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【フランス リヨン便り n°11】
ブション・リヨネ:カフェ・コントワール・アベル(CAFE COMPTOIR ABEL)
旅の目的は人それぞれ。旅先を選ぶとき、「何を観よう、何を食べよう」と思いを巡らせるはず。それぞれの土地に、場所を代表する「アイコン」的な存在があります。例えば、フランスのパリといえば「エッフェル塔」、エジプトのキザといえば「ピラミッド」、ベルギーのアントウェルペンといえば「ダイヤモンド」といったようにです。ではリヨンといえば、「ブション・リヨネ(Bouchon Lyonnais)」、その土地に行ったら外せない、マストアイテムです。
ブション・リヨネについては、こちらの投稿も閲覧していただければうれしいです。
「フランス リヨンで、伝統料理を味わおう」
https://tokuhain.arukikata.co.jp/lyon/2020/01/post_313.html
リヨンのぺラシュ駅(Gare de Perrache)とベルクール広場(Place Bellecour)の間に、エネ地区(Quartier d'Ainay)と呼ばれる、リヨンの中でも歴史の古い地区があります。観光客も素通りしてしまう地区なのですが、地元の人に愛されリピーターで満席になるブション「カフェ・コントワール・アベル」があります。ブションとは、パリでいうところの「ビストロ(Bistrot)」、日本でいうところの「大衆食堂」に匹敵する料理店で、庶民的な食事処になります。
「カフェ・コントワール・アベル」の魅力は、店内のインテリア。エントランスの古めかしい木製ドアを開けると、レトロな店内の趣ある雰囲気に目を見張ります。人工的に造られたレトロさでなく、数えきれないほどの来客を迎えたテーブルや椅子、家具調度品、店内に灯りをともすシャンデリア、壁一面に飾られた絵画や版画、ポスター類など、創業1726年来の正真正銘のアンティークアイテムが時代の流れを今に伝えています。
アラン・ヴィニュロン(Alain Vigneron)氏が「カフェ・コントワール・アベル」のシェフを務めておよそ40年が経ちます。メニュー内容を変えることなく、代々引き継がれてきたレシピを継承しながら、時代時代のテイストを加え、根強く愛され続ける料理を提供しています。
日本人にも食べやすい前菜は、リヨンソーセージのレンズ豆添え。レンズ豆はリヨン近郊の町、ル・ピュイ・アン・ヴレの特産品です。余談ですが、眼鏡や拡大鏡、顕微鏡など光学ガラスなどに用いられる「レンズ」という言葉は、当初作成された凸レンズがこのレンズ豆に形が似ていたからだそうです。
当店の人気料理は、モリーユ茸とチキンのクリーム煮。創業以来変わらず、鉄のグラタン皿で運ばれ、熱々の料理を楽しめます。定番デザートはプラリネタルト。昔ながらの味と形を守り、深みのあるプラリネの甘さは一度食べたら病みつきになる、魔力的なおいしさです。
何よりも印象的なのが、店員の笑顔ときめ細やかなおもてなし。初めて訪ねる方も、通い慣れた行きつけの店にきたかのようなくつろぎを覚えます。これがリピーターを生む理由なのでしょう。
【カフェ・コントワール・アベル(CAFE COMPTOIR ABEL)】
・場所: 25 rue Guynemer 69002 Lyon France
・営業日: 12:00~14:30、19:30~22:00(金曜・土曜日は22:30まで)