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ここローマには中世のだまし絵が見られる聖イグナチオ・ロヨラ教会(伊語:Chiesa di Sant'Ignazio di Loyola)があります。このバロック様式の教会は、日本でも馴染みのあるフランシスコ・ザビエル(伊語:Francesco Saverio)が布教したイエズス会(伊語:Compagnia di Gesù)の創立メンバーであり、初代総長でもあったイグナチオ・デ・ロヨラ(伊語:Ignazio di Loyola)のために17世紀頃(1626年)に創られたものです。
教皇への絶対的服従というカトリック教会の男子修道会であるイエズス会は、世界布教活動の一環により日本に初めてカトリックをもたらしています。そして、スペインのバスク地方出身のイグナチオ・デ・ロヨラが初代総長として、欧州各地に一般学校や神学校を創立させることで名を馳せ、会憲では、軍隊出身のイグナチオらしく軍隊的な表現を用いている。1540年頃、当時の教皇パウルス3世により許可されたこの修道会は、今や会員数が20,000人を誇り、112ヶ国に及ぶ世界で2番目に大きいカトリックの男子修道会になっています。
当時の反宗教改革の発展に貢献したとされるイエズス会の初代総長イグナチオ・デ・ロヨラは、1556年にローマで死去し、教皇のグレゴリウス15世(伊語:Papa Gregorio XV)が1622年頃に聖人として列聖させています。そして、その彼に捧げられた教会がこの聖イグナチオ・ロヨラ教会です。
教会内部の見事な身廊天井画は、イタリア人の画家でもあり、建築家でもあったアンドレア・ポッツォ(伊語:Andrea Pozzo)による最高傑作とされております。彼もまた、イエズス会の修道士として知られています。
※ドームの内側が見える。
壮大なフレスコ画は、クアドレトゥーラという遠近法による天井画で人間の視覚を利用して惑わすイリュージョニスティックな技法を使っています。この聖イグナチオ・ロヨラ教会では、当初計画されていたドームの完成が資金不足等で中止になり、ポッツォが応急措置として遠近法によるこのだまし絵的なドームを作ったとされています。
※前の写真ではしっかりドームがあるように見えますが、実際にはドームはありません。
このドームも実際にその場に立つと平面で描かれていることが分かるが、ある地点に立てば、見事なドームの内側を見ることができます。
天まで続くような青い空に向かって描かれている様々な人物の天井画は、教会内部の床に黄色大理石の丸い印の部分に立てば、焦点がぴったりと合います。実際、この天井画は教会内に設置されている鏡で見ることもできますが、まるで3Ⅾを見ているかのような感覚を受ける。
ローマの英知が宿るパンテオンから近い場所に聖イグナチオ・ロヨラ教会があるので、このパンテオン観光と一緒にこの中世から息づくだまし絵を見に訪れてみてはいかがでしょうか。
※窓にはみ出ている「手」がポイントです。
聖イグナチオ・ロヨラ教会(Chiesa di Sant'Ignazio di Loyola)
住所:Via del Caravita, 8a, 00186 Roma
公式サイト:https://santignazio.gesuiti.it/