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最近でこそポンド安で日本からの英国旅行はおトクになっていますが、我が家が渡英しようとしていた2017年はまさかのEU離脱が決まってしまった頃。先が見えないけれど、なんとなく経済が悪化してただでさえ高いと聞いている物価が更に上昇するのでは、と漠然とした不安を抱いていました。離脱によってEU諸国からの輸入品が滞ったり、関税率が上がって価格に反映されてしまうのではないか、など。
実際イギリスに越して来たばかりの頃は、値段が気になってスーパーで買い物をするのもこわごわで、購入後は毎回レシートと睨めっこ。相場が知りたくて、その後数ヶ月は各スーパーのレシートを捨てずに保管していた程でした。
生活上の必要経費
その他初期費用として、携帯電話を現地仕様に新調して携帯会社と契約したり、何はともあれのインターネット接続代金、光熱費及びテレビを観るにもテレビライセンス代が基本料金に組み込まれていたり、次々と「請求書の嵐」に見舞われます。そのどれもが案の定お高く、時は電力、ガス自由化、IT業界の価格競争と、消費者にとってより便利で価格の選択肢にも恵まれそうな、変革期真っ只中のデフレにっぽんからホヤホヤで出てきたばかりの身としては、これらイギリスの諸経費全てが理不尽に高い!
気がして悶々としていたのです。価格競争という面では、電力・ガス、携帯会社といった業界では競争は激しい方で、調子に乗って毎年値上げをしてくる電力会社に業を煮やして、その都度別会社に乗り換えるというツワモノもいるようですが、現地初心者の外国人にはハードルの高い所業。実際我が家の光熱費も噂通り、順調〜に値上げをされ腑に落ちないので、今年はついに某業界大手から新興別会社に乗り換えました。
脳の勘違い?物価高に慣れてしまう
と、こんな調子で当初は一々日本円に換算しては「これは高い」「これは意外にそうでもないな」などと真剣だったのですが・・
易きに流れる私はしばらくすると、あれだけ拘っていた日本円換算をいつの間にかやめており、とあるマジックにかけられてしまうようになりました。渡英当時1ポンドは150円弱で推移していたのですが、(現在約137円)見るもの全てが1ポンドやら10、100・・と、アレ?なんだか数が日本円より小さくて、そんなに高くはないかしら??
なぁんて、単なるマヤカシを脳が受け入れ始めてしまったのです。これを私は「1ポンドマジック」と命名したのですが、特にスーパーで、その有難くない威力が発揮されます。青果コーナーではひたすら£1という値札に惹かれてしまい、精肉コーナーでは「三つで£10」、お菓子売り場では「二つで£3」等と書かれたものにめっぽう弱く、欲しくもない物まで条件を満たす為にカゴに入れてしまう羽目になります。
そして、後日クレジットカード会社から来る日本円での決済に、未だに毎回軽く血の気が失せるという、お決まりの結果が待ち受けています。現在ではポンド安のお陰で逆にアレ、こんなもんでいいの?と嬉しい驚きも多くなりましたが。
それでもやはり、一回の買い物金額としては、日本よりお高いワ‼︎
皆さんも、どうかこの魅惑の1ポンドマジックに惑わされて衝動買いしないよう、密かにお祈り申し上げます。