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イギリス学校閉鎖の一部解除〔解除の内容と登下校の様子〕

パーリーメイ

パーリーメイ

イギリス特派員

更新日
2020年6月2日
公開日
2020年6月2日
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新型コロナウイルスの影響で、2020年3月23日より始まったイギリスの学校閉鎖(関連記事)が今月6月1日より一部解除されました。

2ヵ月ほどの時をへてようやく待ちわびた学校再開ですが、「一部」解除ゆえわが家を含め就学児童がいる世帯では、さまざまな思惑が交錯しているのではないでしょうか。以下、わが子が通う学校で解除された「一部」の内容をお知らせします。なお、政府のガイダンス(2020年5月12日施行分)に従う点はいずれの学校も同様なはずですが、生徒数や運営形態、地域などにより学校再開の仕方が各校で異なると思われますので、その旨ご留意願います。

学校再開対象の学年

学校閉鎖「一部」解除の一部とは、まずは登校できる学年に制限がある点です。許可が出たのは幼稚園2学年分(日本の年少、年中組に相当)と小学校1年(同幼稚園年長組に相当)、そして6年(同小学5年に相当)のみです。

当然、誰もが抱く疑問(特に対象外となってしまった子供の親など)として、「なぜこれらの学年だけなのか?」という想いがわきます。理由は、イギリスではこれらの学年が、それぞれ次の学校制度へ向けての「移行期間」であるからだそうです。幼稚園、小学1年時はそのあとに続く学校生活への基礎固めをする要の時期であり、小学6年時は中学校へ向けて準備が必要とされる時期です。

イギリスの中等教育は5年と長く、中学校選びは日本の高校受験並みに一大事のようです。今回解除の対象になった学年をみて、イギリスの学校教育ではどの学年が重要な節目なのか、教育政策の一端を垣間みた気分です。

校内での行動規制

6月1日から学校に戻った生徒は、基本的におのおのの教室から出ず、ほかのクラスや学年の子供たちとは交流できません。1クラス内で推奨される定員数は15人で、それ以上の場合は15人ごとのグループにつき副担任など別の教師をつけることを政府は提案しています。生徒間の机も可能な限り離し、一定の距離を保たせます。清掃の頻度も上げるよう求められます。

幼稚園児や小学校低学年の児童が、社会的距離である2mを空けて行動することは実質難しいので、政府は担任教諭に各児童を小グループに分け、それぞれのグループの接触を避けるよう指導しています。わが子が通う学校では、幼稚園のクラスが通常の教室ではなく、体育館に移されていました。

制限される校内活動

以上のような対策と条件の下、わが子が通う学校もついに6月1日より一部の児童が登校を再開しました。学年によって登下校の時間と出入口が分けられ、以前は送迎の前後に保護者たちが固まってお喋りをする光景がよくみられたのですが、それも禁止されました。授業や集会、クラブ活動といったものにも制限がかかり、こういった面でも「一部」のみの再開となります。

体育や音楽、図工といった科目はまだ行われず、放課後や昼休み、朝に行われていたクラブ活動も一切中止になりました。学校閉鎖以前は毎日宿題として、共用の本を1冊ずつ家に持ち帰っていたのですが、そういった学校と家庭間の物のやりとりも停止されました。ゆえに、自宅から私物を持ち込むことも厳禁です。以前は自分のお気に入りの物を家から持っていき、クラスメイトに紹介するという発表会があったのですが、こういった授業もできなくなります。

学校給食も休止でお弁当を持って行かなければならないのですが、できれば使い捨てが望ましい、とのことです。朝のオヤツも以前はカットした果物をタッパーに入れてよく持たせていたのですが、これも必然的にNGとなり、個包装されたシリアルやチーズなどが望ましいと思われます(そのあと、これらに関しては訂正され、自前の容器も許可されました)。飲み水も、使い捨てカップを学校が用意するので水筒は持ってこなくてよい、それどころか通学鞄ももはや持ってこなくてよい、と手ぶらでの登校を促しています。

と、このような制限つきでも、学校を再開できた児童に対しては喜ぶべきことでしょうが、対象外の子供や、兄弟で一方は登校、他方は引き続き自宅学習とバラバラなため、かえって手間が増えた親など、複雑な気持ちを持つ家庭も多いかと思います。また、逆に再開は早過ぎると考え、子供を学校にまだ行かせたくない親もいます。その場合、わが子が通う学校では引き続き自宅学習をしてもよいことになっており、欠席扱いにもなりません。

全校生徒を対象とした「完全復帰」は、政府によると夏休み前の時期を目指しているそうです。ひとりでも多くの児童が1日でも早く学校に戻れる日を、心待ちにしています。

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