キーワードで検索
世界的に家の中で過ごす時間が多くなったこの頃ですが、貴重なおうち時間を使って、子供向け教材を使った「やさしい英語学習」にトライしてみるのはいかがでしょうか。私がイギリスで暮らすようになって、初めて子供に買い与えた英語の教材が国民的アニメのペパ・ピッグ(Peppa Pig)を使った「初めての1000語」1000 First Words という本でした。
使い始めた当初からそのクオリティの高さに感銘を受けたのですが、ロックダウン(関連記事)が始まってしまったので、復習がてらパラパラとまた手にとってみました。
大人でもあなどれない英単語の数々
中身は family, Peppa's House, On the Roadといったさまざまなテーマのもとに、ペパという主人公の豚の女の子が、日常生活で使うと想定される英単語を紹介しています。「初めての」というタイトルからすると、言葉を話し始める幼稚園児以下の年齢からすでに対象となっているはずですが、これがなかなか、われわれ大人でも十分英語の勉強になりそうです。というのも、たいていの日本人は学校で習う英語といえば「アメリカ英語」だったかと思いますが、当然ながらペパの英語は「イギリス英語」。単語が独特すぎて、初めて聞く言葉がたくさんありました。
rubbish bin ゴミ箱、vacuum cleaner 掃除機、granny おばあちゃん、ぐらいまでは「アメリカ英語と違うな」と気づけるのですが rounders 野球(のようなもの)、checkout スーパーなどの清算、pushchair ベビーカーといったレベルになるともはやお手上げです。子供に教えながら、実は自らも知らなかった、という状況が頻繁にありました。
イギリス文化も学べちゃう
また、この本では英語の勉強だけでなく、イギリスの仕来たりや行事まで学べます。
©︎ABD Ltd./En t.One UK Ltd 2017
例えばパーティーのシーンでは、パーティーをするにあたって招待状を用意したり、どういったゲームや催しものが実際によく出されるか、どういった食べ物や飾りつけをしたらいいのか、お持ち帰り用の手土産、終わったあとのありがとうメッセージなど、実際の生活にとても役立つ単語が多数紹介されています。
恥ずかしながら、子供の教材から学ぶシーンはこのテキスト以外にも多く、例えばわが子が通う学校では毎日読み物の宿題が出ます。子供が幼稚園のときなど、たいていは私でも軽く読みこなせる話なのですが、絵本に多用される擬音語などは英語のネイティブ・スピーカーではないので、私にとっては見慣れぬ単語がたくさんでてきます。
子供に質問をしながら読み進めていくのですが、ページによってはBob is glum. He was not glad. とあって、「なぜボブは喜ばなかったの?」と聞きたくても、自分自身が肝心の glum という単語がわからず、「なぜなんだぁあ、ボブよ、どうした⁈」と、心の内で叫びながら密かに辞書を引きます(不機嫌な、という意味でした)。
そのあとも、やれボブが flan をもらっただの Gran から spud をもらっただのと続くのですが、フランって何⁈おばあちゃんは Granって訳せるんだ。でも、スパッドって何?結局何をもらってるわけ?と‥たかだか10ページにも満たない本に、私自身が不甲斐なさに打ちのめされる日もあります。
flanとはタルトやパイといった洋菓子の一種、spud はジャガイモの口語だそうです。どちらもイギリスで育った人たちには日本人にとってのオニギリ、梅干しのようにわかって当たり前の言葉なのでしょう。このように、子供の宿題からイギリスの食文化まで学べる日もあります。
リスニングにはアニメ動画でお勉強
最後にリスニングの勉強、これもまた子供向けの番組が重宝します。冒頭で述べた、ペパ・ピッグです。Ben & Holly's Little Kingdom という、お姫さまが主人公の番組でもいいのですが、なんといってもこの子ブタちゃんのペパ・ピッグがイチオシです。
どちらもやはり幼稚園児向けのレベルですが、それゆえに対象年齢がもっと上のほかのアニメより、圧倒的に会話のテンポがスローで、英会話初心者にピッタリです。そして何より、これでもか、というほどこってこてのイギリス発音なので、イギリスに興味がある、いつかはイギリスに旅行してみたい、という方に特におすすめです。
私自身、来英当初は英国アクセントにとても苦労しました。もう、何を言っているのかサッパリわかりませんでした。ところが、これまた子供のためにと見せ始めたアニメの会話が、いつのまにか耳に入り始めるようになりました。普段なら聴き流してしまう英語の音声が、聴くつもりがなくても徐々に会話の内容がわかるまで耳になじんできました。
今回ご紹介したアニメには、それくらいやさしい単語が使われています。そして、あれだけ拒絶反応を起こしていたイギリス発音が、いつの間にやら好きになっていました。正直、初めは豚が主人公だなんて、絵も全然かわいくない、なんて思っていたのですが、今やすっかりその愛らしいタッチにメロメロです。
私のように、大人向けの細かい字の雑誌や音声番組を見ていると、すぐに眠くなって頭に入らないという方には、子供向けの題材から英語の学習を始めてみるのもいいかもしれません。なお、ご紹介したペパ・ピッグの本は日本のインターネット通販でも販売されており、教材だけでなく、普通の絵本も各種取り揃えられていました。日本では各地、続々と緊急事態宣言が解除されていますが、イギリスは一部のことが緩和されはしましたが、基本的にはいまだロックダウン(都市封鎖)中です。今しばらくこちらでは、家で英語の学習に励みたいと思います。