キーワードで検索
ローマから東へ約50kmの場所にあるスビアーコ(伊語:Subiaco)は、イタリアの最も美しい村に登録されています。この町には、ローマの街を流れるテヴェレ川の支流で、古代よりローマ水道の水源として利用された透き通るほどに清い流れのアニエーネ川(伊語:Aniene)と多くの修道院があり、1465年頃にイタリアで最初の活版印刷が行われた場所として知られています。
スビアーコの街から3~4kmほど外れにある聖なる洞窟のサクロ・スペーコ(伊語:Sautuario di Sacro Speco)とも呼ばれる断崖絶壁のサン・ベネディクト修道院(伊語:Monastero di San benedetto)とサンタ・スコラスティカ修道院(伊語:Monastero di Santa Scolastica)が主な見所ですが、修道院が多いことからも宗教的な場所となっています。カトリック信者でなくても強い感銘を受けるこの地は、洞窟で修行した聖ベネディクトが最初の修道院を建て、修道制度を確立させたと言われています。
また、暴君として悪名高い皇帝ネロの避暑地でもあったこのスビアーコは、豪華な別荘地跡があり、3つのダムを築き、娯楽目的の人工湖を造ったネロの足跡が残されている。ダムは、洪水によって破壊されるまでは当時の世界最高の堤高と持っていたとされています。
スビアーコがローマを州都とするラツィオ州の貴重な宗教文化遺産になっているようにこの町は、中世からは宗教的な存在として歴史を積み重ねてきています。現在は、岩壁に聳え立つスケールの大きな修道院そのものが観光地としても広く知られるようになったが、今でもやはり聖なる場所として世界中からの巡礼者が訪れています。
聖ベネディクトが隠居しながら修行して生活していた洞窟がこの修道院の基礎となって建てられたサクロ・スペーコ(聖なる洞窟)のベネディクト修道院は、ベネディクト修道会にとってはまさに聖地であり、その内部も見事なフレスコ画で彩られています。訪れるものを圧倒させるその外観だけではなく、内部もまた芸術的な遺産そのものを感じることができるだろう。
今回は、タイミング悪く終日、停電のため内部を訪れることができなかった聖ベネディクトの双子の妹である聖スコラスティカのサンタ・スコラスティカ修道院もその麓にあります。二つの修道院間は、整備されたトレッキングコースとなっているので、澄んだ空気と山々の緑に抱かれ赴くままに歩けば、また楽しい時間を過ごすことができます。食事や宿泊の施設を併設しているフォレステリア(伊語:Foresteria)がこの修道院のエリアにあるので、静かで穏やかな時間を過ごすにはこれ以上ない場所とも言えます。
スビアーコの町自体は、のどかなイタリアの田舎の町で、町の中もまた静かで穏やかな時間が流れているのを感じられます。アニエーネ川の清らかな流れに架かっている1365年に造られたサン・フランチェスコ橋(伊語:Ponte San Francesco)は、歴史的にも代表的なものとされています。
スビアーコの散策と共に2つの修道院を訪れるだけでも心満たされるこの場所は、ゆっくり1泊ぐらいするのもまた悪くはないですが、ローマからの日帰り旅行先としても強くお勧めでできます。長い歴史を積み重ねているだけあって、ローマの街以外にもローマの郊外には美しい場所がたくさんありますが、これだけ山々の緑と美しく清らかな川のせせらぎ、穏やかに修道院の前でくつろぐ山羊、小鳥たちのさえずる声、そして心休ませてくれる町並みや修道院と美味しい地元料理、ちょっとした贅沢がここにあります。
【アクセス方法】
※かなりの距離を歩きますので、特に足が疲れやすい方には、レンタカーでの移動がオススメです。
メトロB線 ポンテ・マンモロ駅(伊語:Ponte Mammolo)下車後、コトラル社のバスにてスビアーコまで約1時間15分。スビアーコのバスターミナルとなるジョヴァンニ・ファルコーネ広場(伊語:Piazza Giovanni Falcone)からサン・ベネディクト修道院及び、サンタ・スコラスティカ修道院までは徒歩にて約3~4km。なお、スビアーコのバス停からは同じくコトラル社のバスでヴァレピエトラ行(伊語:Vallepietra)にて修道院近くのバス停まで移動できるが、午前と午後2本ずつしかないので、注意してください。
コトラル社のサイトはこちらより