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2020年3月9日現在ニューヨーク州感染者数142名
[Photo by Hideyuki Tatebayashi] Do not use images without permission.
2020年3月9日付在ニューヨーク日本国総領事館の「総領事館からのお知らせ」メールによると、現在ニューヨーク州の感染者は142名。3月4日発表の感染者11名から、たった5日間で10倍以上の142名に膨れ上がってしまいました。感染者の多いエリアは、ウエストチェスター郡が98名と抜きん出て多く、約7割を占めます。
3月9日現在,当館管轄内における新型コロナウイルスの感染者数は以下のとおりです。( )内は前日の感染者数
○ニューヨーク州:142名(106名)
【内訳】
ニューヨーク市:19名(13名)
ウエストチェスター郡:98名(82名)
ナッソー郡:17名(5名)
サフォーク郡:1名(1名)
ロックランド郡:4名(2名)
アルスター郡:1名(1名)
サラトガ郡:2名(2名)
○ニュージャージー州:11名(6名)
【内訳】
バーゲン郡:6名(5名)
カムデン郡:1名(1名)
パサイック郡:1名(新規)
ユニオン郡:1名(新規)
モンマス郡:2名(新規)
○ペンシルベニア州:10名(4名)
【内訳】
デラウェア郡:1名(1名)
モンロー郡:1名(新規)
モントゴメリー郡:7名(2名)
ウェイン郡:1名(1名)
○コネチカット州フェアフィールド郡:1名(1名)
クオモ・ニューヨーク州知事は,3月9日に行われた新型コロナウイルスに関するブリーフィングにおいて,毎週最大100,000ガロンの手指消毒剤を感染リスクの高い地域(ニューロッシェルを含む)やMTAを含む州機関に配布すると述べました。また,学校において新型コロナウイルスの感染者が確認された場合は,確認後,24時間については消毒のため学校を閉鎖する旨を述べています。
■ 在ニューヨーク日本国総領事館
299 Park Avenue, 18th Floor, New York, NY 10171
新型コロナウイルスより怖いもの
ニューヨークでテレビをつければ、"Coronavirus Outbreak(コロナウイルスの大流行)"のニュース。恐ろしい勢いで感染が広がっていき、トランプ大統領の「アメリカは大丈夫」という発言は、いとも簡単に覆(くつがえ)されてしまいました。誰もが新型コロナウイルスを話題にし、不安が募る今、最大の恐怖は根拠のない噂や憶測、思い込みではないでしょうか。SNSなどで玉石混交の情報が拡散するのが容易な昨今の状況を、WHO(世界保健機関)はインフォデミック(infordemic)と呼び警鐘を鳴らしています。不安によりフラストレーションが溜まり、他者に攻撃的になることも恐ろしいことです。
メディアの勘違い
2020年3月7日(土)4:30PM頃のタイムズスクエア
ニューヨークは観光都市であり、アメリカ合衆国の稼ぎ頭。非常事態宣言をしたところで、まだ観光客を締め出したわけではありません。非常事態宣言が発動された日の夕方、タイムズスクエア近くにたまたま用があり、通りかかったら観光客がたくさんいました。彼らは他国から飛行機、あるいはアメリカの他州から電車やバスでやってきたのでしょう。ニューヨークへ行ったら、あのタイムズスクエアで写真を撮ってインスタに出さなきゃと考えているかもしれません。いつも通り、のんびりとニューヨークを楽しんでいました。閑散としたタイムズスクエアを想像していたので、こんな事態でも多数の観光客がいることに驚きましたね。
それよりもっと驚いたのが、観光客へ「新型コロナウイルスは気になりませんか」とインタビューし、「ニューヨーカーは、新型コロナウイルスを気にしていないようです」などと日本のメディアが放映していたこと。ニューヨーカーとは、ニューヨークにいる(旅行している)人ではなく、ニューヨークで生活している人のことなのですが。タイムズスクエアにいる90%は観光客であり、実際のニューヨーカーは、新型コロナウイルスを心配し気にしています。
アジア人が動揺した動画
外出する前に、ABCニュースで見て、ショックを受けて出掛けたくなくなりました。ツイッターで155万回も再生されている、NYの地下鉄車両内で、アジア系男性にスプレーをかけている動画です。新型コロナウイルスの元凶が中国人と思いこんだ人間の、ヘイトクライム(憎悪犯罪)。中国人も日本人も韓国人もタイ人も、こういった人間にはアジア人は全部同じに見えますから、恐怖を感じますね。スプレーは除菌剤かと思いこんでいたのですが、実際にはファブリーズ(衣類の消臭剤)のスプレーでした。落ち着いて何回か見てみると、被害者と加害者の顔や様子が、動画撮影している側に向いており、撮影されることを意識しているように見えることがちょっと不自然な気もしました(ツイッターで動画を出している女性の職業は、女優となっていました)。
マスクの着用に違和感を感じるアメリカ人
こちらも話題になった、マスクをした中国人女性が攻撃を受ける動画。この女性はなぜ、目立つ真っ黄色のマスクをしているのか、走っているのにいきなり襲われたのか?なぜ襲われる前から動画が撮影されていたのか?など、疑問がよぎりますが、マスク姿がニューヨークでは嫌がられるのは確か。現在は非常事態なので、マスクをしているアジア人およびアメリカ人も見かけますが、やはり違和感は感じます。
地下鉄やバスなどで外出する時、アジア系女性は緊張しているように見え、サングラスをしてアジア系と分からないようにしている女性もいました。皆攻撃されたくないのです。
ニューヨーク警察はコロナに関するヘイトクライムに対して乗り出しているようですが、効果が現れて欲しいものです。
マスク使用については、下記のようにスクールポリシーを明らかにして、異なる文化の相互理解を求める語学学校もあります。
マスク使用に関する重要なお願い
Aは世界中から学生が集まる語学学校の為、違う視点に触れる機会が非常に多い場所です。東アジア諸国では年中問わず予防措置として一般的にマスクが着用され、マスク着用は感染拡大を防ぐための社会的責任とも考えられています。対照的に、米国を含む他の国では医療関係者以外はマスクを着用する習慣がありません。米国では医療専門家により病気の人やせきやくしゃみといった症状がある人にのみマスクの着用が推奨されています。
もしAの学生がマスクを学校で着用したい場合、学校は学生の希望を尊重します。
マスク着用は学生個人の判断に委ねており、マスクを使用しないという意思も尊重しています。
状況が日々変わる中、Aは現在の特殊な状況を考慮した上でお互いに協力し、双方の理解を深めていけることを願っています。
インフォデミック(infordemic)の拡散が、ウイルスより怖いですね。裏付けのない噂などは無責任に広めないよう、信頼できる情報なのか出典元を確認したいものです。