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【フランス リヨン便り n°20】
フランスは2020年5月11日以降、段階的に外出制限措置を解除していく方向で動いています。
フランス時間の4月28日15時にフィリップ首相が国民議会で外出制限措置解除に係る演説を行いました。
5月11日以降の基本方針は、「ウイルスと共に生きる」「段階的」「地方ごとに」です。
この方針に基づき、詳細な措置が講じられていきますが、ワクチン開発や集団免疫の形成がなされない限り、外出制限措置の「段階的解除」というよりは、外出制限措置の「段階的緩和」と受け止めた方がよさそうです。
引き続き、日常習慣として「社会的距離(1m)の確保」と「手洗いの徹底」、ウイルス感染対策として「防御(マスク)、検査、隔離」が原則となります。
フィリップ首相の国会演説の内容を在フランス日本大使館がまとめていますので、引用させていただきます。
【学校】
●5月11日以降、保育園・幼稚園・小学校は再開可能とするが、登校は自由とする。マスクやジェル等を供給するが、子供のマスク着用は義務づけない。
●5月18日以降、中学校を再開可能とする。マスクを市町村から供給するので、先生も生徒もマスク着用を義務とする。
●幼小中学校は15人以下のクラスとする。保育園は10人以下とし、医療従事者の子供が優先される。
●高校は当分閉校を継続し、5月末に6月2日から再開できるか検討する。
【企業のテレワーク】
●6月2日までテレワークを推奨する。不可能な場合は、ローテーションを組む等、人数制限を推奨する。
●業種毎にコロナ対応マニュアルを作成中であり、人と人との距離が確保できない場合はマスクの義務付けを推奨する。
●部分的失業制度については、6月1日まで延長していく方針。
【商業施設】
●カフェ・レストラン・バー・ディスコ・大型ショッピングモール(4000平方メートル以上)以外の商業施設においては、5月11日以降、再開が可能となる。カフェ等は6月2日以降の再開を今後検討していく。
●市場(マルシェ)も5月11日以降に再開できるが、地方自治体の判断で閉めることも可能とする。
●商業施設では、1mの距離や人数制限、マスク推奨等につき、配慮する必要がある。
【移動外出・公共交通機関】
●5月11日以降、100km以下の移動は解禁される。100km以上の移動は現状どおり特別な場合(家族の理由等)に限られ、証明書が必要となる。
●RATP(パリ市内地下鉄)は70%程度に回復し、市内交通は元に戻していく。席数は半減。
●タクシーも含め公共交通機関を利用する際は、マスク着用は義務となる。
●TGV(高速列車)、intercite(都市間特急列車)等の長距離移動は増やさないが、チケットは要予約。
【文化・スポーツ等】
●安全が確認されれば公園等も解放されるが、10人以上の集団利用は不可。
●コンタクトスポーツ・集団スポーツも不可。ビーチは6月1日まで閉鎖。
●図書館や地方の小規模な美術館は5月11日以降再開。
●大型美術館・博物館・映画館・コンサートホール・パーティールームは引き続き閉鎖。
●大型フェスティバル・スポーツイベント等は、9月まで不可。サッカー2019-2020シーズンも再開せず。
●宗教施設は5月11日以降再開されるが、宗教行事は6月2日まで禁止。お墓参りは5月11日以降可能。
●市役所の結婚式は5月11日以降も再開されない。
このようにロックダウン前の状態に完全に戻るには、まだまだ時間を要しますが、5月11日以降、100km圏内であれば、外出が許可されるのはとてもうれしいことです。
そこで、リヨンから「証明書なし」で行くことができる場所をピックアップしてみました。ただし、100kmという距離は直線距離なのか、走行距離なのか、基準が明確にされていないため、リヨンの中心駅パールデュー駅を基点にグーグルマップが表示する距離を参考にしています。
■リヨン(Lyon):ローヌ県(オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地方)
リヨン市内は自由に移動できます!
▼フルヴィエールの丘にある教会の内装は驚きの豪華さです。
■ボージョレ地方のオワン(Oingt):ローヌ県(オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地方)
オワン村は、ピエールドレ(黄金の石)と呼ばれる地方にあり、リヨン(パールデュー駅)からおよそ40km地点です。黄金色の石で造られた家々が並び、周辺にはガメイ種100%の果実味豊かな赤ワインを産するぶどう畑が広がっています。
▼オワン村は「フランスの最も美しい村」に登録されています。
■ペルージュ(Pérouges):アン県(オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地方)
リヨン(パールデュー駅)からおよそ40kmにある中世の要塞都市で、「フランスの最も美しい村」に登録されています。
▼石畳と石造りの家は中世の姿を今に伝えています。
■ブールカンブレス(Bourg-en-Bresse):アン県(オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地方)
リヨン(パールデュー駅)からおよそ70kmにあり、ブレス鶏の産地として知られています。
▼ブルー王立修道院は、2014年に「フランス人が選ぶお気に入りの歴史建造物」第1位に輝きました。
■マコン(Mâcon):ソーヌ・エ・ロワール県(ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地方)
リヨン(パールデュー駅)からおよそ75kmにあり、マコン周辺はシャルドネ種100%の芳香豊かな白ワインを産するぶどう畑が広がっています。
▼異形なソリュトレ・ヴェルジッソンの岩山はマコネー地方のシンボルとなっています。
■クリュニー(Cluny):ソーヌ・エ・ロワール県(ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地方)
910年創設、ベネディクト派クリュニー修道院跡がリヨン(パールデュー駅)からおよそ90kmのところにあります。
▼クリュニーの南に車で15分、ベルゼ・ラ・ヴィル村に中世のフレスコ画がとてもよい状態で保存されています。
■サン・テティエンヌ(Saint-Etienne):ロワール県(オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地方)
リヨン(パールデュー駅)からおよそ65kmにあり、「デザインの町」として、2010年にユネスコの創造ネットワーク「デザイン部門」に加入しました。
▼駅舎がとてもおしゃれです。
■ロアンヌ(Roanne):ロワール県(オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地方)
リヨン(パールデュー駅)から100km地点にあり、3つ星レストラン「トロワグロ」の誕生の地です。
▼ロアンヌから車で30分ほど離れたアンビエルル村にあるサン・マルタン教会の祭壇は必見です。
■グルノーブル(Grenoble):イゼール県(オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地方)
アルプスの麓の山岳都市グルノーブルは、リヨン(パールデュー駅)からおよそ100kmにあり、大きな岩山を刳り貫いて建てられたバスティーユ城塞が人気の観光スポットです。
▼バスティーユ城塞へはロープウェイでアクセス可能です。
■ヴォワロン(Voiron):イゼール県(オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地方)
リヨン(パールデュー駅)からおよそ85kmのところにあるヴォワロンという町に、フランスを代表するハーブ系リキュールの銘酒「シャルトリューズ」を製造する工場があります。
▼薬草の配合はグランド・シャルトリューズ修道院の修道士によって今でも秘密裡に行われています。
■オートリヴ(Hauterives):ドローム県(オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地方)
リヨン(パールデュー駅)からおよそ85kmにあるオートリヴ村に「シュヴァルの理想宮」と呼ばれる異形の建物があります。
▼フェルナンデル・シュヴァルという郵便配達夫が33年の歳月をかけて造り上げた彼の理想の宮殿です。
■ヴィエンヌ(Vienne):イゼール県(オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地方)
古代ローマ時代の遺跡が残る町ヴィエンヌは、リヨン(パールデュー駅)からおよそ40km地点にあり、ジャズフェスティバル開催都市として世界的に知られています。2020年の今年は中止になってしまい、本当に残念です。
▼アウグストゥス・リウィア神殿が現代の町並みに違和感なく存在しています。
■タン・レルミタージュ(Tain l'Hermitage):ドローム県(オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地方)
リヨン(パールデュー駅)からおよそ90kmにあるタン・レルミタージュには、「北ローヌの王様」と讃えられるシラー100%の高級赤ワイン「エルミタージュ」を産する丘があります。
▼銘醸ワインを産するエルミタージュの丘からローヌ渓谷への眺めは絶景です。
意外とありますね!
これからのブログでご紹介させていただきますので、お楽しみに。
通常ですと、これから春から夏へと観光シーズンに突入しますが、現状を鑑みますと、自由に観光や旅行ができる環境にはまだ至っていません。公共交通機関(バス、トラム、地下鉄、列車)や飛行機、宿泊施設、文化・観光施設、レストランやカフェなど、不特定多数の人々が集まる場所で、安全性が保証できるウイルス対策が課題として残っています。
一つひとつ最善策を講じていきながら、従前のように安心して観光や旅ができる日がきますように、心から願っています。