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千枚漬。
と言えば多くの人は京都の名物としてご存知なのではないでしょうか?
京野菜・聖護院かぶらを薄くスライスし、昆布や唐辛子、甘酢で漬けられた冬の京都を代表する大人気のお漬物ですね。
その千枚漬の唯一の宮内省御用達店が京都ではなく滋賀のお店だと聞けば驚きませんか?
そうなのです。今でこそ御用達制度はなくなりましたが、大正5年に京都・滋賀で唯一の千枚漬の宮内省御用達となったお店は滋賀県大津市にあったのです。
宿場町・大津のかつての繁華街に今もアーケード街が残ります。
かつての……というのは大津は鉄道や高速道路が整備されるまでは京都の外港都市として大きく発展しており、ここ「菱屋町商店街」も三井寺の門前町として長等から続く大津の中心地だったのですが、今は町の中心は駅前や湖岸へと移り、人のにぎわいも減ってしまいました。
そのアーケード街に、今も変わらず当時のままの立派な店構えが目を引くお漬物屋「八百与」さんがあります。
漬物屋としての創業は1850年。
それ以前は三井寺や比叡山延暦寺の精進料理を作っていたお店だったそうです。
精進料理のかたわら、近江かぶらの千枚漬けや長等漬を製造していたところ世間でたいへん評判になり、やがて宮内省の目に留まったのが御用達のきっかけとのこと。
ちなみに聖護院かぶら自体、もとは近江国・堅田から京へ持ち込まれた「近江かぶら」の種がルーツなんです。
店内には、宮内省の許可証や当時の新聞、また柳原家から贈られた人形など歴史的にも貴重な資料が展示されています。
歴史に興味のある方にも楽しめるお店ですよ。
店頭には時期的なこともあり千枚漬は置いてありませんでしたが、もうひとつの宮内省御用達「長等漬」がずらりと並んでいました。
長等漬とは瓜や水茄子、大根などで漬けられた奈良漬の一種です。
ほかにもおいしそうなお漬物がたくさん。お値段も手頃なのとご主人のトークに乗せられいっぱい買ってしまいました。
新型コロナウイルスの影響でさらに人通りが少なくなっていたにもかかわらず、私がご主人にお話をうかがっている間、「八百与」さんにはひっきりなしにお客さんが出入りしていました。さすが170年続く宮内省御用達の老舗ですね。
あと、こんなものを店頭で発見。
わかさぎのピリ辛から揚げ。もうこれ見た瞬間にビールが頭に思い浮かんだくらい。
実はこのわかさぎのから揚げに導かれて、たまたま入ったらなぜかお漬物屋さんだったという……
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【お漬物 八百与】
・住所: 滋賀県大津市長等2丁目9-4
・電話: 077-522-4021
・アクセス: (電車)京阪びわ湖浜大津駅→徒歩5分。またはJR大津駅→徒歩14分
(車)名神高速大津ICから県道56号経由4km10分