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新型コロナウイルスの非常事態宣言以降、無料だったもの
思い起こせば、ニューヨークの非常事態宣言が出されたのは3月中旬で、もう5ヵ月も前のこと。毎日悪い夢を見ているような日々で、あのときから「いままでの日常」は失われました。多くのことが変わりましたが、そのうちのひとつが、MTAのローカルバス(各駅停車の路線バス)の無料化。新型コロナウイルスの非常事態宣言以降、2020年3月23日から現在まで、ニューヨーク市ではローカルバスが無料なのです(長距離を走る、急行バスなどは有料)。
運転手を守る(多くの運転手が感染し、亡くなった)ためで、現在乗降は後方の扉のみで、乗客は運転手との距離を保たなければいけません。そのため、前方の扉の運転手席横にある運賃箱で料金支払いは行われず、後方の扉から誰でも無料で乗ることが可能。バス乗車の際は、「マスク着用が必須(Masks Required)」です。
■参照記事
5ヶ月間も無料だった路線バス
バスの前方はビニールシートで仕切られ、運転手と接触できないようになっています。3月23日から無料といっても、その時期にバスや地下鉄に乗車していたのは、医療関係などライフラインに関わるエッセンシャルワーカーのみ。ニューヨーク市はロックダウンされており、エッセンシャルワーカー以外は自宅待機を求められていました。3月や4月はたまに散歩に出たとき、ガラガラのストリートに2、3人の乗客を乗せてバスが走っていました。個人的な感想になりますが、見慣れたはずのバスが遠いものに思えてまるで地獄へ行くバスのように見えたものです(ごめんなさい)。5月からは少しずつ乗車する人が増え、6月に経済再開してからは、無料の交通機関として利用する人が多いようでした。
私がバスを再び利用したのは、7月頃でした。それ以前は、乗車する勇気が出ず、徒歩30分以内なら歩いていたからです。後方の扉から皆がワラワラと無料でバスへ乗り込むのを見て、発展途上にある国のバスみたいだなあと眺めたものです(苦笑)。
2020年8月31日から有料化へ
結局私がバスを無料で利用したのは、3回ほど。通勤に使うわけでもないので、絶対的なニーズがないため。8月現在は、バスはパツパツに混んでいるときもあり、ソーシャルディスタンスはどこへ?という感じ。バスの乗客数は130万人(2020年8月14日現在)を超え、乗客も戻っているそうです。
そして残念ながら、バスの無料期間は終わり、2020年8月31日(月)から有料へ戻る発表がありました。乗客は再び前方の扉から乗りこみますが、バスの運転手は引き続き仕切りやビニールカーテンで守られます。コロナ禍によるバスの減収は、4億3100万ドル(約457億5371万5499円)だそうです。
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All Photos by Sara Aoyama