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ローマ郊外の北の町で開催される秋の収穫祭「栗祭り」

田澤 龍太郎

田澤 龍太郎

イタリア特派員

更新日
2019年10月25日
公開日
2019年10月25日
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ローマの北の方に位置するブラッチャーノ湖の外れにはマンツィアーナ(伊語:Manziana)という約8,000人規模の小さな自治体があります。この町では、週末を挟んだ3日間(2019年は、10月11日~13日)、盛大な栗の収穫祭(伊語:Sagra della Castagna Locale a Manziana)が開催され、ローマ市内から多くの人たちが訪れます。マンツィアーナに限らず、ローマ郊外は自然豊かな地域が多いため、栗だけではなく、ポルチーニ等といった収穫の秋ならではのお祭りが各地で開催されています。今回は、機会があって栗の収穫祭を訪れたので、リポートさせていただきたいと思います。

このお祭りの主催団体である地元の栗の収穫祭連合は、2008年12月5日より、地元の名産品である栗を地域の人たちで共有しながらより多くの人たちに栗の味を楽しんでいただくことを目的として設立されています。そして、この収穫祭を通じて、さまざまなイベントを施し、地域の人たちによる作品の展示会や音楽も絡ませながら、盛大なお祭りとして地域を盛り上げています。

実際のところ、マンツィアーナという小さな町の旧市街では、路上パフォーマンスとして、バンドによる演奏、ファイヤーダンス等と興味深いイベントが目白押しで人々を楽しませてくれます。

やはり、お目当てはこの収穫祭の主役となる栗で、底が網状になっている直火型のダイナミックなフライパンで栗を転がしながら、美味しい焼き栗を素材そのままに堪能することができます。

旧市街の道に並ぶ屋台では、栗を使った料理が出され、栗の粉を存分に使ったパスタ、ニョッチ(じゃがいものパスタ)、ラザニア等とまさに栗づくしの料理が並びます。この地域は、火山灰をベースにした土壌により良質な葡萄が取れることからワインの製造も盛んで、美味しい地元ワインと一緒に楽しむことができます。そして、世界三大キノコのひとつに数えられるポルチーニ茸も良く採れる地域でもあります。

イタリアでも小さな村等では過疎化が進んでいますが、このマンツィアーナのように小さな村ならではの特産品をこのようにして興すことで地域を大いに盛り立てるというのは、豊かな食文化のひとつとしてこの土地で育ったことに誇りを持てるということにも繋がり、町の人の心がひとつにまとまる瞬間ではないかと強く感じることができます。

大の栗好きにはたまらないこの収穫祭ですが、秋になるとローマだけではなく、イタリア各地ではこうした収穫祭が開催されるので、タイミングが合えばこのお祭りに参加し、その季節ならではの「イタリアの食欲の秋」を体感するのも旅の楽しみ方のひとつとも言えます。

栗の収穫祭

公式サイト:https://www.sagradellecastagne.com/

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