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高層ビルや海沿いの観覧車など、近未来的な都会の町の印象が強い横浜。ですが実は、幕末に日本の外国文化の受け入れ口となった開港都市のひとつであり、さらに大正ロマンを感じさせる歴史あるレトロな建物や風景がたくさんある町として知られています。
なかなか電車や飛行機に乗って遠出がしづらい今、近場で非日常を味わえるタイムトラベルもよいかもしれません。1日で歩いて回れる横浜のおすすめレトロスポットを紹介します。
© 2020 YOKOHAMA RED BRICK WAREHOUSE
まずは横浜の観光スポットとしても有名な横浜赤レンガ倉庫からスタート! こちらは、明治・大正時代に港から運ばれた輸入物資を一時的に保管する保税倉庫として建設されました。1989年に倉庫としての役割を終え、そのあと文化・商業施設としてリニューアル。2007年には近代化産業遺産にも選ばれました。
ここには「世界一の朝食」と名高いbillsやハワイアンハンバーガーのKUA'AINAなどの有名店が入っているほか、横浜名物の崎陽軒のレストランもあります。また、「日本のアイスクリーム発祥の地」でもある横浜。明治時代の製法を再現した懐かしい味のアイスクリームを食べることができるヨコハマバシャミチアイスもあります。
横浜赤レンガ倉庫の外観は重厚感にあふれ、煉瓦の壁が雰囲気抜群。特に2号館2階、3階のバルコニーでは煉瓦造りのレトロモダンな雰囲気のなか、視界いっぱいに広がる青い海や観覧車を見ながらベンチやソファに座ってのんびりくつろぐことができます。
■横浜赤レンガ倉庫
つづいて赤レンガ倉庫から山下公園方面に歩いていくと、横浜の歴史と深く関わりがある「横浜三塔」と呼ばれる3つの建物が見えてきます。遠くからでも存在感をはなっています。
ひとつめは、「キング」の愛称で呼ばれる神奈川県庁本庁舎。国の登録有形文化財にも指定されているこちらの建物は現役の県庁舎で、展望台は一般開放されています。ライト様式と呼ばれる外壁が欧米風な一方、緑の屋根は五重塔のようで和の雰囲気もあり、和洋折衷の建物です。
■神奈川県庁本庁舎
次に見えるのは、「クイーン」と呼ばれる横浜税関本関庁舎。青緑の丸い屋根が特徴で、中東にあるモスクを思わせるエキゾチックな外観です。近くのヤシの木もいい雰囲気を醸し出していますが、正面玄関は西洋のロマネスク様式と、さまざまな顔を持っています。1階にある税関資料室では、ブランド品の本物と偽物を当てるコーナーなどがあり、誰でも無料で楽しめます。
■横浜税関本関庁舎
最後が「ジャック」と呼ばれる横浜市開港記念会館。現在は公会堂として利用されており、幕末の黒船を描いたステンドグラスはまさに大正ロマンの雰囲気を醸し出していて必見です。外観も深い赤と白の煉瓦が東京駅の駅舎のようで非常に美しく、クラシカルなたたずまいはどこから見ても目を引きます。
■横浜市開港記念会館
車の通りが多い大通りに面しているのに横浜の人たちにもあまり知られていないこちらの建物は、横浜市認定歴史的建造物にもなっているプロテスタントの教会・指路教会です。関東大震災で一度は倒壊したものの、大正時代に現在の建物が再建されました。
白い外壁に、先の尖ったアーチが幾重にも重なったデザインの入口や、空高くそびえたつ四角い鐘楼はまさに中世の教会のイメージそのもの。思わず吸い込まれるように中に入ってみると、真っ白な壁に茶色い木の椅子が並んでいるシンプルで落ち着いた空間が広がっています。入口上階にはパイプオルガンがあり、ミサのときなどにはそのすばらしい音色を聴くことができるそう。夜のライトアップも美しいと評判です。
■指路教会
元町・中華街の方まで歩いてみると、庭先にバラが咲くカラフルな洋館というまさに女子憧れのメルヘンな風景が広がる場所があります。それが山手西洋館という閑静な散歩道でつながれた7つの洋館。それぞれの建物が重要文化財などに指定されており、当時の内装を再現したモダンな邸宅を無料で見学できます。
7つの洋館以外にもこのエリアにはかわいらしい庭や建物、レトロな公衆電話などの絵になる風景が多くあり、写真を撮る手が止まりません。また、花や木々に囲まれた邸宅カフェが点在しており、淡いブルーの外観とオレンジに光る丸い照明がかわいい山手十番館やローズガーデンを眺めながらバラのフレーバーティーなどを楽しめる山手111番館、大きな窓ガラス越しに豊かな緑が広がっているエリスマン邸などで甘いスイーツをいただけば、気分はすっかり100年前のご令嬢!
■山手西洋館
国境を越えた移動はできないけど、時空を越えるタイムトラベルができました。
皆さんも横浜で、令和を飛び越えて明治大正時代を訪れてみませんか?