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今やマスクが一箱150ドル?【ニューヨークの新型コロナウイルス事情】

青山 沙羅

青山 沙羅

アメリカ・ニューヨーク特派員

更新日
2020年3月5日
公開日
2020年3月5日
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ニューヨークでも、最新トピックは新型コロナウイルスねた

今や世界中の関心の的、新型コロナウィルス。噂や憶測が先行して、はっきり分かりやすい症状や特効薬がないところが、モヤモヤしますね。アメリカでは、トランプ大統領やニューヨーク市長が「アメリカは大丈夫」という発言をしていますが、誰も信用していません。何しろここは人種の坩堝。あらゆる国の人が集まり、故国と行き来しているのです。この地下鉄やエレベーターに乗っている誰かが感染しているかもしれない、と皆が不安を感じています。ニューヨークは特に中国系が多く、今まで観光客で混み合っていたマンハッタンのチャイナタウンも、なんとなく閑散としています。チャイナタウンの旅行代理店は、シャッターが下りていました。また、いつもは待合室が患者でぎっしりの中国系の医院で、待つことなくスムーズに受診できたので、「?」と思っていたら、お医者様が言うには「コロナ以来、患者がパッタリ来なくなった。」とのこと。観光客相手の中国系レストランも苦戦していると聞きます。コロナによる経済打撃は計りしれません。

2020年3月4日付NY州の感染者:11名(うち,邦人感染者0名)

2020年3月4日付在ニューヨーク日本国総領事館の「総領事館からのお知らせ」メールによると、現在ニューヨーク州の感染者は11名。日本人感染者はゼロです。

3月4日午前,クオモ・ニューヨーク州知事はニューヨーク州ウエストチェスター郡において新型コロナウィルスの感染者4名を確認した旨を発表しました(当館管轄内における6例目)。同日午後,同知事は同郡において更に感染者5名を確認した旨を発表しました(当館管轄内における11例目)。

【NY州の感染者:11名(うち,邦人感染者0名)】

在ニューヨーク日本国総領事館

マスクがどこにも売ってない!

マスク好きのアジア系と違い、アメリカ人は実はマスクが苦手。アメリカ人の知人は「マスクをしている人=伝染病患者に思えて怖い。」と言っていました。ニューヨークでマスクをしている人は、歯医者かお医者様など医療関係者くらいで、ストリートで見かけることは、ほぼありませんでした。ところが、今は中国系や韓国系、インド系などのアジア人はマスクをつけている人が目につきます。アジア系に限らず、欧米系でもたまにいますね。

もともとマスクの需要が少なかったアメリカで、急にマスクを買い求める人が増え、ドラッグストアや薬局ではマスクはあっという間に品切れ。念のため、マンハッタンのドラッグストア3軒ほどで聞いてみましたが、「ソールドアウト(品切れ)で、入荷も未定」とのこと。

マスクが一箱150ドル?!

韓国人女性の配偶者を持つアメリカ人男性が、「週末はワイフに振り回されて大変だった。」とボヤくので何事かと聞くと、彼らの住むニュージャージー州(ニューヨークのハドソン川を挟んで隣の州)でマスクを探し回ったそう。韓国で感染者が急増しているのに怯えた夫人が、「万が一のために」とマスクを欲しがり、車であちこちのドラッグストアをふたりで巡ったそうです。どこも売り切れで、一軒だけ僅かな在庫があったところは、なんとマスクが一箱150ドルと言ったとか。普段はせいぜい10〜20ドルくらいなのに、ずいぶんとふっかけたものです。彼は「マスク一箱で20枚ほどなのに、150ドルって驚いたよ」とこぼしていました。結局、150ドルのマスクは買わず、アメリカの他州に住む義母に探してもらうよう頼んだそうです。「田舎なら、まだあるんじゃないかな」と望みをかけたマスクは、その後手に入ったのでしょうか。

上写真は、マスク不足前に購入しておいた日本人の友人から2枚頂いたもの。竹炭入りだそうで、黒っぽいマスクです。これをあげようかなと思ったら、夫に「これは万が一のための、ウチの分」と阻止されてしまいました。皆が「万が一」に奔走しているのです。

在ニューヨーク日本国総領事館の注意喚起

予防措置について

○石けんを使用した20秒以上の手洗い(水が利用できない場合は、アルコール除菌液でも可)

○洗っていない手で目,鼻,口を触らない

○症状のある人との至近距離での接触を避ける

○症状があるときは外出しない

○咳やくしゃみをする際はティッシュで口鼻を覆い,ティッシュはゴミ箱に捨てる

○多くの人が触った物をこまめに拭く,又は消毒する

■ 新型コロナウイルスの発生に関する注意喚起 在ニューヨーク日本国総領事館

考えてみれば、地下鉄の手すり、ビルのあらゆるドア、エレベーターやトイレなど、多くの他人と間接的に接触しています。ニューヨークで皆が励行しているのは、「手を清潔にすること」です。職場に着いたら、自宅へ帰ったら、まず手洗い。そしてうがい。石鹸を使って、20秒以上洗うことが良いとされています。

とにかく手を綺麗に

石鹸と水を使って洗えない時のために、多くのニューヨーカーは「ハンドサニタイザー(Hand Sanitizer)」を使っています。ハンドサニタイザーとは、ジェルやスプレータイプのアルコールを主成分とした除菌剤。特に女性は携帯用のミニサイズをバッグにぶら下げ、いつでも手を綺麗にできるようにしています。メーカーの宣伝なのか、病院や学校、オフィスに壁にプッシュ式が取り付けてあることも多いですよ。

ドラッグストアで、いつもは山のようにあるハンドサニタイザーも売り切れなのか見つからず、以前サンプルでもらったミニサイズを引っ張り出してみました。個人的には使った後の感覚があまり好きではないのですが、しばらく持って歩こうかなと思います。WHO(世界保健機関)発表によると、新型コロナウイルスで死に至るのは全体の3.8%で、軽症が80%だそうです。噂や憶測に振り回されず、状況を乗り越えたいですね。

WHO調査報告書 症状の特徴・致死率など詳しい分析明らかに NHKニュース 2020年2月29日

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