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ローマにある世界最古の公立美術館を訪れる

田澤 龍太郎

田澤 龍太郎

イタリア特派員

更新日
2020年2月2日
公開日
2020年2月2日
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1471年、教皇のシクティウス4世がブロンズ像をローマ市に寄贈したことから始まった世界最古の公立美術館は、古代ローマ屈指の文化財等を収蔵しています。この貴重な古代ローマの文化財という歴史ロマンをもっとも感じさせてくれる美術館は、前回、この特派員ブログで取り上げたカンピドーリオ広場にあるカピトリーニ美術館(伊語:Musei Capitolini)です。(前回の記事はこちら

この博物館の中央の入口となるのが、カンピドーリオ広場の右側にあるコンセルヴァートリ宮(伊語:Palazzo dei Conservatori)でこの中庭には、フォロ・ロマーノのコンスタンティヌス帝のバジリカ(伊語:Basilica di Costantino)にかつて置かれていた巨像の一部が置かれています。1487年に発掘されたコンスタンティヌス帝の頭、手そして足は、高さにして12メートルあったとされています。

展示されている彫刻の中でもっとも良く知られているのが、紀元前6世紀のブロンズ製の狼像の「カピトリーナの牡狼(伊語:Lupa Capitolina)」で、双子の兄弟のロムルスとレムス(伊語:Romolo e Remo)がその乳を飲んでいる姿がとても印象深いです。ローマ建国神話によればこの双子の兄弟によって紀元前753年4月21日にローマ市を建設されたとされています。その他にも「足の刺を抜く少年(伊語:Spincario)」のブロンズ像もまた繊細で人気があります。

このコンセルヴァートリ宮の絵画館では、ティツィアーノ、ティントレットやレーニ等の巨匠たちの絵画作品が並び、聖ペトロニッラの間(伊語:Sala di Santa Petrinbilla)には、カラヴァッジョの官能的な作品の「洗礼者聖ヨハネ(伊語:San Giovanni Battista)」が展示されています。そして、カンピドーリオ広場の中央に聳え立ち、2世紀頃に作られたとされるマルクス・アウレリウス帝の騎馬像(伊語:Statua equestre di Marco Aurelio)のブロンズ像のオリジナルもコンセルヴァートリ館のホールで展示されています。

カピトリーニ美術館を構成するコンセルヴァートリ宮とヌオーヴォ宮は、地下のトンネルで繋がれていますが、その途中では現在の市庁舎のセナトリオ宮の地下にある古代ローマの公文書館(タブラリウム/伊語:Tabularium)を見ることができます。この法律や公的記録が保管されていた施設は、青銅版(タブラエ)が保管されていたことによりその由来があるとされています。

また、ここでは、セナトリオ宮の2階部分に繋がり、そのアーケードの窓からフォロ・ロマーノの素晴らしい眺望を眺めることができます。

そして、反対側のヌオーヴォ宮では、古代の彫刻がびっしりと圧倒されるほどに並んでいます。特に哲学の間(伊語:Sala dei Filosofi)の哲学者、詩人、政治家の胸像は、見事な作品ぶりに感動すら覚えること間違いないでしょう。また、特派員の自分としては、アメリカ合衆国の小説家であるナサニエル・ホーソン(英語:Nathaniel Hawthorne)が「大理石の牧神像(英語:The Marble Faun)」を書く契機となった赤の大理石の銅像「嬉しそうなサティロス(伊語:Satiro Ridente)」が印象深いものでした。

永遠の都ローマには、興味深い美術館や博物館が多くあるので、観光に訪れる皆さんにとっては、限られた時間の中でどれを鑑賞するか迷う部分はあるかと思いますが、ローマ2特派員としては、このカピトリーニ美術館もまた、推薦できる美術館の一つで特に古代ローマの歴史ファンであれば訪れたい場所の一つです。

Musei Campitolini(カピトリーニ美術館)

住所:Piazza del Campidoglio, 1, 00186 Roma

開館時間:月~日 9時30分~19時30分

(1月1日のみ14時~20時/チケットは閉館の1時間前まで)

休館日:5月1日、12月25日

臨時休館の場合もあるので、事前にホームページで確認することをお勧めします。

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