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ローマの町に広がる7つの丘のひとつに数えられるカンピドリオ(伊語:Campidoglio)は、もっとも高い丘とされており、古代ローマ時代より政治の中枢となっていました。この丘の上にあるカンピドリオ広場へは、石段のある坂道のコルドナータ(伊語:Cordonata)を上っていきます。
この美しい階段は、アラコエリ広場(伊語:Piazza d'Arancoeli)から丘へとゆるやかに続いており、古代エジプトの雰囲気が漂う2頭のライオン像、広場への入口には16世紀頃に近くにあうユダヤ人の居住区で発見されたギリシャ神話に登場する英雄のカストール(伊語:Càstore)とポルックス(伊語:Polluce)が見守っています。
1538年にルネサンス盛期の巨匠として知られるミケランジェロが設計したカンピドリオ広場(伊語:Piazza del Campidoglio)は、左側にヌオーヴォ宮(伊語:Palazzo Nuovo)、右側にはコンセルヴァートリ宮(Palazzo del Conservatori)、正面にセナトリオ宮(伊語:Palazzo Senatorio)と3つの建物に囲まれています。ヌオーヴォ宮とコンセルヴァートリ宮は、共にカピトリーニ美術館(伊語:Musei Capitolini)となっていますが、正面のセナトリオ宮は市庁舎として現在も機能しています。
中央に聳え立つ第16代ローマ皇帝のマルクス・アウレリウス・アントニヌス(ラテン語:Marcus Aurelius Antoninus)の銅像は、レプリカだが、この銅像の下では、ローマの中心という意味を表す一つの点を目にすることができます。そして、2世紀頃に作られたオリジナルは、右側にあるコンセルヴァートリ宮に展示されています。
この広場の正面に位置するセナトリオ宮の正面にある2重階段の噴水は、中央に1世紀の女神ミネルヴァ(伊語:Minerva)の像とその両脇には、ローマを流れるテヴェレ川(右側)とエジプトのナイル川(左側)を擬人化した男の像が立っています。
このセナトリオ宮は、1年の中にある日曜日のうち数回程度、限定的に公開されています。今回はカンピドリオの丘で警察関係の仕事をしている知り合いのイタリア人を通じて、特別に入場させていただきました。
古代ローマの中央公文館(伊語:Tabularium)となっていたこの場所は、カピトリーニ美術館から入場すればヌオーヴォ宮とコンセルヴァートリ宮を繋げる地下道を通じて見るこができます。現存する世界の市庁舎の中でも最も古い歴史があるとされるだけあって、重厚な雰囲気を強く感じさせてくれます。
特別自治体の管理本部として役割を果たしているこの建物には、特筆べき場所のひとつ。共和制ローマ期の政治家そして軍人として有名なカエサルの名前を冠したユリウス・カエサルの間(伊語:Aula Giulio Cesare)は、ローマの港町のオスティア・アンティーカ(伊語:Ostia Antica)から持ってきた見事なモザイク画が床に敷き詰められています。
また、このユリウス・カエサルの間は、かつては元老院裁判として使われた場所で、現在は市議会の会場として使われています。
このセナトリオ館の屋上から見下ろす古代ローマの政治と経済の中心となったフォロ・ロマーノ(伊語:Foro Romano)の風景は圧巻で、ミケランジェロが設計したカンピドリオ広場もまた美しい姿を見せてくれます。
このカンピドリオ広場は、50セントのモデルとなっており、この市庁舎の屋上から広場に広がる幾何学模様が鮮明に確認できます。
また、この屋上では、現在は時計塔となっている鐘楼を間近の見ることができますが、ローマにある鐘楼の中でももっとも古い部類に入るとされています。
セナトリオ館の左側にあるサン・ピエトロ・イン・カルチェレ通り(伊語:Via di San Pietro in Caccere)に入る道の途中では、古代ローマの水道のマルキア水道(伊語:Aqua Marcia)は、紀元前140年からのルーツを持ち、歴史的ロマンを感じさせてくれる美味しい水を堪能することができます。
さらに階段を下ると、マルメティーノ牢獄(伊語:Carcere Mamertino)と呼ばれる場所があります。そこでは囚人たちが床に開けた穴から投獄させられ、餓死させられた遺跡の一部が残されています。聖ペテロもまたここに投獄させられたが奇跡を起こして水を湧き出させ、看守たちに洗礼を授けたことから現在は、サン・ピエトロ・イン・カルチェレ教会(伊語:Chiesa di San Pietro in Carcere)となっています。
このようにしてみるとローマにはまだまだ眠る歴史的な見どころがたくさんあります。ローマに住む筆者でさえもまだ見ぬ場所がこの永遠の都にはあり、心を踊る気持ちにさせられます。次回はこのカンピドリオの丘にある世界最古の公立美術館で知られるカピトリーニ美術館について取り上げたいと思います。