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甲賀忍者の里に広がる300の城址
滋賀の名城と言えば「国宝・彦根城」 撮影:Funazushi-maru
滋賀のお城と言えば、「彦根城」・「安土城」・「長浜城」あたりが有名でしょう。歴史好きな人なら「佐和山城」も知っているかもしれません。
実はそれだけではありません。滋賀の城はなんと1300か所(滋賀県教育委員会調べ)もあるんです!
もちろんこれらの城のほとんどは天守閣などはなく、主に戦の際の砦などいわゆる山城址というもの。で、このうち約300か所もの城址が、忍者で有名な「甲賀市」にあるのです。
私の奥さんの仕事場に無類の城好きであるTさんという方がいらっしゃいまして、私も少なからず山城に興味がありましたのでTさんオススメの山城を紹介いただけることになりました!
日本遺産「甲賀郡中惣遺跡群」
今回Tさんにご紹介いただいたお城は、甲賀郡中惣遺跡群として国指定史跡となっている「新宮城」「新宮支城」「寺前城」「村雨城」「竹中城」の五城の内の4つの城址。
場所はどれも新名神高速道路の甲南パーキングから出てすぐのところです。
甲賀郡中惣とは…、それこそが忍者が生まれた秘密でもあります。
まずは「村雨城」と「寺前城」から。
ぱっと見はタダの山。ですが、入り口には真新しい案内板が設置されています。この甲賀郡中惣の城址は2017年の春に、伊賀市や甲賀市に広がる忍びの里の構成要素として『日本遺産』に登録されました。
村雨城主郭 撮影:Funazushi-maru
入り口からすぐに城のエリアが始まります。
恐らく城と聞くとよほどマニアックな方ではない限りなんらかの石垣程度は残っていると思われるでしょうが、ここにあるのは(土塁)と言われる土を四方に高く盛り上げたもの。写真でもよく見ないとわからないと思いますが、16世紀に作られた人工的な形状の起伏がこの周辺にはまだ沢山残っているのです。
新宮城・新宮支城入り口 撮影:Funazushi-maru
続いて「新宮城・新宮支城」です。外からはわかりにくいですが、こちらも道路からすぐに山城へアクセスできます。
新宮支城の巨大な土塁 撮影:Funazushi-maru
新宮支城の郭には高さ10mはある巨大な土塁が。ここまで高い壁に囲まれていると安心感もありますね。
しかしなぜこのような小規模の城が沢山あるかというと、それが甲賀郡中惣の答えになります。詳細はこちらのサイトを見ていただければよく分かりますよ。
忍者の会議所
新宮神社の表門 撮影:Funazushi-maru
ということで、現在忍者と呼ばれている甲賀の地侍達は、それぞれの地域で合議制による自治を行っていたのです。そういった場として神社が主に使われていました。有名なところでは「油日神社」などがありますが、この新宮神社もそんな神社の一つ。小さな集落には似つかわしくないくらいの立派な茅葺の門が建っています。
立派な太鼓橋がある「矢川神社」 撮影:Funazushi-maru
そこからJR草津線・甲南駅の近くに行くと、矢川という地域があり「矢川神社」という大きな神社があります。
こちらにも茅葺の大きな楼門があり、かつて甲賀郡中惣の参会があったと記録されます。
もしこの地を攻めようとした時、山の中に無数に存在しているこれらの小さな砦の奥から突然襲い掛かられたらひとたまりもありません。
まして攻める側はどこにどんな城が、どれだけあるのかも知らないのですから…。そして突然現れ、突然消えていく様はまさに忍者と呼べるものだったのでしょうね。山の中にカモフラージュされたこれらの山城址を見ると、そんな忍者の姿が想像できます。
【甲賀郡中惣遺跡群(寺前城・村雨城・新宮城・新宮支城)】
〇場所:滋賀県甲賀市甲南町新治
〇アクセス:
JR草津線甲南駅~徒歩約20分)
新名神甲南IC~県道132号線