当時は巡礼者向けに聖なる冠やロザリオを売る店がこの路地裏に軒を連ねたことから来ています。現在は、個性的なブティック、アンティーク店も連なっており、ローマの旧市街の中でも別の顔を見せてくれる楽しい路地道となっています。
また、ブラマンテ修道院は、カフェ屋さんだけではなく、宿泊施設、アートギャラリー、本屋さん、学校教育の場としても有効に活用されており、この回廊を眺めながらのカフェはロマンチックな時間とも言えます。
細心の注意を凝らされたこのブラマンテ修道院は、ローマの喧騒の中にあるにも関わらず、静かに過ごせる空間として、学生たちもカフェを飲みながら勉学に励んでいる姿を見ることができます。ルネサンス時代に迷い込んだようなシンプルで調和のとれたこの修道院は、フレスコ画も少し残っているので、ローマの悠久の歴史を体感しながらのカフェで心休ませてみて下さい。
また、この周辺に滞在する旅行客は、ここのカフェ屋さんでも朝食を楽しむことができるので、これもまた気持ちの良い朝の時間を過ごすことができるでしょう。
Chiostro del Bramante
住所:Arco della Pace, 5, 00186 Roma
-営業時間 月~金:10:00~20:00/土・日:10:00~21:00